原子力を推進する電力会社は「スパイ」や「やらせ」が好きらしい

EDF 

11月10日、フランスの裁判所は、欧州最大でフランス国有電力会社でもあるEDFがグリーンピースに対してスパイ活動を行ったとして、有罪判決を下した。

EDFの幹部社員2人などに執行猶予付き懲役刑と、罰金150万ユーロ(約1億6千万円)、さらにはグリーンピースに対して5千ユーロ(約5400万円)の賠償という厳しい判決だ。

EDFと言えば、原発推進のフランスにおいてその中心的役割を担ってきただけではなく、ヨーロッパ全体にその影響力を持つ電力会社である。その影響力と事業規模は東京電力の比ではない。

このEDFが、グリーンピースに対してスパイ活動を行っていたのだ。

2006年、EDFが英国のBritish Energy社を買収して英国市場に乗り出そうとしていた際、その反対を唱えていたグリーンピースに対してハッカーを雇ってコンピューターシステムに侵入し、原発に対するグリーンピースの活動を監視しようとしたらしい。


「スパイ」と「やらせ」どちらが悪い?

この「スパイ活動」も大問題だと思うが、よく考えてみると九州電力や北海道電力が行っていた「やらせ」の方が悪質な気がしてきた。

「やらせ」というと軽い感じがするが、実際は「民意の捏造」だ。

特に、原子力発電所のような、事故を起こせばその影響が甚大となるものに対する意見募集において「やらせ」は許されるべきではない。日本国憲法が保障する「民主主義」にそもそも反する。

今日、北海道の泊原発をめぐる「やらせ問題」で資源エネルギー庁が北海道庁を訪れ、「エネルギー政策の透明性を損なう行為は断じてあってはならない。道民に深くおわびしたい」と謝罪したらしいが、九州電力も北海道電力もエネ庁も、謝罪で済まされると思っているのだろうか?

原発が事故を起こしたときにその影響を受けるであろう自治体において、住民投票を行って意見を聞くのが「やらせ」を払しょくする唯一の方法だと思う。

もちろん、影響が広範囲に及ぶのだから国民投票がベストだ。


核の脅威に対峙して40年:グリーンピースの活動

グリーンピースは40年前の設立以来、市民の立場から「核の脅威」と対峙してきたが、その間、様々な嫌がらせも受けてきた。

映画のような話だが、1985年には、フランスによる核実験を止めようと船を向かわせたが、同国のシークレットサービスによって、ニュージーランドのオークランドで船が爆破、沈没させられたこともある。この爆破でグリーンピースのスタッフ1名も死亡している。


後に、フランス政府の関与が判明したこのスキャンダルは、当時のフランスの核政策を大きく揺らがし、核実験縮小へと導いた。

今回のEDFのスパイ事件も、欧州の原子力産業への逆風となるだろうし、グリーンピースも「原子力産業の腐敗の象徴」として最大限利用していくつもりだ。

 

このブログは、事務局長の佐藤潤一が書いています。

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