――2008年GMナタネ自生調査全国報告集会in 名古屋


今年で4回目となる「GMナタネ自生調査全国集会」(遺伝子組み換え食品いらない! キャンペーン主催)が、7月12日と13日の2日間、名古屋で開催されました。食品の原料として種子のまま輸入される遺伝子組み換えナタネは、港から工場まで運ばれる運搬ルートでトラックからこぼれ落ち、道端に自生しています。この遺伝子組み換えナタネの自生の実態を明らかにする汚染調査が2005年から続けられているのです。


第1日目
1日目の集会では、今年度の調査で愛知県や三重県など10県から遺伝子組み換えナタネ合計86株(検体)が見つかったことが報告されました。会場には、農学博士や遺伝子組み換え問題に長年取り組むジャーナリストたちの話を聞きに多くの方が集まり、主催者が用意した200部の資料はあっという間になくなりました。満席になった部屋はこの問題への関心度を表していました。集会の最後に採択された声明には、「私たち自身は、これまで通り遺伝子組み換え食品は作らない、扱わない、食べないという立場を貫きます。遺伝子組み換え食品がなくなる日まで反対して闘っていきます」と強いメッセージが含まれ、会場からは大きな拍手が沸き上がりました。

第2日目 
2日目は、環境省も遺伝子汚染が広がる場所として危惧する三重県四日市市を訪れ、国道沿いなどの道端にこぼれ落ちた遺伝子組み換えナタネを抜き取りました。抜き取りをしてくれるのはボランティアさんで、「遺伝子組換えナタネ抜き取りたい(隊)」と呼ばれています。この日参加した隊員の数は40名を超えました。

まずは、カノーラ油やサラダ油の原料となる遺伝子組み換えナタネが輸入され、積み下ろされる四日市港を見学。大きなパイプの中をナタネの種子が一気にサイロに吸い込まれていきます。このパイプに隙間や穴があれば、小さなナタネはもちろんこぼれ落ちてしまいます。


ナタネは一度サイロに蓄えられ、サイロ直下に待機している運送トラックで、各工場まで運ばれます。トラックに積まれる時、風などで吹き飛んだナタネが近くにこぼれ落ち、サイロの周りでは小さく発芽していました。また、こぼれ落ちたナタネを食べにくる鳥もいるそうです。鳥が食べる種には消化されずに糞と混ざり、別の場所へ運ばれることもあります。これでは、一体どれほど汚染が広がっているかを把握するのはとても困難です。

‘抜き取り隊’による調査が始まりました。場所は港から続く国道沿いです。A~E班に分かれた7~8人づつの各グループが、国道沿いの道を約1キロにわたって調査しました。

歩き始めてすぐ、ナタネを発見! 驚いたのは発芽して数週間も経っているようなものもあれば、花を咲かせているものもあるのです。そしてすでに種をつけている状態のものもありました。雑草性というか、生命力が強いアブラナ科は一年中、発芽し、花をつけ、実をつける作物だということも再確認しました。

また、遺伝子組み換えナタネは除草剤に耐性を持っています。すでに除草剤が撒かれ、雑草などが枯れているにも関わらず、育っているのは遺伝子組み換えナタネの証拠です。これは見ただけで分ります。そのナタネを抜き去った時は嬉しさがこみ上げてきましたが、やっぱり自生しているのかぁ、という悲しさも入り混じります。


E班が1キロ歩いて持ち帰った検体数は38本。それを6グループに分け、チームごとに試験紙を使い遺伝子検査をしました。私の入っていたグループからは2種類の除草剤(ラウンドアップ(モンサント社)とリバティリンク(バイエルクロップサイエンス社)に耐性を持つ検体が、6検体グループ中の4検体グループからでました。

全体ではラウンドアップ耐性の遺伝子組み換えナタネが7グループ、リバティリンク耐性の遺伝子組み換えナタネが8グループ、そして両方の除草剤に耐性を持つものが9グループ、そして陰性反応を示したものが4グループありました。

遺伝子組み換えナタネがこぼれ落ち、国内で自生し、日本の生態系を脅かしているのは動かぬ事実です。政府はこれに対しなんらの対策も立てず、遺伝子組み換え作物の自生を許しています。カナダでナタネの交雑汚染をコントロールできず、数年間であっという間に遺伝子組み換えナタネが従来のナタネと交雑を起こしてしまったという例があります。この実例から学び、政府は早急に対策を打つべきです。

地球の生物多様性を脅かす遺伝子組み換え作物を根絶するため、遺伝子組み換えナタネの抜き取り作業は続いています。