コンゴの森
© Jan-Joseph Stok / Greenpeace
アフリカのコンゴ盆地には世界第2位の広さを誇る熱帯雨林が残されています。
森の半分以上が位置するコンゴ民主共和国だけでも4000万人が森から恩恵をうけて暮らし、オカピやコンゴクジャク、ゾウをなどアフリカならではの野生動物を見ることができます。
1万種にものぼる植物によって作り出されるコンゴの森は、多くの炭素を蓄積することができ、気候を安定した状態に保つ大きな役割を果たしています。
しかし、近年の大規模な商業伐採によってコンゴの森は消失の危機にさらされています。
価値の高い木だけが切リ出される森では、特定の種類の木が急激に数を減らし、ワシントン条約(CITES)で絶滅が心配されているほどです。
問題だらけの森林管理
© Greenpeace / Philip Reynaers
財政難で、企業に伐採権を与える審査や、違法伐採の監視が機能していなかったコンゴ民主共和国では、2002年に新たな森林管理の法律が施行され、伐採企業が支払う税金の一部が、地方政府の森林管理と、地域住民の援助に割り当てられることになりました。
しかし、地元の監視員は低賃金で雇われ、本部との連絡手段や監視に必要な装備が与えられず、森へパトロールに出るための車も支給されていません。
これでは、森の奥深くでおこなわれている伐採を管理することは不可能です。
グリーンピースの調べで、伐採地域の人々はこれまで一度も、企業からの援助金を受け取っていないことも明らかになっています。
企業の義務となっている、地元地域のための道路や学校、診療所などのインフラ設備が整えられることもなく、住民は自分たちの権利を主張する手だても知りませんでした。
森林伐採の後の密猟
近年、伐採の終わった森で密猟が多発しています。
コンゴ民主共和国の抱える厳しい経済状況と人口増加が引き金となり、野生動物の肉で収入を得たり、タンパク源を補う人たちが増えたことが原因です。
密猟者にとって伐採後の森は好都合で、木材を運ぶために使われていた道が森への侵入を助け、隠れる場所を失った野生動物を簡単に獲物にすることができます。
解決策
© Greenpeace / Kate Davison
グリーンピースの呼びかけにより、コンゴ民主共和国の森林管理法は見直され、違法操業していた企業の伐採権は取り消されました。
伐採権を発行するシステムもより厳しく改善されましたが、いまだ管理の甘さが大きな課題として残っています。
いま、コンゴの森が必要としているのは、商業的な伐採の継続ではなく、森の区画整理や利用計画、より完全な法的な仕組み、そして確実に実施できる管理体制を実現することです。
そして少なくとも、コンゴ民主共和国の15%の広さの森林を保護することが、求められています。(現在はたったの7.7%)
同時に、森林群落や観光など、森のもつ伐採とは別の価値に目を向けることも大切です。
グリーンピースは、後世に豊かな森を残すことができる産業こそが地域の人々の経済を長期的に助け、豊かな生態系の保護につながると考えています。