◆花王が『森林破壊ゼロ』方針を導入
世界一の速さで失われるインドネシアの“楽園の森”を守るため、グリーンピースは昨年より「森林破壊ゼロ」方針の導入をグローバルな消費財メーカーに求める活動をおこなってきました。

そして今回、グリーンピースとの1年にわたる協議を経て、7月上旬、花王は「森林破壊ゼロ」方針を導入し「2020年までに、森林破壊ゼロで作られた、パーム油と紙のみを購入する」と約束しました。

「森林破壊ゼロ」を約束した消費財メーカーは、花王がアジアの企業としては初めて!「森にやさしい商品を買いたい」という、消費者の声に答えてくれました。グリーンピースは、インドネシアの“楽園の森”をまもるために新たな一歩を踏み出した、花王の「森林破壊ゼロ」方針を歓迎します。

けれども、この花王の「森林破壊ゼロ」方針には改善するべき点がいくつかあります。そのため、グリーンピースのグローバル企業のパーム油調達方針ランキング『タイガー・チャレンジ』では、おしいところで世界トップクラスの“森にやさしい企業”入りを逃し、真ん中の“改善が必要な企業”にランクされてしまったのは非常に残念なところです…。



◆持続可能なパーム油調達へ、花王の歩み
花王は、2004年に設立したRSPO「持続可能なパーム油のための円卓会議」に2007年に加盟し、積極的に認証パーム油の購入を進めてきた企業です。

昨年11月にはパーム油の調達方針を更新し、「2020年までに(RSPO)認証された、原産地追跡可能(トレーサブル)なパーム油のみを購入する」と約束した花王。日本国内の企業と比べれば、先進的な取り組みを行っていると言えます。

しかし、世界にシェアを拡大しつつある大企業である花王を、国際的な基準に照らし合わせると、まだ足りない点が浮かび上がってきます。

◆花王の方針、何が足りない?
主に以下の問題点があげられます。

 ① どのようにして「森林破壊ゼロ」を達成するのか
花王の方針には、森林破壊問題に加え、人権問題に取り組むという内容の記述がありますが、そのためには花王が何をもって“森林破壊、人権侵害なし”とするのか、ということが重要になってきます。

グリーンピースやその他のNGOが推奨する「森林破壊ゼロ」方針には以下の項目が含まれます。

【森林破壊】
以下の3つの種類の森林に関しては開発を行わず、これに当てはまらない土地を開発する。
 - 炭素固定量の多い森林(HCS):CO2などの温室効果ガスを大量に保有している森
 - 保護価値の高い森林(HCV):絶滅危惧種などの重要な生息地
 - 深度に関わらずすべての泥炭地:CO2などの温室効果ガスを大量に保有している地域

【人権侵害】
地域コミュニティや先住民族が、慣習的または法的に、利用または所有している土地を開発する場合、彼らの権利を保護するため、以下の方法に従う。
 - 自由意思による、事前の、十分な情報に基づく同意(free, prior and informed consent:FPIC)

花王の方針には、炭素固定量の多い森林(HCS)の定義と、自由意思による、事前の、十分な情報に基づく同意(FPIC)の記載がなく、さらにもしも話し合いや交渉を繰り返しても森林破壊や人権侵害を繰り返す生産者がいた場合、どのように問題を解決するのかが明記されていません。

この様に方針を曖昧にしてしまうと、生産者に森林破壊や人権侵害の“抜け道”を与えてしまうことになります。



 ≫② 2020年という期限では遅すぎる
たしかに、「森林破壊ゼロ」を約束した企業の中でも、まだ2020年を達成期限にしている企業は多くあります。しかし、グリーンピースをはじめとするNGOが懸念しているのは、「果たして、2020年までにどれほどの森林がインドネシアに残されているのか」ということです。

最近の科学的研究は、「インドネシアの森林は、アマゾンを抜いて現在、世界一の速さで失われている」と警鐘を鳴らしています。

これは、政府による森林開発の凍結措置(モラトリアム)の失敗を意味し、政府の政策による森林破壊の防止に頼りきれないということは明らかです。つまり原料を購入する側の企業が自ら、パーム油や紙、材木の調達方針を見直し、森林破壊を伴って生産された原料を購入しないことを確実にすることで、社会的責任を果たす必要があるのです。

「自然と調和する こころ豊かな毎日をめざして」というスローガンのとおり、花王には「森林破壊ゼロ」方針を改善し、世界トップクラスの“森にやさしい企業”入りをめざして欲しいところです。

グリーンピースは引き続き、花王との交渉を続けていきます。



◆森と生き物のために、あなたにできること!
世界的にも稀に見る豊かさを誇る、インドネシアの森。

私たちがいま変われば、森をまもり、スマトラトラやオランウータンをはじめとする多様な生きものをまもることができるでしょう。

企業はわたしたち消費者の声で変わります。
 ≫一人でも多くの人々が声を上げれば、世界を変える大きな力となります。

みなさんもぜひ、こちらの署名『タイガー・マニフェスト』に参加して、より多くの企業に「森林破壊ゼロ」を求める活動にご参加ください。

さらに、グリーンピースは個人のみなさまの寄付のみで運営されている団体です。地球規模で起こる、森林問題などの環境問題にこれからも取り組むため、ご支援をよろしくお願いいたします


 ◇プレスリリースはこちらから

 ◇消費者の持つ力、泥炭地の定義、RSPO認証システムに関する説明は、こちらのブログを参照ください