ママうみ座談会 第8回 家族や子どもたちのために、私たちが動いた理由

記事 - 2012-12-13
第8回 「実際の企業の対応は?」
 

参加者プロフィール

上條祐美さん
神奈川県在住 2児のママ
ママうみ実行委員ママ代表

私たち大人は原発を受け入れてきた責任があり、親として何もしないわけにはいかず、今後も子孫に負の遺産を残していくのだから、せめて遺伝子を残す世代には可能な限り安全な食べものを食べてほしいという思いでいっぱいです。

田島剛さん
埼玉県在住 2児のパパ
ママうみ実行委員パパ代表
ボスジム ジャパン 代表

食べる物には限りなく放射性物質が含まれていない方が良い。本来これがどの親も考える当たり前の事だと思います。
子どもを守れるのは親しかいません。親がハッキリと声を上げ、子どもたちの希望ある未来を守らなければならないと私は思います。

新井忍さん
埼玉県在住 3児のママ
内部被ばくを考える市民研究会・事務局
アロマアドバイザー・サプリメントアドバイザー

健康関連に携わっていたため、原発事故の危険性はすぐに察知しました。
一時避難、給食拒否など、子どもを守ることをしていたが、メルトダウンの発覚を機に、自分の子どもだけを守っている場合じゃないと動き出しました。

崎田美奈子さん
埼玉県在住 2児のママ
5年後10年後子どもたちが健やかに育つ会・越谷で事務局長

事故後、あまり危機感を持っていなかったが、友人の影響を受けて考えるようになりました。
家族で釣りをするので、今後の海への放射能汚染の広がりに関心を寄せています。

宮地大祐
東京都在住
グリーンピース・ジャパン
ボランティア・ロジスティクス担当

グリーンピースが世界中から有志を募って核実験場に船を出して反対活動を行っていることを知り、その行動力と使命感に共感。2007年よりグリーンピース・ジャパンにて活動を開始。
福島での放射能調査に携わると同時に、ママうみ実行委員会を立ち上げ、アドバイザー的存在としてメンバーと一緒に活動をしている。

 
 

 

スーパーに買い物に行ったとき、お魚の産地表示が、水揚げされた場所なのか魚が獲られた場所なのかが分かないということで、第2回目のママうみ座談会で、メンバーの崎田さんがイオンにメールで問い合わせをしました。
その結果報告を伺います。

ママうみ座談会 第8回
「実際の企業の対応は? 」

2012年12月13日

宮地:  第2回目の座談会で崎田さんがイオンにメールで問い合わせをしましたが、あれから連絡はありましたか?

崎田さん:  返事、まだないです。

上條さん:  私もメールしたけど、返事ありません。でも、イオンに直接電話をしたらとっても丁寧で、折り返してくれることもあるけど、やっぱりメールは無視されますね。

新井さん:  なんでだろう?

宮地:  この場で電話して聞いてみましょうか?

崎田さん:  いつも使っているイオンレイクタウン店に電話していみます。漁獲海域についてと、なんで返事をくれないのか聞いてみます。

崎田さんが送ったメールの内容

先日買い物に行ったときに疑問に思ったのですが、お魚売り場の産地表示が「長崎」「千葉」などの表示だったのですが、水揚げされた場所なのか魚が獲られた場所なのかが分かりませんでした。今、放射能の問題などもあって魚が獲られた場所が分かるととても買いやすいです。できましたら、魚が獲られた場所を細かく表示していただけないでしょうか。これからもイオンさんで買い物を続けていきたいと思っています。どうぞ、よろしくお願いいたします。

――イオンレイクタウン店(埼玉県越谷市)へTEL。
いろいろな部署に電話が転送され5-10分経過 担当者とのやり取り5分弱――

崎田さん:  電話の対応は本当に親切でした。結果としては、メールの返信がない理由は、本社からメールが各店舗へ転送されて返信の指示が来るけれど、それが来ていないようだとのこと。'お客様の声'のような問い合わせフォームに紙で書くと返事が来るそうです。あと、漁獲地域の表示はしているのとのこと。でも、今回の電話で各店舗はきちんと回答する気持ちあることが分かりました。

上條さん:  各店舗で対応してるのは驚きですね。

新井さん:  不思議な対応。本部から各店舗に回すなんて。

崎田さん:  そうだよね。「イオンだから」買い物してるのに。

上條さん:  各店舗は対応するけれど、本社はしないという事でしょうか。

新井さん:  でも、これって、システムとして時間がかかってますよね。本部に一度行ってから店舗にいくなんて。

--つづいてイオン本社へTEL。折り返しの連絡をもらえることに--

崎田さん:  さすが本社は対応が早く待たされることはなかったですね。しかも、メールの返信がない事を話すとお詫びも言って下さったし。

--崎田さんへイオン本社からの折り返し電話が--

崎田さん:  一般的には漁獲地域を表示しているそうです。ホームページの検査結果に、漁獲地域と水揚げ地域を表示しているそうです。分からないことは、売り場で直接聞いて下さればとのことです。でも電話だと折り返してきて本当に丁寧な対応で、応援したいと思うのに、メールだと返事すら返ってこないのが残念です。

宮地:  皆さんの話や、ママうみ実行委員会メンバーからの報告を聞いていると、スーパーマーケットは消費者と向き合うことに消極的な印象を受けます。

上條さん:  安心して魚を買うことができるよう、スーパーには企業の姿勢や取り組みを正直に教えてほしいですね。

崎田さん:  とくにイオンはゼロ目標を掲げているので、しっかりとした対応を今後も期待したいですね。

新井さん:  安全を求める声が上がることで、だれもが安全な食品を口にできるようになると思うんです。

崎田さん:  でも、公表を拒否するお店はひどいですね。とても良いお店で頑張ってほしいから問い合わせてるのに・・・。攻撃してるわけじゃないから残念ですね。

行政にも責任がある

田島さん:  本当は行政から企業へトップダウンであるべきですよ。僕は企業を責めるよりは行政の責任を追及したいです。

上条さん:  政府のウェブサイトに放射能測定の検査結果が出いますが、それが信用できるかどうかも問題ですよね。国の基準が高いから消費者は不安なんです。

田島さん:  先ほどの船橋の漁師さんの話もそうですけど、数値的には高い放射線値が本当にでてないっていう話が結構出るのに、なんで基準が100ベクレルなんですかね。高い数値が出る場所はピンポイントで分かるはずなんです。そこを補償することは不可能なのかなって不思議です。

上條さん:  本当に汚染がある場所は全部補償してくれれば、風評被害なんてものは起こらないはず。

宮地:  生産地、流通経路を明確にする、つまりトレーサビリティを確立することが必要です。一つだけに偏ってしまうのでは良くなくて、企業、行政、消費者の取り組みの相乗効果で安全な食品を食べることができるようになると思います。

さて次は最終回。このママうみ実行委員会のメンバーに参加して変わったこと。そして今後のグリーンピースの活動について報告します。

これまでにメンバーが問い合わせた企業の回答はこちら >>

photo: © GREENPEACE/Kazuya Hokari
撮影協力:クレヨンハウス 表参道店

トピックス