2012/5/25 大飯原発事故時、京都府の広範囲が汚染の可能性 ――滋賀県実施の独自拡散予測図、京都府部分を情報公開で入手

プレスリリース - 2012-05-25
大飯原発事故時、京都府の広範囲が汚染の可能性 ――滋賀県実施の独自拡散予測図、京都府部分を情報公開で入手

国際環境NGOグリーンピース・ジャパンは25日、京都府が24日に、滋賀県が独自に実施した放射性物質拡散予測図の京都府部分が公開されたと発表しました。グリーンピースでは、滋賀県が提供した拡散予測図を公開するよう、住民と共に京都府に情報開示請求をしていました。公表された予測図からは、福井県の大飯原発で重大事故が起きた場合、国際原子力機関(IAEA)の基準で「ヨウ素剤の服用」が必要となる、甲状腺被ばく等価線量50mSv(ミリシーベルト)を超える地域が、京都府の広範囲におよぶことが分かりました(注1)。グリーンピースは京都府分のデータをもとに、すでに公開されている滋賀県分の拡散予測図(注2)と合わせて福井県を取り巻く放射性物質拡散予測マップを作成して公開しました(注3)。

今回公開された京都府分の予測図によると、甲状腺被ばく等価線量が500mSvの地域に、福井県に隣接する南丹市の一部が含まれ、右京区のほぼ全域と北区と亀岡市の一部が100mSv以上500mSv未満の地域に、また京丹波町・南丹市・亀岡市・北区・左京区・上京区・中京区・下京区・西京区・東山区・山科区・向日市・長岡京市・八幡市の一部が50mSv以上100mSv未満の地域に含まれています。この予測図は、大飯原発からヨウ素が合計2.4京(2.4×10の16乗)ベクレル放出され(福島第一原発事故:3月15日7時~17時の推定放出量は2.2×10の16乗ベクレル)、穏やかな北風(西北西~東北東)状態で36ケースのシミュレーションを行った結果から甲状腺被ばく等価線量(24時間分の積算)が最高濃度となった区域の分布を示しています。

この放射性物質拡散予測は、滋賀県が2011年11月に独自に実施したもので、大飯原発で福島第一原発事故級の重大事故が起きたことを想定しています。近隣の府県には結果が提供されていたことから、グリーンピースは、提供をうけた府県(公開されている大阪府を除く)に対して4月10日に情報開示請求をしており、このうち岐阜県と京都府から開示されました。

グリーンピースのエネルギー担当関根彩子は、「政府は、大飯原発再稼働の同意を要する『地元』をおおい町と福井県に限定する姿勢をとっていますが、今回公開された予測図を見れば、京都府も滋賀県も深刻な影響を受けることは明らかで、『地元』とすべきです。また一連の情報開示請求の結果、最もリスクの高い福井県部分の情報は開示されず、また福島原発事故と同じ規模を想定した大飯原発のSPEEDIシミュレーションも政府は行っていません。おおい町と福井県の住民をはじめ、国民に放射能拡散や被ばくに関する予測情報を提供せずに再稼働のプロセスをすすめる政府のやりかたは間違っています。」と批判しました。

注1) 京都府による「大飯発電所に係る拡散予測結果」の京都府部分:
注2)滋賀県による「大飯発電所に係る拡散予測結果」の滋賀県部分:
注3)グリーンピースが京都からの開示情報をもとに、滋賀県によるシミュレーションマップをもとに編集した 「大飯原発周辺自治体の放射能拡散予測マップ」:


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国際環境NGO グリーンピース・ジャパン

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