2013/7/10 グリーンピース、福島県の5つの港で放射能調査を実施 ――富岡港や小名浜港などで採取した魚介類8体からセシウム検出

プレスリリース - 2013-07-10
国際環境NGOグリーンピースは7月10 日、福島県の5つの港で採取した魚介類の放射能調査の結果を発表し、福島第一原子力発電所から南へおよそ10kmの富岡港で採取した貝類のバテイラ(シッタカ)から、1キログラムあたり91ベクレルの放射性セシウムが検出されました。福島第一原発の海側の井戸で放射性物質が高い濃度で検出されるなど、依然としてこの海域の汚染は続いていますが、今回の調査でも、福島原発事故が収束からほど遠いことが改めて浮き彫りになりました。(注1)

東京電力福島第一原発事故で放射能汚染水が海洋に放出されて2年以上が経過しましたが、今もなお、様々な海の生物から放射能が検出されており、汚染された魚介類は広く流通されています。また、福島県の漁業は休業(一部試験操業を除く)を強いられており、現地の漁業に携わる方たちにとっても、先行きの見えない厳しい状況が続いています。そこで、5月に行った第19回目の調査に引き続き、地域の方々と共にサンプリング調査を行いました。

今回の調査は2013年6月15から17日に、福島県の富岡港、久之浜港、四倉港、富神崎港、小名浜港において実施しました。調査方法は、地元の漁業や流通に携わる方々からの協力のもと、それぞれの港で水揚げされた魚介類を入手し、第三者機関である株式会社エコプロ・リサーチでゲルマニウム半導体検出器を用いて検査しました。

採取した25サンプル中、8サンプルより放射性セシウムを検出しました。富岡港で採取した4サンプル(アカモクから1キログラムあたり10ベクレル、ナガアオサから同52ベクレル、バテイラから同91ベクレル、フクロフノリから同81ベクレル)、四倉港の1サンプル(アカモクから同17ベクレル)、小名浜港の3サンプル(アイナメから同39ベクレル、マゾイから同25ベクレル、スズキから同49ベクレル)。

グリーンピースの海洋生態系問題担当の花岡和佳男は、「高濃度汚染水の検出が相次いでいますが、その原因も特定もできておらず、効果的な対策も行われていません。今回のグリーンピースの海洋調査でも、海の生態系に放射能汚染の影響が続いていることが、改めて確認されました。日本政府や東京電力は、福島第一原発周辺の地下水や放射能汚染水の調査、そして魚介類の放射能調査のさらなる強化が必要です。また、第三者機関による客観的な調査体制の構築も急務であり、これはグリーンピースだけでなく、地元の漁業関係者も求めている事です」と訴えました。

※便宜上、セシウム134とセシウム137を合算し、小数点以下を四捨五入しました。詳細は検査機関からの検査証明書(PDF)をご覧ください。
http://bit.ly/18KaNVd

注1)第20回目放射能調査の結果

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国際環境NGO グリーンピース・ジャパン

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