地球を汚すエネルギー:化石燃料と原子力
私たちの暮らしになくてはならないエネルギー。
石油、石炭、原子力、太陽光や風力――エネルギーのもとは天然資源です。
いま、私たちが使う日本の一次エネルギーの8割は石炭や石油など化石燃料から供給されています。
日本の二酸化炭素(CO2)はどこからくる?
地球温暖化の原因となる温室効果ガスにはいくつか種類がありますが、とくに問題となっているのが二酸化炭素(CO2)です。
日本では、12億7400万トン(2006年度)のCO2が排出されています。
このうち、約3割*は約90か所の火力発電所から排出されています。そして1990年度以降、発電所から排出されるCO2は5割以上も増えています。
また、約2割のCO2は110か所の大規模工場から排出されているので、こうした約200か所の大規模施設から日本のCO2の約半分が排出されていることになります。
石炭火力発電が増えています
私たちの普段の暮らしの中でほとんど目にする機会のない石炭。
しかし実は、日本は世界でもっとも多くの石炭を輸入している国のひとつです。
その多くは火力発電に利用されています。
石炭は同じ量の発電をするために天然ガスの1.8倍のCO2を排出するので、危険な気候変動を避けるためには、積極的に利用を減らす必要があります。
しかし、日本の発電電力量にしめる石炭火力の割合は、1990年度以降3倍も増えています。
石油の時代は超えられる?
© The United States Coast Guard
陸上の油田に加え、世界では約130基の洋上プラントが海底から原油を汲み出すために動いているとされています。
2010年にアメリカ史上最大の爆発事故を起こしたディープウォーター・ホライズンは、水面下1.5キロの海底から原油を掘削していました。
北極では氷が後退して開けた海域で新たに石油の掘削が始まろうとしています。
石油が尽きたら次の油田を探して、深海へ、手つかずの自然がかろうじて残っているエリアへ。
私たちは、最後の一滴の石油を使い切るまで、石油依存の歴史を変えることはできないのでしょうか。
原子力は温暖化対策に効果的?
日本では近年、原子力発電が温暖化対策として推進されています。
発電量あたりの二酸化炭素排出量だけをみれば、原発は化石燃料と比べて少ないといえますが、原発は建設までに長い時間がかるうえ、放射性廃棄物や事故など深刻な危険がともない、さらに建設や点検・整備・解体に莫大な費用が必要です。
また原発は、出力の細かな調整ができないため、出力調整が容易な火力発電とセットで運転しなくてはなりません。
そして事故などで原発が停止したときに備えるためにも、火力発電所を必要とします。
つまり原発が増えても同じ分だけ火力発電所が減るとはいえず、原発推進は二酸化炭素の削減につながるとは言えません。
必要なのは、CO2を迅速に、大量に、確実に減らすこと
政府はエネルギー供給政策として、石炭と原子力に重点を置いています。
危険な気候変動を避けるためには、CO2の排出を迅速に、大量に、確実に減らすことが重要です。
そのためには、CO2をたくさん排出する石炭や、実際に発電を開始するまでに長い時間がかかり、事故や点検で長期間の停止が避けられない原子力は有効な解決策とはなりません。
解決策はエネルギー・[R]eボリューション
CO2を迅速に、大量に、確実に減らす方法は、スマートパワー(エネルギー利用の効率化)でムダに捨てられているエネルギーを賢く快適に利用し、太陽光や風力、地熱などの自然エネルギーで必要なエネルギーを供給することです。
危険な気候変動を避けるためにも、日本のエネルギー自給率を高めるためにも、私たちの目の前にある解決策――それがエネルギー・[R]eボリューションです。
*本文中のCO2排出量はすべて直接排出の値。
発電時に発生するCO2を発電所の排出とする計算方法。
これに対して、発電所で排出された電力によるCO2を、電力を消費する企業や家庭などの排出とする「間接排出」がある。
データ出典:気候ネットワーク編「よくわかる地球温暖化問題」(中央法規出版株式会社)