こんにちは。核・エネルギー担当の鈴木かずえです。

10月24日、「原子力規制を監視する市民の会」「美浜・大飯・高浜原発に反対する大阪の会」(以下、美浜の会)などが中心となり(主催団体はこちら)、「川内原発 避難計画・火山・地震に関する緊急政府交渉」をしました。

賛同してくれた国会議員リストもぜひ見てください

交渉のハイライトをお伝えします。

具体的には決めていないことばかりの避難計画を内閣府は了承した!

避難問題での交渉風景

原発事故が起こった時の住民の避難計画は、地元自治体に丸投げ?と批判された政府は、9月12日、原子力防災会議を開き、川内原発の事故時の避難計画を「具体的かつ合理的」(安倍首相)として「了承」しました。

けれども、市民による検証で、具体的でも合理的でもないことがあきらかになっています。

「了承」したのに、「これから判断」?

市民:10 キロ圏外の寝たきりなどの要援護者については避難計画がつくられていない。事故が起きてから、避難先をコンピュータシステムを使って決めるとなっている。なぜ、合理的と判断できたか?

政府:実際の受け入れ可能な県内、県外の定員を確認し、受け入れ可能と判断した。システム上可能と思うが、これから県からの報告を得て判断していきたい。

(すでに「了承」してしまったのにこれから実効性を判断?」

 

要援護者は5キロ圏でも「屋内退避」食料尽きてその後は具体的計画なし

市民:要援護者で避難困難な者は5キロ圏でも屋内退避だが、被ばく予測は?屋内退避はいつまで?その後の計画は?

政府:想定は2日程度、長くても3,4日の屋内退避。その後の具体的な計画は言及できない。

 

一時避難場所は「安全区域」であるべき

市民:法律上、一時避難場所(集合場所)は「安全区域」であるべきだが、薩摩川内市の計画では津波ハザードマップ上の危険な区域にあるのは違反では?

政府:一時避難場所は「安全区域」にあるべきで、そうでない場合は代替を考慮していただく。

一時避難場所が津波時には使えない

(写真:一時避難場所の小学校に「津波注意!」の看板)

 

要援護者の意見も、福祉施設の意見も聞かずに作った計画を「了承」?

市民:川内原発の防災計画は、要援護者や施設の意見を聞いて作ったのか?

政府:鹿児島県が...

市民(満田さん):いちき串木野市の48施設にアンケートをとったが、事前に意見を聞かれた施設はなかった。

 

屋内退避の解除は「全面緊急事態の解除宣言」?でも「全面緊急事態」続行中

市民:屋内退避の解除の基準は?

政府:「全面緊急事態」の解除をもって屋内退避を解除。

市民(満田さん)東電福島原発事故から3年半の今でも「全面緊急事態」は解除されていない

政府:(放射線量の数値などは)具体的に決まっていない。

 

スクリーニング(除染)の場所も決まってない

市民:スクリーニング(除染)の場所はどこか。

政府:具体的な場所について決まっていない。

(※スクリーニング(除染)とは、放射線量の高い場所から避難してきた人やペット、車、家財道具などが、避難受け入れ地域などに入る前に、放射線量を測定し、必要な場合は除染を行うことで放射能汚染の拡大を防ぐ目的の取り組みです。

 

SPEEDIを避難の判断に使うべきー役に立たなかったのはSPEEDIでなく人間のせい

市民:SPEEDI(放射性物質の広がりを予測するシステム)を避難の判断に使うべきでは。

政府:実測値で対応する。

市民(満田さん):福島原発事故でSPEEDIが役に立たなかったのはSPEEDIでなく、使う人がダメだったんではないですか?

ー避難計画についてはFoE Japanの満田さんのブログでも詳しく解説しています。

火山・地震問題も山積、大揺れ

原子力規制庁との交渉風景

九州電力が鹿児島県議会で「破局的噴火の場合は、地震などの前兆事象が数十年前から分かる」と原子力規制委員会の「規模や時期の予測は困難」という認識とは違う発言をしていたことを指摘し、原子力規制庁は「事実を確認する」と約束しました。

誤った認識をもとに、鹿児島県議会が再稼働を同意したら、大変です。

これは大変重要な約束です。

 

九電の「巨大噴火数十年前から予兆事象わかる」発言を規制庁が「事実確認する」

市民: 九州電力が9月30日の鹿児島県議会原子力対策特別委員会でにおいて、「破局的噴火の場合は、地震などの前兆事象が数十年前から分かる」と説明しているのは問題ではないか。訂正させるべきだ。

政府:(最初「その権限はない」としていましたが、最終的に)事実確認をする。

 

巨大噴火予兆把握時の核燃料搬出は具体性なし

市民:巨大噴火の予兆を把握したときに核燃料を搬出しなければならないが、いつ、どこに、どのように搬出するのかは、どこで決めるのか。

政府:どこまで決めるか、いつ決めるか、決まってない。方針を確認する。

専門家も一電力では担えないとする巨大噴火の予兆の把握のための観測も九電任せ?

市民:巨大噴火の予兆把握のための観測は一電力会社で担えないと原子力規制委員会の検討チームでも指摘されている。九電の観測で十分か。

政府:彼らからなんらかの観測をやる方針だと聞いている。

地震問題も人ごと?専門家の意見にもそっぽ

市民:九州電力は、川内原発の基準地震動策定にあたり、プレート間地震と海洋プレート内地震を検討用地震として選定していない。これは問題ではないか。

政府:選定していないことが違反とは考えていない。

この問題は、地震学者の石橋克彦さんが問題提起しています。

原子力規制委員会の組織理念には「国内外の多様な意見に耳を傾け、孤立と独善を戒める」とあるのに、どうしてこのような専門家による重要な指摘を真摯に受け止めないのでしょうか。

ー火山については、原子力規制を監視する市民の会のブログで詳しく報告されています。

24日金曜日の交渉の結果を生かして26日月曜日、鹿児島では、主催団体の連名で薩摩川内市や周辺市町村へ申し入れを行っています。

内容は、「川内原発事故時の避難計画は極めてずさんで市民の安全を守れないので、再稼働に同意表明をしないでください」というものです。

薩摩川内市への要請書

出水市(周辺市町)への要請書

熊本県水俣市(避難受け入れ先市町村)への要請書

 

11月とも言われる「再稼働合意」をとめるために

10月28日火曜日には薩摩川内市議会が臨時議会を開き、川内原発再稼働問題を協議、受け入れを表明すると言われています。

続いて、11月4日には鹿児島県議会が原発特別委員会を招集、再稼働賛成陳情を採択、5日以降に臨時本会議を開催、県議会としての意向を決め、これを受けて知事も再稼働を表明か、とも言われています。

けれども、避難できない人、遅れる人がたくさん出ることが予想され、避難できても被ばくは必至、そして、火山の問題も地震の問題も解決していません。

周辺自治体にも、これからの問題を伝え、再稼働をさせないようにがんばりたいです。あなたにも、できることがあります。

いっしょに、川内原発再稼働をとめましょう。


「川内原発再稼働を考える」チラシを作りました。ぜひ、鹿児島のお友だちに送ってください。鹿児島での配布に協力してくださる方に、無料でお送りします。

>お申込みはこちらから



 

ぜひ、とめよう再稼働オンライン署名にご協力ください。

フェイスブックグループ 「YES! 脱原発」に参加して、いっしょに再稼働をとめましょう。

 

 

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主催団体:反原発・かごしまネット/避難計画を考える緊急署名の会(いちき串木野市)/玄海原発プルサーマルと全基をみんなで止める裁判の会/美浜・大飯・高浜原発に反対する大阪の会/グリーン・アクション/グリーンピース・ジャパン/福島老朽原発を考える会/FoE Japan/原子力規制を監視する市民の会

賛同議員:相原久美子(民主・参)、阿部知子(無所属・衆)、糸数慶子(無所属・参)、生方幸夫(民主・衆)、笠井亮(共産・衆)、神本みえ子(民主・参)、柿沢未途(維新・衆)、川田龍平(維新・参)、倉林明子(共産・参)、近藤昭一(民主・衆)、杉本和巳(みんな・衆)、田城郁(民主・参)、玉城デニー(生活・衆)、田村智子(共産・参)、辻元清美(民主・衆)、照屋寛徳(社民・衆)、仁比聡平(共産・参)、福島みずほ(社民・参)、真山勇一(維新・参)、山口和之(みんな・参)、吉川元(社民・衆)、吉田忠智(社民・参)