あの日から3年、「忘れてほしくない」

東日本大震災直後、スタッフの安全を確認してからすぐにネット通話ができるSkypeを通じて、オランダにあるグリーンピース本部と連絡をとったのを思い出す。「ニュースでは、原発は大丈夫と言っているが、心配なので緊急対応チームを用意してほしい」と伝えた。その後、津波が町をのみ込む状況がライブ中継され、刻々と状況は悪化していった。

現時点でも誰も把握できていない原子炉内部の実態、溜まり続ける汚染水、そして避難生活を続ける被害者の生活も心も滅茶苦茶にされていることを考えれば、状況が何も改善されていないことは明らかだ。グリーンピースは、原発事故の3年目を前に、海外から原発への反対活動を行う市民を招き、福島を訪れた。そこで原発事故の被害者が口にしたのは、「忘れてほしくない」という事故の風化を恐れる声だった。


「経済成長」という印籠

最近の政治動向を見ると、時間の経過が原発事故を忘れさせる原因だとは思えない。むしろ、 経済破綻や安全保障の問題など、市民への恐怖や不安を煽ることで、国家主義的な大型公共事業や言論統制を進め、原発事故を忘れさせようとしている。「経済成長」「安全保障」という印籠(いんろう)を示され、「原発事故は忘れろ」と言われているのが実情ではないか。

その動きが具体的に表れているのが、秘密保護法、エネルギー基本計画での原発のベース電源化、原発輸出、そしてさらには集団的自衛権の行使を可能にしようとする動きだ。これらの政策を並べると、戦前戦後の「言論統制」、「富国強兵」時代にタイムスリップしたかのような「錯覚」に陥る。いや、すでに「錯覚」ではないのかもしれない。

自然エネルギーでスマートな社会を

一方で、21世紀型の成熟した社会では、地域社会に根差した人々のネットワークや、そういったネットワークから創造されたアイデアからうまれたきめ細かいサービスによって発展する地域経済が主流になるだろう。実際、地域の多様なステークホルダーが主体となった地域分散型の自然エネルギー発電は、急速に広がっている。電力自由化が地域社会にプラスになる方向で適切に進めば、この動きはさらに強まるはずだ。

「グリーン」で「ピース」な社会を

「グリーンピース (Greenpeace) 」という団体は、「緑豊かで平和な社会」を目指したいと言う普通の市民が集まってアメリカの核実験に反対するという活動からはじまったものだ。

それから43年が経過するが、気候変動や、人口増加による資源や環境への圧力は高まるばかりだ。資源をめぐって紛争が多発しそうな国際状況をみても、今ほど環境(Green)と平和(Peace)の問題が密接に関係する時代はないかもしれない。

東電の福島第一原発事故から3年目を前に、グリーンピースは「福島の証言」を集め、ウェブサイトで公開している。その証言には、忘れてはいけない声が詰まっている。ぜひ、まずはその証言を聞いてほしい。

そして、「グリーン」で「ピース」な社会のためにあなたができることを1つでも実行し始める、3年目の3月11日にしよう。

 

関連情報

特集ページ1:「福島の証言」世界が聞いた福島のいま

特集ページ2:グリーンピースの3年間の取り組みから見る東京電力福島第一原子力発電事故