食品放射能調査第10回目 スーパーマーケット 魚介類

記事 - 2012-12-07
食品流通の中で広がる放射能汚染を調査するため、東北地方と関東地方のスーパーマーケットで抜き打ち調査を行いました。この調査で検査した食品の購入は、ボランティアの市民調査員の方がご協力下さいました。みなさまありがとうございました。

放射能測定室 シルベク 食品放射能調査
10回目:スーパーマーケット魚介類

調査結果

10月24日から11月6日にかけて、福島県、宮城県、東京都、千葉県、神奈川県の店舗で購入した、北海道~太平洋産の魚介類25サンプル中3サンプルから、1キログラムあたり最大78ベクレルの放射性セシウム(セシウム134+137)が検出されました。

すべての検査結果と商品情報

↑クリックするとPDFでご覧になれます

検出された3サンプルは以下の通りです。

  • イオン(福島県)で購入したマダラ
    「岩手」とラベルに記載
  • ユニー(アピタ)(神奈川県)で購入したマダラ
    「北海道」とラベルに記載
  • ユニー(アピタ)(神奈川県)で購入したスズキ
    「千葉」とラベルに記載

第9回目調査に引き続き、マダラで放射性物質が検出されました。

日本で獲れるマダラは複数の系群に分かれていますが、太平洋北系群のマダラは東日本太平洋沖を南北に移動しています。
今回放射性物質が検出された岩手県を産地とするマダラは、汚染海域から北上した太平洋北系群のマダラが岩手県で水揚げされたものだと考えられます。

一方、放射性物質が検出された北海道を産地とするマダラに関しては、太平洋北系群のマダラが北海道の漁港で水揚げされたと考えられますが、産地情報が「北海道」しかない状態では、北海道沖を泳ぐ陸奥湾産卵群の可能性も否定しきれず、断定することができません。

また、今回放射性物質が検出された千葉産を産地とするスズキにおいても、東京湾で獲られたものなのか外房で獲られたものなのか、あるいは他の海域で獲られたスズキが千葉県の漁港に水揚げされたものなのか、「産地:千葉県」というだけの情報では断定することができません。

商品およびサンプル購入先店舗などの情報は、PDFでご確認ください。

調査内容

  • 調査期間: 2012年10月24日~11月13日
  • 対象: 合計 25サンプルの鮮魚
    東北地方で購入した魚、15サンプル
    関東地方で購入した魚、10サンプル
    太平洋側で漁獲された天然魚
    マダラ、サンマ、カツオなどの季節の魚
    マアジ、サケなどの食卓になじみ深い魚
  • 購入場所: 大手スーパーマーケット5社(イオン、イトーヨーカドー、ユニー(アピタ)、ダイエー、西友)
  • 検査方法: 第三者機関で、ゲルマニウム半導体検出器を用いてヨウ素131、セシウム134、セシウム137について検査
    第三者機関からの検査結果報告書>>

グリーンピースの提案

現在、政府や自治体によるスクリーニング検査は「主要漁港で週に一度」程度でしか行われておらず、政府の定める「食品に含まれる放射性セシウムの基準値(一般食品では1キログラムあたり100ベクレル)」を流通基準としています。
これでは汚染された魚の流通を完全に防ぐことは困難です。

一方、自主検査を行っているスーパーマーケットや回転寿し店もありますが、政府の検査や基準に頼っている企業も多くあります。

さらに、牛肉では実現しているトレーサビリティー体制(いつ、だれが、どこで生産し、どのような経路で流通したかを追跡することができる仕組み)が魚介類で確立されていないことが、消費者の不安を払しょくできないことに拍車をかけています。

消費者の不安を解消することが、漁業復興の実現に必要不可欠です。そこで、グリーンピースは下記3つの取り組みを提案します。

  1. 汚染された魚介類の流通を防ぐ

    © Greg McNevin/Greenpeace
    魚介類が水揚げされる漁港は流通のスタートです。
    すべての漁港でより多くの検査が実施されることが必要です。
  2. 魚介類のトレーサビリティー体制をつくる
    スーパーや回転寿司などに並ぶ魚介類が、いつ、どこで、誰によって獲られたか、そしていつ、誰が、どのように流通したかを追跡できる流通システムをつくる必要があります。
  3. 安心して買い物ができるような情報を提供し、風評被害も防ぐ
    「1キログラムあたり○○ベクレル」という具体的な数値に加え、実際にその魚が獲られた海がどこなのかが表示されることで、消費者は自身の基準と照らし合わせて魚を選ぶことができます。

もちろん、二度と同じ被害を生まないよう、一刻も早く原発依存から脱却し、自然エネルギーへとシフトする政策が必要とされています。

グリーンピースの取り組み

  • 消費者と一緒に、大手スーパーで販売される魚介類の抜き打ち検査を継続します。
  • 地元の漁業者と協力し、魚介類に含まれる放射性物質の調査を計画的に継続します。
  • すべての調査結果を、消費者に分かりやすく発表します。
  • 消費者と一緒に、安心して買い物ができる情報が提供されるよう、大手スーパーに交渉します。
  • 日本政府に対して、検査の強化やトレーサビリティーの体制づくりを急ぐよう交渉します。

私たち消費者ができること1

寄付で調査を支えましょう!
グリーンピースが行う調査やその他の活動は、全て市民のみなさまの寄付で行っています。
一人一人のご寄付が、安心な食へとつながります。
ぜひ、ご寄付でご参加ください。

寄付はこちらから

私たち消費者ができること2

2012年9月、魚と海と私たちをつないでくれる漁業・水産業をサステイナブル(持続可能)にするための新しいプロジェクト『ママうみ』がスタートしてから、消費者である『ママうみ実行委員会』の皆さんが積極的にスーパーマーケットなどへ問い合わせをしています。
企業からの放射能検査や産地表示に関する回答 >>

しかし10月に入ってからは、問い合わせへの回答がなかったり、回答があっても情報の公表を断られるなど、スーパーマーケットは消費者と向き合うことに消極的です。
安心して魚を買うことができるよう、スーパーには企業の姿勢や取り組みを正直に教えてほしい、という声が『ママうみ実行員会』のメンバーからも寄せられています。

もし、あなたの問い合わせに回答がなければ、ぜひもう一押しを。
企業に「なぜ回答をくれないのか」「なぜ回答を公表してはならないのか」を問い合わせて、グリーンピースまでお知らせください。
ママうみ実行委員会について詳しくは、こちらをご覧ください >>

放射線調査

 

トピックス