2016/10/25 グリーンピース報告書『日本の原子炉に導入された一次冷却系部材、炭素異常に関するレビュー』発表

プレスリリース - 2016-10-25
グリーンピース報告書『日本の原子炉に導入された一次冷却系部材、炭素異常に関するレビュー』発表ーー日本製鋼材の安全性に疑問、国内全原発での検査を

国際環境NGOグリーンピースは本日、フランスの原子力発電所における鋼材強度不足の発覚により、日本でも同様の異常が懸念されることを受けて、蒸気発生器や原子炉圧力容器といった重要設備の強度不足に関する報告書『日本の原子炉に導入された一次冷却系部材、炭素異常に関するレビュー』(注1)を発表しました。フランスの原発で蒸気発生器や原子炉圧力容器の鋼材から基準値を超える炭素濃度が発見され、原子力安全局(ASN)は、仏原子炉メーカーのアレバ社に調査を命じ、その結果、原発を保有するフランス電力会社(EDF)が保有する原子炉12基の運転の停止を命じました。12基には日本鋳鍛鋼株式会社が日本において製造した鍛造部材を含む取替用蒸気発生器が使われ、日本の原発でも同様の問題が懸念されます。本報告書は、フランスの原子炉機器サプライチェーンについて解説し、日本の原子炉の安全性への示唆やどのような検査が必要かを分析したものです。

同時にグリーンピース・ジャパンは、現在稼動している四国電力の伊方原発3号機と、九州電力川内原発2号機の一刻も早い停止と、すでに再稼働が認可されている原子炉の部材検査を優先しつつ、全ての原子炉での同検査を原子力規制委員会に求めています。本報告書を規制委に送付し、追って質問もする予定です。

本報告書は、イギリスの原子力コンサルタント、ジョン・ラージ博士(注2)にグリーンピースが執筆を委託したものです。フランスで建設中のフラマンビル原発3号機において、鋼材の炭素濃度が基準を超えていたことに端を発し、現在発見されているだけで0.22%の基準を大幅に超える0.39%もの炭素濃度が非破壊検査によって日本鋳鍛鋼株式会社の製造品から見つかっています。異常が見つかった箇所は原子炉の一次冷却系において安全機能の重要度「クラス1」で、万が一の事故の際には重大な放射能被害が生じるため、壊滅的な破損は許されません。また本報告書では、日本鋳鍛鋼が1995年から2006年にかけて欠陥のある、つまり仕様を満たしていない蒸気発生器部材を数多くフランスに供給したというのは上記の非破壊検査の結果から紛れもない事実で、これは、日本鋳鍛鋼自身の品質保証検査でも探知されることなくすり抜けたことを示唆していると指摘しています。また、1984年から1993年にかけて、日本鋳鍛鋼はフランスで異常が見つかったのと同じような蒸気発生器ボトム・チャンネル(水室)・ヘッド部材を日本の原子炉(高浜3、4号、川内2号、敦賀2号、泊1、2号)に供給しており、フランスの原子炉と同様に許容できないリスクを抱えていることも指摘しています。

規制委は、10月19日に開催された第37回委員会において、「今の時点で急を要するようなものはない」としています。しかしながら、フランスで発見された異常は、日本では明確に指示されていない非破壊検査を経て初めて発見されたものです。現在、フランスで調査が進む鋼材を供給した日本鋳鍛鋼と、同じくフランスで欠陥の可能性を指摘されている日本製鋼所の両社は、日本全国の原子炉に鋼材を供給していることから、影響は非常に大きく、規制委に対し、検査方法とその結果をすべて公表することを本報告書では求めています。

尚、明日26日には、稼働40年を超える老朽原発である関西電力の高浜原発1、2号機(福井県)の運転延長認可取り消し裁判の第2回口頭弁論が開かれます。福井県や関西地域の住民、グリーンピースの職員を含む102名が原告です。高浜原発2号機は、老朽原発であるうえに日本鋳鍛鋼が製造した鋼材を使用しています。グリーンピースは、高浜原発2号機についても非破壊検査を含む調査を求めます。 

注1)報告書要旨(日本語)
報告書全文(英語) ”Irregularities and anomalies relating to nuclear reactor primary coolant circuit components installed in Japanese nuclear power plants”

注2)コンサルティング会社、ラージ・アンド・アソシエイツ主宰。1960年半ばから1990年代初頭まで英国原子力公社の研究に従事。IAEAや英・仏・独など各国政府ならびに米国の原子力規制委員会に対し専門的知見を提供している。

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国際環境NGOグリーンピース・ジャパン

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