パプアニューギニアの森
© Greenpeace / Gerald Cubitt
鮮やかな色の羽をもつゴクラクチョウ(極楽鳥)がシンボルのパプアニューギニアは、260種のほ乳類、720種の鳥類が生息し、まさに生命の多様性にあふれた国です。
ニューギニア島の生きものの半数はここでしか見ることのできない貴重な種で、近年も多くの新種が発見されるなど、生きものの宝庫として注目されています。
そして、先住民族の暮らしも多様で、世界の1/3にあたる1000もの言語が話されています。
この多様性を育んでいるのがパプアニューギニアの熱帯雨林で、その豊かさからインドネシアの森とあわせてパラダイスフォレスト(楽園の森)と呼ばれています。
人々にとって森は、食糧も薬もそろうスーパーマーケットのような存在です。
そして、森の中で産まれ、森の恵みをうけて生活する先住民族にとって、パラダイスフォレストは彼らの命そのものでもあります。
世界一のスピードで消えていくパラダイス
© Greenpeace / Jeremy Sutton-Hibbert
しかしパラダイスフォレストは、安価な木材を求める先進国からの需要に応えるため、世界でもっとも早いスピードでその姿を消しています。
木を全て切り倒し、価値のある木だけを持ち去る伐採方法(皆伐)は、森の回復を難しくするだけでなく、そこに暮らす生きものに大きな環境の変化を強いています。
驚くべきことに、パプアニューギニアの森では、たった1本の商品価値ある木を切り出すために、17本の不要な木が切り倒されている計算になるというレポートも、発表されています。
企業による乱暴な伐採
グリーンピースは地元の人々と一緒に、パラダイスフォレストの保護活動に取り組んでいます。
先住民族への聞き取り調査によって、企業は地域の人々を銃で脅し、無理やり伐採の許諾をとったり、地元警察に賄賂(わいろ)を渡して違法な伐採を見過ごさせていることがわかりました。
他にも様々な違法行為が明らかになったことで、中心的な伐採企業だったコンコードパシフィック社はパプアニューギニア西部のマレー湖周辺の伐採地を手放すことになり、森は人々の手に戻ってきました。
解決策はコミュニティ主体の森林管理
© Greenpeace / Natalie Behring
グリーンピースは破壊的な伐採の代わりに、エコフォレストリーと呼ばれる地域主体の森林管理プログラムにも力を入れています。
現地のNGOと協力して、地域の人々が区画の整備や土地の利用方法、持続可能な木の切り出し方などを学び、コミュニティ単位で地域の森を管理・利用できるようになっています。
また、日本を含めた世界中の消費国で、パプアニューギニアの木材を輸入している企業に対して、環境に配慮した木材の調達をすすめる取り組みも行ってきました。
パプアニューギニアとソロモン諸島からはじまったエコフォレストリーは、現在、インドネシアの森でも採用されています。グ
リーンピースは商業伐採を減らし、自発的に森林を管理するコミュニティを増やしていくことで、わずかに残されたパラダイスフォレストの保護を進めていきます。