SPEEDI検証シリーズ(5)


大阪、滋賀も原発の「地元」

3月16日、大阪府は、滋賀県が独自に行った放射能拡散予測のシミュレーションのうち、大阪府内への影響を示す部分を公開した。

「福井原発大事故あれば最悪大阪府下25市町被曝も」(読売新聞 3月17日)

「放射性ヨウ素が広範囲に拡散、大阪府が予測図公表」(日経新聞 3月17日)

このシミュレーションは、福井県内の原発で事故があったと想定し、放射能がどのように拡散するかを滋賀県が予測したものだ。

(滋賀県が昨年行っていた独自調査のデータ)

 

大阪府や滋賀県が、このタイミングで放射能拡散予測データを公表するのは、もちろん防災対策のこともある。しかし実際は、原発の「地元」は福井県だけではないことを立証し、大飯原発再稼働にあせる政府を揺さぶるためだろう。


今こそ、国のSPEEDIを使うべき

東電の福島第一原発事故直後にデータが公表されなかったことで有名となったSPEEDI。今年度までは、原発の立地自治体にのみ使用が許されてきたにすぎない。

しかし、政府は防災対策を重点的に整備する「緊急防護措置区域」(UPZ)の範囲を、これまでの原発の半径8~10キロ圏内から30キロ圏内に拡大した。これを受けて、来年度からSPEEDIを使用できる自治体範囲も拡大する。

そして、大飯原発から30キロ圏内に、県の一部が入る滋賀県もSPEEDIを使用できることになるのだ。

もともと、琵琶湖を有する滋賀県は、昨年から国にSPEEDIの使用許可を求めてきたという経緯がある。国が、その許可を与えなかったため、今回大阪に提供したような独自の放射能拡散予測を行っていたのだ。



「地元はどこか」は国のSPEEDIで決めるべき

藤村官房長官は、3月16日の記者会見で大飯原発の再稼働に関して、隣県の滋賀県は再稼働の条件として了解を得る地元自治体ではないとした。

しかし、東電福島原発事故を考えれば、被害が10キロでとどまるはずがない。

被害を受ける可能性のある住民(つまりリスクを引き受けなければならない住民)が、再稼働の議論に参加できるのは、当たり前ではないか?しかも、そのリスクを簡単に、かつ国が税金120億円以上も費やしたシステムを使えば住民に示すことができる。それがSPEEDIだ。

滋賀県も大阪府も、そして他の自治体も、福島原発事故と同レベルの事故が起きたとして日本全国でSPEEDIシミュレーションを行うよう国に要請すべきだ。そのシミュレーションをベースに影響の受ける範囲、つまり「地元」を決めさせ、しっかりとリスクコミュニケーションをしたうえで、再稼働の是非を判断する。

もちろん、このような動きが4月から強まることを予想しているからこそ、政府は3月中の再稼働にこだわるわけだが。

 


参考: グリーンピースは、昨年からSPEEDIをリスクコミュニケーションに使うべきと考え、全自治体での利用とデータの住民への公開を求めてきました。SPEEDI検証シリーズ 、ぜひご覧ください。

(0)グリーンピースの要請受けて、全原発SPEEDIデータ 文科省がウェブに公開 (2011年11月25日)

(1)「SPEEDI」をリスクコミュニケーションに使う (2011年11月30日)

(2)SPEEDIの過小評価と滋賀県の独自シミュレーション (2011年12月9日)

(3)初公開! 玄海原発事故SPEEDI、1時間で有明海・佐賀市・福岡市汚染の可能性 (2011年12月22日)

(4)京都府がSPEEDIデータを活用へ 大きな一歩 (2012年2月3日)

(5)大阪、滋賀は今こそSPEEDIを使え (2012年3月17日)

(6)大飯原発でも隠されるSPEEDIデータ (2012年3月27日)

(7)高浜原発事故で、京都が放射能汚染地域に?! (2012年4月3日)

(8) 3か月も隠ぺいされ続ける大飯原発SPEEDIデータ (2012年5月18日)

(9)初公開、大飯原発事故で、京都観光地も汚染の可能性 (2012年5月25日)

(10) 大飯原発:福井県が黒く塗りつぶした放射性物質拡散予測図 (2012年6月19日)



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