ママうみ座談会 第9回 家族や子どもたちのために、私たちが動いた理由

記事 - 2013-01-08
第9回座談会 最終回 「ママうみ実行委員を始めて変わったこと」
 

参加者プロフィール

上條祐美さん
神奈川県在住 2児のママ
ママうみ実行委員ママ代表

私たち大人は原発を受け入れてきた責任があり、親として何もしないわけにはいかず、今後も子孫に負の遺産を残していくのだから、せめて遺伝子を残す世代には可能な限り安全な食べものを食べてほしいという思いでいっぱいです。

田島剛さん
埼玉県在住 2児のパパ
ママうみ実行委員パパ代表
ボスジム ジャパン 代表

食べる物には限りなく放射性物質が含まれていない方が良い。本来これがどの親も考える当たり前の事だと思います。
子どもを守れるのは親しかいません。親がハッキリと声を上げ、子どもたちの希望ある未来を守らなければならないと私は思います。

新井忍さん
埼玉県在住 3児のママ
内部被ばくを考える市民研究会・事務局
アロマアドバイザー・サプリメントアドバイザー

健康関連に携わっていたため、原発事故の危険性はすぐに察知しました。
一時避難、給食拒否など、子どもを守ることをしていたが、メルトダウンの発覚を機に、自分の子どもだけを守っている場合じゃないと動き出しました。

崎田美奈子さん
埼玉県在住 2児のママ
5年後10年後子どもたちが健やかに育つ会・越谷で事務局長

事故後、あまり危機感を持っていなかったが、友人の影響を受けて考えるようになりました。
家族で釣りをするので、今後の海への放射能汚染の広がりに関心を寄せています。

宮地大祐
東京都在住
グリーンピース・ジャパン
ボランティア・ロジスティクス担当

グリーンピースが世界中から有志を募って核実験場に船を出して反対活動を行っていることを知り、その行動力と使命感に共感。2007年よりグリーンピース・ジャパンにて活動を開始。
福島での放射能調査に携わると同時に、ママうみ実行委員会を立ち上げ、アドバイザー的存在としてメンバーと一緒に活動をしている。

 
 

 

2012年9月21日にママうみ実行委員会が立ち上がり、これまでに120名以上の方が、メンバーに登録し、スーパーマーケットや回転寿司店に調達方針などについて問い合わせをしたり、要請書を提出したりしてきました。

自分たちが立ち上がった理由や活動についてざっくばらんに3カ月間にわたり話し合ってきたメンバーを代表して5人の方に、参加した感想、今後へのつなげ方について聞いてみました。

第9回座談会 最終回
「ママうみ実行委員を始めて変わったこと」

2013年1月8日

『ひとりじゃない』とわかるのがうれしい

宮地:  みなさんはママうみ実行委員会メンバーになって何か変わったことや、周りの反応はありますか?

上條さん:  ママうみに関しては、個人でやったことを集約して公開してくれるので喜んでくれる人が多いです。

宮地:  そういう声があるって、本当にうれしいですし、今後の活動の励みになります。

上條さん:  普段はあまり放射能を心配する人が周りにいないので、自分がおかしいのかな思ってしまうんです。でも、そうじゃないと思わせてくれる後押しがあるのは心強いです。

崎田さん:  私は先日、ママうみセミナーを企画したんですが、そこでみんなが「何かやらなきゃ」っていう気持ちになって、みんなママ実行委員メンバーに申し込んだり、友だちに拡散したりしてました。

上條さん:  そういう声が聞かれるのってすごくいいですよね。自分が買い物してても、これどうなんだろうって誰もが思ってます。それを個々に思うのではなくて、共通した意識として持つことが必要なんです。

宮地:  他のメンバーからも、実際に企業からの返答をうけ、問い合わせする以前と比較すると、利用するときの安心度が格段に違うと報告が出ていますね。

上條さん:  この座談会も、これまで気にしていたけれど口にできなかった人が、人前で話せる雰囲気ができて良いし、実際「これまで言えなかったけどうれしい」と言ってくれたママもいましたね。

田島さん:  放射能に対する危険性の認知度が上がらないと話にならないですね。放射能のリスクの話をするとタバコとか酒とか不摂生の方がリスクだっていう話にすり替えられている。

崎田さん:  そうそう、よく交通事故などとも、すりかえられますよね。

田島さん:  そのすり替えを鵜呑みにするのは不思議です。でも、放射能によってどういった影響があるのかを知ったら、もっと真剣になると思うんです。

新井さん:  そうですね。あと、お父さんの理解をなかなか得られないのが課題です。

田島さん:  うちは、母親より自分の方が気にしてますね。母親が気を付けないと、放射能を避けるのは難しいと感じる時もあります。

上條さん:  うちは、週末にパパに子どもを預けて、どんなものを食べさせたか聞くと、放射能に気を使ってなくて驚くことがありますね。

新井さん:  ママうみ実行委員が増えているので、たくさんのご両親が声を上げれば企業を動かしていけると思います。1人の力は小さいけれど、小さな力が集まれば大きな力になると思います。輪を広げていきたいですね。

宮地:  ほかの実行委員の方も、「1人じゃない」のが分かるのがうれしいといった声が寄せられています。勇気づけになったのはうれしいです。

田島さん:  このような場って情報共有や集まれる場所は大切なので、なくしちゃいけないと思いますね。1人でやっていると、あきらめそうになる。それに負けないためにも、頑張っていきたいと思いますね。

ネットワーク作りがポイント!

宮地:  以前、田島さんがおっしゃっていた、ネットワークを作っていきたいという話が僕はすごく印象に残っています。

田島さん:  企業や自治体から独立したネットワークがプレッシャーをかけていくのは大事なことだと思います。

崎田さん:  主婦の一人として何が正しい、悪いかを判断することは難しいんです。あっちにフラフラこっちにフラフラする中で、皆さんと話して自分のやっていることは間違っていないという気持ちになりました。小さいお子さんをもつ人で話し合えたのが良かったです。ひとりじゃないと思えることが大事です。

宮地:  崎田さんはセミナーも開いて、広める役割もしてくださっていますよね。そしてママうみ実行委員会でアクションも起こしてくださっている。ありがとうございます。

崎田さん:  でも、私はセミナーで、花岡さん(グリーンピース・ジャパンンの海洋生態系問題担当)から聞くまで乱獲のことを知らなかったです。一緒に聞いていた小学校2年の息子が次の日に作文に書いてました。うちの息子はお魚大好きで。先生に褒められましたよ。

宮地:  未来のホープ誕生ですね!

上條さん:  私は今回ママうみに参加させてもらって、気にしているけど声を出せない人を巻き込んで雰囲気づくりができたのはうれしいし、たくさんの声を企業に伝えていくことができてよかったと思っています。これから私がやりたいことは、情報をたくさんの人に伝えていくこと。この活動のこともそうだし、放射能の情報をたくさんの人に伝えていくことを今後は続けていきたいと思います。

宮地:  そうですね。さきほど田島さんが言ったように、「知らない人」もいらっしゃるので、そういう方にも届くと良いですね。

上條さん:  はい。あと、ママうみのような活動で、政府にも働きかけたいですね。

宮地:  みなさんの行動のきっかけづくりをグリーンピースも続けていきたいと考えています。2013年は、スーパーマーケットの調達方針やトレーサビリティに関する結果を発表する予定ですし、もっとこの活動を広げて盛り上げていきますので、ぜひよろしくおねがいします。 みなさん、ありがとうございました。

photo: © GREENPEACE/Kazuya Hokari
撮影協力:クレヨンハウス 表参道店

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