こんにちは。海洋生態系担当の小松原です。ついに東部太平洋における太平洋クロマグロの保存管理措置が決まりました。水産庁の発表によると、2015年および2016年の総漁獲枠は年間3,300トン、うち未成魚(30kg未満)の漁獲量を全体の50%である1,650トンに減らすよう努力することで合意に至りました。全体としては、現在の漁獲枠 (5,500トン) から40%削減になりますが、早急な対策が求められている未成魚の漁獲は、「努力目標」の設定にとどまりました。

 

日本政府が提案していた、未成魚漁獲量を半減 (1,885トン:2002-2004年平均比) するという明確な案での合意には至りませんでしたが、獲られる太平洋クロマグロのほとんどが未成魚であること、またメキシコが強い反対の意を示していたことを考えると、今回の40%削減で合意したことは、長いこと協議されてきた太平洋クロマグロの保存管理措置もやっと動き出したと言えそうです。この削減措置がもたらす効果に期待したいところですね。

 

ですが、まだまだ手放しでは喜べないのが現状です。食べ尽くしてしまった96%の資源量を元に戻すのは、そう簡単なことではありません。国際管理機関によるマネジメントは不可欠ですが、そもそもメキシコで獲られた太平洋クロマグロのほとんどが日本に輸入されること、太平洋クロマグロのおよそ80%を日本が漁獲・消費していることを忘れてはいけません。

 

知らなかったでは済まされない、日本人の責任ではないでしょうか。この事実をきちんと受け止め、一人一人がどうするのか考える必要があるのではないでしょうか。次にお買い物に行くとき、回転寿司に行くとき、その太平洋クロマグロがどこで獲れたものなのか、養殖もしくは畜養なのか、未成魚なのか、まずは気にしてみて下さい。太平洋クロマグロは本マグロ、未成魚はメジやヨコワの名前で表示されることが多いです。

 

おさかな貯金 

日本では魚介類の70%がスーパーマーケットで販売されています。「商品表示をもっと分かりやすくしてほしい」、「枯渇した資源状態の魚はいらないよ」など、あなたの声を届けませんか?あなたの小さなアクションがゆくゆくは日本の市場を持続可能なものに変える大きな力になります!

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