2014/09/09 グリーンピース声明、原発再稼働ではなく自然エネルギー革命を ――商業運転開始以来初、日本全国「稼働原発ゼロ1年」をうけて

プレスリリース - 2014-09-09
国際環境NGOグリーンピースは、本日、大飯原発4号機が昨年9月に停止して以降、日本全国の原発48基が停止し続け「稼動原発ゼロ1年」を15日に迎えることを受けて、下記の声明並びにブリーフィングペーパー『日本全国で「稼動原発ゼロ1年」達成』(注1)を発表しました。

グリーンピース・ジャパン 核/エネルギー担当 鈴木かずえ
「日本全国で稼動原発ゼロの期間が1年となることは、1966年に原発が商業運転を開始して以来初で、脱原発を願う市民の努力のたまものです。今や原発を“現役の電源“として考えるほうが非現実的になりました。

再稼働審査が進む九州電力の川内原発1, 2号機は『合格』と言える状況ではありません。原子力規制委員会の田中俊一委員長は『基準への適合は審査したが、安全だとは私は言わない』と明言しています。原子力規制委員会は、地震や火山のリスクを無視し、実効性のない避難計画については審査もしていません。また、地元市民の声、川内原発の再稼働に寄せられた1万7千件ものパブリックコメント、火山の専門家による指摘などに耳を塞いでいます。同委員会の組織理念は、『原子力に対する確かな規制を通じて、人と環境を守ること』ですが、この理念を忘れた同委員会は、規制者として不合格です。

日本政府が東京電力福島第一原発事故の教訓を無視し、危険で不安定な原発の再稼働に躍起になる一方、市民や企業は地域コミュニティを巻き込みながら、着々と自然エネルギー革命を進めています。世界最悪レベルの原発事故を経験した日本の今後に、世界は着目しています。歴史的な『原発ゼロ』を目前に日本政府が取り組むべきは、原発の再稼働ではなく自然エネルギーのさらなる推進、つまり自然エネルギー革命の実現です」。

【ブリーフィングペーパー作成の背景と概要】
6割近くの市民が原発の再稼働に反対しているにも関わらず、安倍政権と電力会社は再稼働を推進し、現在、電力10社が13原発20基の原子炉の再稼働を求め、原子力規制委員会に適合性審査を申請しています。明日10日にも、同委員会は九州電力の川内原発1,2号機(鹿児島県)について審査書を承認予定と報道されています。

本ペーパーでは、福島原発事故前後における電力構成や二酸化炭素排出量等の推移を示すとともに、自然エネルギーの増加について説明しています。2010年度から2013年度に原発13基分の省エネ効果があり、また市民や企業が地域コミュニティを巻き込みながら、自然エネルギーの導入を牽引してきた結果、2013年のみで原発3基分の電気が自然エネルギーで発電されたことなどを明らかにしています。

なお、グリーンピースが2011年に発表した『自然エネルギー革命シナリオ』(注3)が示した「2012年にすべての原発が停止しても必要な電気がまかなえる」は現実となり、太陽光発電の予測導入量も、ほぼ現状と合致しています。同シナリオでは、2020年に自然エネルギーで電力の43%を賄えるとしています。

注1)    『日本全国で「稼動原発ゼロ1年」達成――「自然エネルギー革命」を次のステージへと加速する起点の日に』
注2)    資源エネルギー庁「再生可能エネルギー発電設備の導入状況等について」(2014年5月末時点)
注3)    『自然エネルギー革命シナリオ――2012年、すべての原発停止で日本がよみがえる』(2011年9月)


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国際環境NGOグリーンピース

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