こんにちは、気候変動・エネルギー担当の高田です。
すっかり春らしくなってきましたね(花粉症の方には、つらい季節ですが…)。

昨日、横浜で開幕した国連の「気候変動」についての国際会議に参加しています。

(写真:IPCC総会の開幕で挨拶する石原環境大臣 (c)Greenpeace)


■ IPCCとは?

正式名称を「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)第5次評価報告書第2作業部会および第38回総会」というとんでもなく長い名前のこの国際会議、簡単に言うと、世界中の科学者が気候変動の影響について検討してまとめた報告書を正式に発表する会議です。

IPCCは、2007年にノーベル平和賞を米国元副大統領のアル・ゴア氏と受賞したことで覚えている方も多いのでは?
1988年の設立以来、日本では初めての開催となるそうです。

グリーンピースは、国連で国際的なNGOに与えられる最も高い地位の1つである「総合協議資格」を認められており、ほとんどの会議に「オブザーバー」の資格で出席しています。
今回は、フィリピン、アメリカ、日本など世界中から9人のスタッフが参加しています。


(写真: フィリピンを襲った台風ハイヤンによってなぎ倒された建物 © Matimtiman / Greenpeace)


■気候変動と地球環境のこれから

よく「地球温暖化」と言われる現象は、科学者のあいだでは「気候変動」と呼ばれています。
気候変動は、気温の変化だけでなく、降水量、風の流れの変化、海流の変化、海面上昇など、大きな地球の気候の変化のこと。
地球規模の気候変動は、動植物など生物の生息域や生態系の変化を招くと考えられています。

昨年11月にフィリピンを襲い死者・行方不明者8000人となった台風ハイヤン。
今年2月の関東・東北地方での記録的な大雪。

世界気象機関(WMO)は、2001-2010年は近代的な観測開始以来で世界的に最も温暖な10年間を記録したと発表。
二酸化炭素を減らすなどの対策を何もとらなければ、今世紀末までに世界の平均気温は4度上昇すると予測されています。

世界銀行も、以下のビデオ(英語)などで、「4度上昇」の意味をわかりやすく紹介し、早期の対策を呼び掛けています。


 

台風やハリケーン、洪水、干ばつ、大雪、熱波、竜巻など、世界各地で極端な気象による被害が相次いでいます。

こうした災害それぞれが、気候変動の影響によるものかは、はっきりしていません。
でも、「地球の平均気温が上昇すると、こういう影響が心配される」という科学者による予測に合致するように、極端な気象による一連の被害が発生しています。

気温と海水温は上昇しており、北極海氷は予想されていたよりもはやく溶け、極地の氷床の融解が加速し、海面は上昇傾向、熱波は増加し、降水パターンは変化し、そして植物と動物の種は大きく様変わりしている――IPCCが最近発表した2つの報告書は、地球環境の深刻な変化を述べています。

気候変動と、地球環境の今後は、どのようになるのでしょうか。
食糧や水の確保、健康、産業活動、人々の安全などに、どのような影響が考えられるのでしょうか。

3月31日に横浜で発表されるIPCC第二作業部会報告書は、2000ページ以上・30章にわたり、この点を詳しく検討しています。
この報告書について、グリーンピースが注目するポイントはこちら)

 


■ 原発は(ここでもやっぱり)必要なし

状況を悪化させないためには、二酸化炭素などの温室効果ガスの排出をできるだけ早く大きく減らすことが重要です。
安倍首相は、「二酸化炭素を減らすために」も口実に、原発の再稼働や輸出を進めようとしていますが、気候変動を悪化させないために原発は必要ありません(むしろ巨大な障害です)。

石原環境大臣は25日、「(気候変動の)国際交渉で日本はリーダーシップとる。世界全体の排出量の大幅削減に貢献していく。国内では自然エネルギーの最大限の導入と徹底した省エネを進める」とIPCC横浜会議の開幕で、世界中の参加国に約束しました。

ぜひその言葉どおり、まずは政府が目下検討中のエネルギー基本計画で、原発や石炭火力発電所の推進を止め、省エネと自然エネルギーへの大転換を加速するリーダーシップを発揮し、本気度合を示していただくことを期待します。

 

【関連項目】 自然エネルギーを増やす