2015/08/31 太平洋クロマグロ資源回復のため管理強化を漁業国に呼びかけ ーグリーンピース、WCPFC北小委員会開催に合わせ要請ー

プレスリリース - 2015-08-31
国際環境NGOグリーンピース・ジャパンは本日、WCPFC(中西部太平洋まぐろ類委員会)第11回北小委員会の開幕に合わせ、委員会及びその加盟国・地域に向けて、太平洋クロマグロに対して緊急的な保全措置を取る必要性を訴える下記の声明を発表しました。

太平洋クロマグロは既に初期資源量の約4%まで減少しています(注1)。また、科学委員会によると、昨年の太平洋クロマグロの漁獲量は17,065tと推定され、これは2013年の11,324tを大きく上回ります(注2)。水産庁は、加入量が極端に減少した場合の緊急措置を2016年に策定することを提案する模様ですが、加入量は既に歴史的最低水準に近く、さらには成魚についての具体的な対策についても先延ばしになっています。グリーンピースはWCPFC北小委員会及び加盟国・地域へ、持続可能性を最優先し資源管理を強化するよう、下記を求めます。

1.       太平洋クロマグロ資源量を適時に限界管理基準値まで回復すること、さらには目標管理基準値まで回復するために、2015年12月に開催のWCPFC年次総会における合意に向け、科学的根拠に基づく管理計画の策定に努める。この限界管理基準値とは、WCPFCの管理下にあるその他のマグロ類で合意された管理基準値と整合するよう、最低でも初期資源量の20%とすべきである。限界管理基準値までの適時回復とは現状で実施しうる最善の時間枠によって定められるべきであり、また90%の確率で達成されるべきである。 

2.       上記が合意されない場合は、全ての太平洋クロマグロ漁は、予防的漁獲制限を含む科学的根拠に基づく資源回復管理計画が合意および導入されるまで、また資源量が合意された生物学的限界管理基準値を上回る回復をしたという決定的な証拠が得られるまで、操業停止されるべきである。

グリーンピース・ジャパン海洋生態系担当の小松原和恵は、「今回の委員会で全加盟国・地域が、加入を含む太平洋クロマグロ資源が既に危機的状況にあることを真摯に受け止め、産卵親魚を含む資源回復計画を一刻も早く着手することを期待します。また、太平洋クロマグロの主な産卵場所(日本海と南西諸島沖)は図らずも日本の排他的経済水域内に位置するため、産卵親魚の保護は日本がイニシアチブをとるべきです。スーパーマーケットやデパートなどの小売も国際機関や行政の決定を待つだけではなく、資源の枯渇状況を深刻に受け止め、早急に資源回復を最優先とする調達方針に変更する必要があります。」と述べました。

(注1) International Scientific Committee(ISC), ‘PACIFIC BLUEFIN TUNA STOCK ASSESSMENT’, December 2012

(注2) REPORT OF THE FIFTEENTH MEETING OF THE INTERNATIONAL SCIENTIFIC COMMITTEE FOR TUNA AND TUNA-LIKE SPECIES IN THE NORTH PACIFIC OCEAN https://www.wcpfc.int/system/files/NC11-IP-01%20%28ISC-15%20Report%29.pdf

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国際環境NGOグリーンピース・ジャパン 

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