ホエール・ウォッチングで考える(その3:最終)



ホエール・ウォッチングに参加して、潮を吹きながら悠々と泳ぐザトウクジラの姿に感動し、今回のオーストラリア訪問で出会ったたくさんの人々からインスピレーションを受け、考えさせられたことがありました。



(c) Greenpeace

私はあくまでも「感情論」を横によけるスタンスでしたが、オーストラリアで何度も調査捕鯨の不正を熱弁する中でふと自分に問うことがありました。それは、「クジラや政府の腐敗に対して感情的になって何が悪いの?」ということ。


「5才の子どもが見ておかしいと思ったら、それはすでに政治的に腐敗している」という言葉があります。国民に何もメリットがないのに、一部の利権だけのために南極海まで税金を使って大きな船団を送り、巨大な海洋性野生動物のクジラを1000頭近く殺戮し、欲張って捕りすぎたらそのまま海に投棄し、クジラの体にガンが見つかっても公表せずに販売用にパッキング、さらにはクジラ肉を横領して闇市場や政治家に送り続けている。おまけに調査といいながらランダム・サンプルの原則も守らず、まともな研究成果もないのに「調査捕鯨」と主張している……。


これまで日本政府は、捕鯨問題に関して諸外国に対し「感情的な議論をすべきではない」と言いつつ、逆に自らは“感情的”に一部の利権を守るだけの主張を繰り返してきたのではないでしょうか。


5才の子どもがこれを聞いたらどう思うでしょう? ちょっと難しいかもしれないけど……。


「感性の時代」と言われている中、「心を失った社会」が目の前に横たわっています。


そんな時代に、あえて自分たちのみずみずしい感性を積極的に発揮して、クジラという野生動物と人類の共通財産と言われる南極海の環境を守るために、日本政府の腐敗に対し「感情的にNOを突きつける」(もちろん絶対非暴力の原則を守りつつ)――個人的にはそれでいいのではないかなと思いました。



(c) Greenpeace
午後、二回目のクルーズはイルカの群れが一緒に泳ぎ、ザトウクジラと同じようなショーで出迎えてくれました。シドニーはいま500万人都市になったそうですが、そんな大都会からポンと船に乗って10分でイルカの群れ、20分でザトウクジラの群れに会える。イルカやクジラを身近に感じられる人々が捕鯨問題に感情的になるのは当たり前かも、と思いました。


日本も先の衆議院選挙で旧政権にNOを突きつけたように、まったく意味のない利権ビジネスに多くの野生動物の生死を巻き込むことに、国営事業である調査捕鯨の不正を隠蔽する歪んだ仕組みに、そして日本がだんだんおかしな国になっていくことにも、日本人として感情のこもったNOを突きつけてみませんか(あくまでも非暴力の枠内で)?


この旅を通じて、ほんとうにたくさんの新しい友人ができました。船の中で、知らない人から「あなた、あのアクティビストでしょ? 水曜日の講演に行きたかったけど、都合がつかなかったのよ」と声をかけてもらううれしいハプニングもありました。地元メディアで大きく取り上げられたので、私の顔を覚えていたようです。



(c) Greenpeace

日本の調査捕鯨を厳しい目で見ている海外の人々は、調査捕鯨が大きな嘘のかたまりで、補助金や天下りといった政府腐敗の巣窟であることを知っています。日本の信用回復のためにも、調査捕鯨の早期中止は非常に重要です。


同じことを考えている人たちは日本の新政権にも、官僚にもたくさんいることは明らかです。産業界にも官僚の中にも、本当に捕鯨問題によって迷惑している人たちが少なからずいます。

新政権が国民の期待に応えられるか?

今後の動きに注目しましょう。