2016/01/14 グリーンピースレポート「遺伝子組み換え失敗の20年」日本語版発表、遺伝子組み換え食品に配慮する幼稚園501件も同時発表

プレスリリース - 2016-01-14
国際環境NGOグリーンピース・ジャパンは本日、米国での商業栽培開始から20年以上が経過した遺伝子組み換え作物に関する最新の科学的、社会的な実態を分析したレポート「遺伝子組み換え失敗の20年〜遺伝子組み換え作物をめぐる7つの『神話』と現実〜」(注1)を発表しました。レポートでは遺伝子組み換え作物は「世界の食料供給」および「気候変動への対応」の鍵となるという『神話』は現実と乖離しており、生物多様性を保ちながら気候変動に対応する生態系農業こそが解決策であると指摘します。グリーンピースはレポート発表と共に、全国私立幼稚園約1000件に対して行った給食に関するアンケート結果をまとめた「ハッピーランチガイド」(注2)の巻末に遺伝子組み換え食品に配慮していると答えた501件(全体の50%)の幼稚園リストを本日公開しました。

「遺伝子組み換え失敗の20年〜遺伝子組み換え作物をめぐる7つの『神話』と現実〜」

神話1 遺伝子組み換え作物は世界の食料需要を満たすことができる
神話2 遺伝子組み換え作物は気候変動に対する耐久力や回復力への鍵を握る
神話3 遺伝子組み換え作物は人間や環境にとって安全である
神話4 遺伝子組み換え作物は農作物保護を簡単にする
神話5 遺伝子組み換え作物は農家にとって経済的効果がある
神話6 遺伝子組み換え作物は他の農業システムと共存できる
神話7 遺伝子組み換え技術は食料システム改革のための最も有望な道である

グリーンピース・ジャパン食と農業担当 関根彩子は「遺伝子組み換え作物は世界の食料需要を満たすことができると宣伝してきましたが、収量増を目的として開発された遺伝子組み換え作物はありません。食料不足に苦しむ地域に必要なのは、地域の資源や生態系を活用して小規模農家が生計向上をはかることであり、一握りの企業が特許で種子を支配する農業ではありません。日本は遺伝子組み換えダイズの割合が全体の94%(注3)を占める米国から、年間約180万トン近くものダイズを輸入しています(注4)。そのうえ日本の遺伝子組み換え食品への表示義務は緩く抜け穴も多いため、私たち消費者は意図せず遺伝子組み換え産業を支えています。遺伝子組み換え作物は生態系を破壊し安全に疑いがあることを認識し、遺伝子組み換え作物ではなく生物多様性を育む生態系農業を支える社会を選び取ることが必要です」と述べました。 

グリーンピースは、遺伝子組み換えなどの工業型農業ではなく、安全・安心な食を支える生態系農業を普及させるため、今後も活動を続けていきます。

 (注1)http://www.greenpeace.org/japan/Global/japan/pdf/gmo20yrs_jp.pdf
原題「Twenty Years of Failure: Why GM crops have failed to deliver on their promises」(2015年11月発行)  

(注2)「ハッピーランチガイド」(1月14日改定)グリーンピースのウェブサイトでダウンロード可能  
http://www.greenpeace.org/japan/ja/Action/HappyLunch/

(注3)米国農務省2015年遺伝子組み換え大豆シェアhttp://www.ers.usda.gov/data-products/adoption-of-genetically-engineered-crops-in-the-us/recent-trends-in-ge-adoption.aspx

(注4)農林水産省2011年米国産大豆年間輸入量
http://www.maff.go.jp/kanto/syo_an/seikatsu/iken/pdf/h250805hamamatsusiryou.pdf

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国際環境NGOグリーンピース・ジャパン

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