スロー・ムーブメントでおなじみの友人・辻信一さんは、「忙しい」と「疲れた」を言わないらしい。私も「疲れた」のほうは、「憑依」を意味する「憑かれた」と通じるので使わないようにしているが(言葉は口にすることで力をもつというシャーマニスティックな感覚にちょっぴり敬意を表して)、「忙しい」を言わないのは難しい。辻さんだってけっこう忙しそうなのに、大学での教職をはじめ数えきれないNGO的活動を涼しい顔でこなしているから敬服してしまう。


いや、じつは「疲れた」を言わないのも至難の技で、事務所で帰宅するスタッフを見送るときなど、みんなは「おつかれさ~ん!」と声をかけるのに、私だけはこだわって「ご苦労さま~」と言う。ところが、厳密には「ご苦労さま」は立場が上の者から見下した表現だそうで、相手が対等か敬うべき立場だと失礼にあたるというから、まったくややこしい。


もうひとつ、ずっと気になっているのは「がんばる」。人に「がんばってね」とか、自分でも「がんばります」とか口にしながら、言葉の響きががむしゃらで美しくない。何かいい表現はないだろうか。


この季節、事務局長以下グリーンピースの幹部は、どこの国の支部も超がつくくらい忙しい。国際組織なので財政年度が年末年始で区切られるため、9月ごろから来年度計画と予算の策定にかかり、12月1日には世界中の支部がいっせいにそれを提出するのだ。その前に、各支部内で計画のとりまとめ作業があり、11月はじめには全世界の事務局長がアムステルダムの本部に集まってグリーンピース全体の方向性や整合性を調整する事務局長会議があり(いまその最中!)、各支部ごとに理事会から来年度計画を承認してもらうプロセスがある。


これに加えて、今年のグリーンピース・ジャパンは二つ大きなおまけがついている。一つは、来年から気候変動とエネルギー(核問題を含む)のキャンペーンを再開するにあたり、ほぼ一年がかりの準備と助走を経て、おおまかな活動内容を決める作業。グリーンピース・ジャパンは原子力やプルトニウム利用に反対する立場で実績を築いてきたし、いっぽう地球温暖化問題はいまやだれもが口にするほど一般化して、よほどユニークでしっかりしたことをやらないと、かえってグリーンピースの評価を落としてしまう。


もう一つは、やはり一年あまりかけて、NGOとしての制度的なインフラを立て直してきた仕上げにかかり、各種の新規則導入だの、部署の新設だのと、いつになく手間隙がかかる。しかも、新設部署はまだ部長が決まらないので、事務局長がしばらく暫定部長を兼任している。それでも、いろいろ中途半端だったことが整理されて、日本のNGOでは類を見ないくらいフェアで働きやすい勤務環境が整ったと思う。夜もダラダラ仕事をしないで、8時をすぎたら人影はまばらだ。


というわけで、コミュニケーション部長、組織サポート部長、エグゼキュティブ・コーディネーターなど、これからのグリーンピース・ジャパンを支える重要ポストを募集中。ふるってご応募、ご紹介ください!


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