こんにちは、エネルギー担当の高田です。
秋も深まってきましたが、原発事故の混迷も深まるばかりですね・・・。
今年2月からスタートした「原発にもメーカー責任を」署名、最終の賛同数を日立・GEと東芝に報告しました。
その時の様子をご紹介します。
「原発にもメーカー責任を」求める署名には、世界から11万3000筆を超える賛同が寄せられました。
「日立さん、東芝さん、つくった原発が大事故を起こしたのに責任ゼロはおかしいです」との考えを共有し、署名という一つのアクションを起こした方がこれだけ多くいらっしゃいます。
15万人以上もの方が現在も事故による避難生活を続ける一方、事故原因の究明は進んでいません。
大事故を起こした福島第一原発の原子炉をつくったのは、日立・GE(*1)と東芝です。
その原子炉は、いまだ現場検証に人が立ち入ることすらできません。
6月の株主総会前後でお話を伺ってから約半年。
11万人の声をお伝えし、改めてメーカー側の意見を伺うために、面会を申し込みました。
日立「我々は被害を福島の住民に与えていない」
11月12日、まずは日立本社を訪問しました。
対応いただいたのは、CSR(企業の社会的責任)担当などお二人。
許された時間は10分間でした。
短いやり取りの中でしたが、違和感を覚えた言葉がありました。
それは、日立の方が「我々は被害を福島の住民に与えていない」とおっしゃったこと。
私たちが「(原発事故の)被害者」というと、「当社の被害者ということではないですよね」、とか、「避難している方々のことですね」と先方から言い換えがありました。
もし、日立のエレベーターが事故を起こしても、日立の火力発電所が爆発しても、「当社の被害者ではない」と言うのでしょうか。
日立製の原子炉は原賠法(*2)によって、メーカー責任を免れているからこその発言であると信じたいです。
自社がつくった製品が事故を起こしたとき、その現実とどう向き合うか―― 日本を代表するメーカー企業の社会的責任が問われています。
東芝「消費者の声はありがたい」
続く11月13日には東芝本社を訪れました。
対応いただいたのは、CSR(企業の社会的責任)担当など3人。
15分間でした。
(東芝は今回とは別の意見交換の機会を検討するとおっしゃっています)
応接室にて、面会の目的、これまでの経緯、要望事項を説明し、署名数をお伝えしました。
「(『原発にもメーカー責任を』求める)ハガキを多数いただいている。全て、経営陣も含めて目を通している」
「色々なご意見があることは承知している。
現実を直視して、できること、できないことを分け、できることについて対応していく」
とのコメントでしたが、原発の技術を磨いていくことが消費者の声にこたえるひとつではないか、とのことでした。
同時に、「消費者の声はありがたい。署名に重みを感じる」とのコメントが印象的でした。
わたしたち、消費者の声はきちんと東芝には届いています。
ぜひ、その声に、自社製品が深刻な被害を引き起こしている現実と真摯に向き合ってほしいと思います。
原発推進なら、メーカー責任も引き受けて
2月から日立・東芝と対話を続けてきて感じるのは、奇妙なアンバランス。
自社が国策「原発」の一翼を担っているという意識が強く感じられる一方で、その自社製品「原子炉」が影響をあたえる市民には全く無頓着だからです。
なぜでしょうか?
それは、やはり、原発のメーカーは法律で特別に事故の責任を免除されているからだと思います。
事故が起きれば取り返しのつかない危険な原発だからこそ。
危険だからこそ、他の製造物と同じように、原発にもメーカー責任が問われるべきではないでしょうか。
原発のメーカー責任を除外している法律「原賠法」は、改正期限を大きく過ぎても改正されていません。
むしろ、今後の国会で、もっと原発推進に有利になるよう改悪される恐れさえあります。
グリーンピースは、これからも原子炉メーカーの動きを注視し、「原発にもメーカー責任を」求め続けます。
ぜひ、この問題を広げていきましょう。
【関連記事・ブログ】
*1: 日立とGEは原発部門を経営統合しています。
*2: 原賠法については、上記「原発にもメーカー責任を」ブログを、ぜひごらんください。