2017/09/28 グリーンピース、11日間でクラウドファンディング250万円目標達成ー ー「福島のお母さんを国連に送りたい」800人に支えられ、原発事故被害者の実情を国際社会へ

プレスリリース - 2017-09-28
国際環境NGOグリーンピース・ジャパン(東京都新宿区、以下グリーンピース)は、東京電力福島第一原発事故により故郷からの避難を余儀なくされている女性(園田さん:注1)を、10月にスイス・ジュネーブで行われる国連人権理事会の普遍的定期的審査(UPR:注2)事前セッションに送るプロジェクトの支援を求め、9月15日からクラウドファンディングを実施し、短期間で当初の目標額を大幅に上回るご寄付をいただきました。深く感謝申し上げるとともに、皆さまの当問題への関心をしっかりと受け止め、原発事故被害者の実情を国際社会に届けてまいります。



「原発事故被害者10万人の声を代弁する福島のお母さんを国連に送りたい」
と題して行った本クラウドファンディング(注3)は、園田さんと彼女をサポートするグリーンピースの専門家の旅費、滞在費、国連各国代表者とのミーティング費用等をまかなう目的で開始し、5日目で目標額150万円を達成しました。そこで、プロジェクトについて広く世界に伝えるためのアート作品制作や撮影などのコミュニケーションツール費用として、追加の寄付募集を行ったところ、それから6日目で第2目標の累計250万円を達成し、9月27日に募集を終了しました。使途の詳細はプロジェクト終了後、支援者にご報告します(注4)。

グリーンピースは「原発事故被害者の暮らしをまもって」と訴える支援者のメッセージを載せた巨大な折り鶴のアート作品を制作し、スピーチ当日、国連前に設置する予定です。現在、メッセージを募集しています(注5)。園田さんのスピーチ前後の様子やアート作品については、グリーンピースのSNS等で現地から中継します。

【背景】
原発事故から6年半が経った現在、政府は事故被害者への賠償や住宅支援を打ち切って、いまなお放射能汚染が続く地域へも帰還を促しています。このような政府の方針により、日本社会の中で社会的弱者であり、かつ放射能の影響をより強く受ける女性や子どもが、社会生活の上でも経済的にももっとも深刻な被害を受け、困難な生活を強いられています(注6、注7)。事故後、息子への被ばくを懸念し故郷を離れて避難生活を続けている園田さんは、被害者の一人として、国連人権理事会のUPR事前セッションでその実情を国際社会へ訴える予定です。

グリーンピースと園田さんは、来年3月に国連人権理事会本会合で採択される本審査の「結果文書」に、原発事故をめぐる人権侵害についての指摘が盛り込まれることを目指しています。実現すれば、原発事故に起因する人権侵害が、いま日本で起きている深刻な人権問題の一つとして国連に認知され、日本政府に正式に改善勧告されることになります(注8)。

注1)プライバシーに配慮し、姓のみの公開

注2)【国連人権理事会の普遍的定期的審査(UPR)とは】
国連人権理事会の創設に伴い、国連加盟国(193カ国)全ての国の人権状況を普遍的に審査する枠組みとして盛り込まれた制度。今年は、日本についての審査が行われる。10月の事前セッションのあと、11月の作業部会で国連加盟国すべてが議論に参加、審査結果としての結果文書は3月の人権理事会本会合で採択される。結果文書は、勧告及び(または)結論と被審査国の自発的誓約から構成される。外務省資料グリーンピース参考ブログ

注3)グリーンピース、本日クラウドファンディング開始ー ー「福島原発事故をめぐる政府の帰還政策は人権侵害」 国連勧告を目指して、被害者をジュネーブへ

注4)9月27日時点で、638人の方から2,639,600円をご入金いただきました。お振込予定の方を含めると、およそ800人から310万円ほどのご支援をいただいています。

注5)ORIZURU PROJECT

注6)グリーンピース報告書、政府の帰還政策は原発事故被害者の 人権侵害と指摘 ーー女性・子どもへの被害は深刻   

注7)今年5月時点で、自主避難者への住宅支援が打ち切られた問題を巡り、少なくとも16都道府県の80地方議会が、避難者の窮状を指摘し、国などへ支援継続を求める意見書を可決

注8)グリーンピースから国連機関に提出した意見書:
意見書全文/英語
意見書提言部分/日本語 

--

国際環境NGOグリーンピース・ジャパン

トピックス