沖縄・辺野古:不屈のストーリー

記事 - 2015-01-22
絶滅が危惧されるジュゴンやウミガメが生息する沖縄・辺野古の海。アオサンゴ群衆もある自然豊かな大浦湾が、米軍普天間飛行場の移設にともなう新基地建設のために、今にも埋め立てられようとしています。

絶滅が危惧されるジュゴンやウミガメが生息する沖縄・辺野古の海。アオサンゴ群衆もある自然豊かな大浦湾が、米軍普天間飛行場の移設にともなう新基地建設のために、今にも埋め立てられようとしています。

「新基地建設にNO」を訴える沖縄の人々の活動は18年も続いていますが、いま、大きな局面を迎えています。おじい、おばあ、若者、県知事まで、沖縄の多くの人が新基地計画に反対しているにもかかわらず、日米両政府は工事を強行的に進めようとしているのです。
それに屈することなく、米軍キャンプ・シュワブのゲート前では毎朝6時過ぎから工事車両を止めようと体をはっている人たちがいます。そして海上でも、船やカヌーに乗った人々が工事の中止を直接訴え続けています。グリーンピースは、ジュゴンを守るため、そして次世代のために海を守ることを決意した勇気ある9人のストーリーを取材・撮影しました(撮影:イアン・テー)。

嘉陽宗義さん。「嘉陽のおじい」と慕われる辺野古の長老、93歳。第二次世界大戦で海軍の兵士として現在のベトナムに出征。爆撃を受けて左脚の付け根に大きなけがを負った。「沖縄から基地がなくなる、それが理想」と語る。



西平伸さん。名護市大浦湾を拠点とするダイビングチーム「すなっくスナフキン」の代表。キャンプ・シュワブの対岸で生まれ育った。自宅に写真展のスペースをもち、貝や生き物の標本、撮影した写真を展示して、大浦湾の自然の素晴らしさを伝えている。



鈴木雅子さん。ジュゴン保護のための調査活動を続ける市民グループ「北限のジュゴン調査チーム・ザン」の代表。沖縄出身の夫と家族で名護市に暮らす。



沖縄のいたるところで、自然との共存と、新基地建設に反対する不屈の精神を感じられる。


安次富 浩さん。ヘリ基地反対協議会共同代表。1997年に普天間飛行場の返還に伴う新基地建設の是非を問う名護市の住民投票が行われ、安次富さんは市民運動を始めた。辺野古に米軍新基地を作らせないため、18年以上新基地反対を訴え続ける。



東恩納琢磨さん。エコツーリズムでの地域おこしをすすめている。名護市議会議員。沖縄の都市部のベランダにたくさんのカヌーが置かれていることに気づき、環境学習と阻止行動に使わせてほしいと説得してまわった。カヌーは、2004年から2005年にかけて辺野古でのボーリング調査を止めるのに大きな力を発揮した。



渡具知武清さん。名護市在住の測量士。18年前に最初の子供を授かった時、突然ふりかかってきた新基地計画をめぐって子どもの未来を考えるようになった。それ以来反対運動にたずさわり、子どもたちも安心して参加できる「ピースキャンドル」を12年前に家族で始めた。



毎朝午前6 時過ぎ、新基地に反対する市民がキャンプ・シュワブのゲート前に集まる。高齢の人も多く、自分たちの体をはって工事車両を止めようとしている。辺野古はいま、大きな局面を迎えている。ゲート前には地元の政治家も集まり、市民とともに抗議の声を上げている。市民を排除しようと、東京から警視庁の機動隊も投入された



仲宗根和成さん。辺野古の海上で抗議船船長をしている。沖縄県本部町の出身で、エコツアーガイドを7年やっていた。週に6日は海に出て、早朝にはキャンプ・シュワブゲートの前の抗議行動にも参加する。基地が返還され、観光産業を中心とした沖縄にしたいと希望を語る。



浦島悦子さん。辺野古の活動を記録し続ける女性作家。沖縄に移住してから25年、基地問題、辺野古・大浦湾の自然、自然と人との関わりや文化に関する本を出版している。取材のとき「平和憲法」として知られる日本国憲法第9条が書かれたTシャツを着ていた。



相馬ゆりさん。辺野古の海上での抗議船の船長。介護福祉士として働き、沖縄に住む前から辺野古に通うようになる。辺野古にも沖縄にも、そして日本にも、米軍基地も軍隊もなくなることを望んでいる。



「環境保護活動は多くの場合、外側から、しかもメディアでの短いインタビューやコメントなどの弱められた形でしか報道されません。私が沖縄・辺野古を撮影した目的は、環境保護活動を続ける人たちの背景、つまりそれぞれの人がもつストーリーや、環境保護活動を始めた動機を多くの人に紹介することです。これは、辺野古を守るための活動を支える人たちの『ストーリー』です」 — イアン・テー

Ian Teh: 英国人写真家。マレーシアに生まれ、英国とマレーシアを拠点に社会問題、環境問題や政治をテーマに活動する。


 

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