2016/03/09 グリーンピース声明:グリーンピース声明:厚生労働省、異例の決定 ネオニコチノイド系農薬「スルホキサフロル」登録保留

プレスリリース - 2016-03-09
国際環境NGOグリーンピース・ジャパンは本日、厚生労働省薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会農薬・動物用医薬品部会が、3月4日にネオニコチノイド系農薬スルホキサフロルの登録保留を決定したことを受け、下記の声明を発表しました。パブリックコメントを受けて登録が保留されるケースは異例で、厚生労働省は米国で同農薬が再登録されるまで審査を保留するとしています。

スルホキサフロルは米企業ダウ・アグロサイエンスが製造するネオニコチノイド系農薬の一種で、ミツバチへの毒性が強いことから、2013年5月に米国環境保護庁(EPA)が認可した当初から養蜂家らが裁判を起こしていました。2015年9月の判決では、ミツバチへのリスクが十分考慮されていないことを理由に認可無効が命じられ、同年11月に米国環境保護庁(EPA)は認可を取り消しました。 

日本でも2013年に、同農薬を使用した農産物を日本に輸出すること、同農薬を日本で使用することを目的に農薬登録の申請がなされ、2014年10月に食品安全委員会は健康影響評価を終えています。厚生労働省により作物ごとの残留基準の設定が行われ、2015年12月から2016年1月にかけパブリックコメントを募集し、正式に設定されるところでした。

グリーンピースは、パブリックコメントの基礎情報に同農薬が米国で使用禁止された点が含まれていないことを指摘し、パブリックコメントを呼びかけていました。厚生労働省によると集まったパブリックコメントの総数は537件で、ミツバチへの影響を危惧するコメントが333件と最も多く、米国で使用禁止になった農薬であることを指摘するコメント268件が続きました(注1)。残留基準の設定が保留されたことで、スルホキサフロルの登録自体も保留となります。

グリーンピース・ジャパン食と農業担当関根彩子は「パブリックコメントの後に残留基準や登録が保留されることはきわめて異例です。ミツバチへの影響を訴えた市民側が厚生労働省の判断を動かしたと言えます。既に国内で使用されているネオニコチノイド系農薬とミツバチ被害の関連性は、農林水産省の調査(注2)でも認められています。今回の厚生労働省の登録保留を受けて農林水産省は、スルホキサフロルの登録申請却下、そして他のネオニコチノイド系農薬の登録停止を決定すべきです」と述べました。

グリーンピースでは、ミツバチや子どもに有害性の強いネオニコチノイド系農薬の禁止と生態系農業推進のため「子ども・ミツバチ保護法を求める署名」を2015年4月から実施し、オンラインと署名用紙を合わせ、2万2436筆集まっています(注3)。

(注1)厚生労働省発表資料「農薬スルホキサフロルの残留基準の設定について」 http://www.greenpeace.org/japan/Global/japan/pdf/20160309_sulfoxaflor.pdf

(注2)農林水産省平成 26 年度蜜蜂被害事例調査結果   http://www.maff.go.jp/j/press/syouan/nouyaku/pdf/150623-01.pdf

(注3)グリーンピース「子ども・ミツバチ保護法を求める署名」
http://www.greenpeace.org/japan/ja/Action/NoBees/

--

国際環境NGOグリーンピース・ジャパン

トピックス