2013/10/9 グリーンピースのウナギDNA検査を受け、西友が魚介類の調達方針強化を約束

プレスリリース - 2013-10-09
グリーンピースのウナギDNA検査を受け、西友が魚介類の調達方針強化を約束――西友に続き、ダイエー、ユニーもヨーロッパウナギの取り扱い中止表明

国際環境NGOグリーンピースは9日、国内大手スーパーマーケット5社(イオン、西友、ダイエー、ユニー、イトーヨーカドー)のウナギの仕入・販売の実態を把握するため、店頭で販売されているウナギのDNA検査を含む一連の調査結果を発表しました(注1)。検査の結果、西友の一部商品で、ウナギの種類を把握しないまま販売していることが判明しました。これを受けて西友は、今後は種の特定ができて流通経路を追跡できる魚介類を原料とした商品のみを取り扱うと発表しました。さらに今回の調査の過程で、ダイエー、ユニーが絶滅危惧種であるヨーロッパウナギの取り扱いを中止すると表明しました。

DNA検査の結果、西友・下高井戸店(東京都世田谷区)で土用の丑の日の期間を含む6月から10月1日まで販売されていたウナギ商品「即席きもすい」が、ウナギの種類を把握しないまま西友が販売していたことが判明しました。また、サンシャイン・西友店(東京都豊島区)で販売されていたウナギ商品「うなぎ長焼」において、グリーンピースが西友に種の確認をした際にニホンウナギと回答していたものが、DNA検査の結果アメリカウナギであることが分かりました(注2)。

西友は前述の「即席きもすい」において、グリーンピースが調査票を送り種の確認を求めた9月中旬に、「種の特定が困難であることが判明した」として即日で販売を中止したとしています。また、西友の回答とグリーンピースのDNA検査結果が不一致だったウナギ商品「うなぎ長焼」について西友は、「ニホンウナギ以外の販売を検討する中でアメリカウナギへ切り替えを行っていた商品であり、質問票に回答する際に商品情報を十分に確認せぬまま誤答してしまった」としています。

その上で西友は10月7日、「改善すべき点がまだある」とし、グリーンピースと共に検討した結果、種の特定ができて流通経路を追跡できる魚介類を原料とした商品のみを取り扱うとする、調達方針及びトレーサビリティ体制の強化を約束しました。

さらに調査の過程で、国際自然保護連合(IUCN)のレッドリストで絶滅の危険性が最も高い種に指定され、かつワシントン条約の対象種でもあるヨーロッパウナギの調達においても、各社の方針に改善が見られました。今年7月の時点では西友のみが同種を取扱わない方針を明らかにしていましたが、新たにダイエーとユニーが今後調達しない方針を表明しました。なおイオンは7月以来同種の取扱いがなく、イトーヨーカドーは「今年度の取扱いについては年度内に終売。次年度の取扱いについては未定」としています。

グリーンピース海洋生態系担当の花岡和佳男は「大手スーパーマーケットが魚介類の調達方針やトレーサビリティ体制を強化したことは大きな一歩であり、その動きを歓迎します。しかしウナギにおいては、西友が代替商品として販売するアメリカウナギも、2012年のワシントン条約締約国会議で国際取引の規制対象種とする案が浮上したように深刻な資源状態にあります。ヨーロッパウナギやニホンウナギを獲り尽くしたからと言って調達対象を単純に代替他種へ移行することは、絶滅の連鎖を続けるだけで根本的な解決策にはなりません。スーパーマーケットは、海と食卓の魚を次世代に残すため、絶滅危惧種や乱獲されている種の取扱いを中止し、持続可能性を確保するための魚介類調達方針を策定・実施することが急務です」と訴えました。

注1) ウナギレポート(2013年10月9日発表)
注2) アンケート調査は8月26日から9月6日に実施。DNA検査はグリーンピースが店舗で購入したウナギ商品30サンプルを第三者機関に委託(7月30日から9月11日)、再アンケート調査は2013年9月20日から27日に実施。

※第三者機関による検査結果報告書
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国際環境NGO グリーンピース・ジャパン

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