2014/02/18 署名12,739筆を厚生労働省に提出――ネオニコチノイド系農薬の食品中への残留基準の規制緩和に反対

プレスリリース - 2014-02-18
国際環境NGOグリーンピース・ジャパンは18日、厚生労働省がネオニコチノイド系農薬クロチアニジンの食品中における残留基準の大幅緩和を検討している事に対して、即時凍結を求める署名、12,739筆を集め、厚生労働大臣宛てに提出しました。

ミツバチなどへの悪影響が懸念されているネオニコチノイド系農薬の一種、クロチアニジンの残留基準の緩和を検討している事から、グリーンピースのホームページで、1月17日から2月13日まで署名を集め、およそ4週間で12,739筆が集まりました。厚生労働省で医薬食品局食品安全部基準審査課長に署名を手渡し、残留基準値緩和の即時凍結を求める要請書(注1)も提出しました。

署名を受け取った、厚生労働省医薬食品局食品安全部基準審査課の担当者は、クロチアニジンの残留基準値の緩和については、現在、急性毒性についての精査を行っており、農林水産省、食品安全委員会とも協議中であることと、クロチアニジンの急性毒性の指標(急性毒性用量ARfD)の設定を食品安全委員会に依頼するかどうかは検討中、などとし、パブリックコメントの意見を踏まえ、慎重に検討しており、規制緩和の発表時期は未定との事でした。

今回の規制緩和の対象となっているクロチアニジンは、欧州では2013年12月から暫定的な使用禁止が始まった農薬です。また同月17日には欧州食品安全機関(EFSA)が一部のネオニコチノイド系農薬に子どもの脳や神経などへの発達神経毒性があるとの科学的見解を発表しました。(注2)

署名を提出したグリーンピース・ジャパンで食と農業問題を担当している関根彩子は、「そもそもパブリックコメントを実施する主旨は、行政運営の公正さの確保と透明性の向上を図ることです。今回の残留基準の引き上げ案は、必要性の検証のないまま農薬メーカーの申請に応じて進められている不公正さや、検討プロセスの不透明さといった問題を随所に含んでいます。パブリックコメントの1,657件もの意見や、グリーンピースで実施した12,739筆の署名やメッセージは、こうした根本的な問題に対する意見であり、国民の健康を守るという厚生労働省の責任を果たすよう求めるものと受け止めるべきです」と述べました。

さらに、「予防原則の考え方には、科学的な因果関係の証明をまって手遅れになる前に対策を打つだけでなく、『プロセスの公開』、『必要性』『よりよい代替がない』という重要な要素があります。今回のように、なにを基準に安全性を判断したのかが不透明で、必要性に関して、厳格な検証のないまま、基準の引き上げは認めるべきではありません」と改めて凍結を求めました。

グリーンピースは毒性の高い農薬の使用中止を呼び掛けるとともに、有機農業への転換を訴えています。


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注1) 要請書 (2014年2月18日提出) 

注2)EFSA assesses potential link between two neonicotinoids and developmental neurotoxicity
Press Release 17 December 2013  

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国際環境NGOグリーンピース

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