こんにちは。食と農業担当の関根です。今日はみなさんに大事なお願いがあります。
いま、まったく新たなネオニコチノイド系農薬を日本でも解禁するかどうか、厚生労働省で審査されています。ことの発端は、2013年にこの農薬を使った農産物をアメリカから日本へ輸出するための申請が出されたこと。

今この審査は、下の図の赤い丸のところ、あと一歩で日本でも許可されるというところまで来ています。そして現在、国民の声を聞くパブコメが募集されています。
締切は2016年1月2日必着です。ぜひ、皆さんの意見を送ってください(詳しい送り先はこのブログの下の方にあります)。
(厚生労働省資料よりグリーンピースで加筆)
新たなネオニコ系農薬とは「スルホキサフロル」という名前で、アメリカのダウ・アグロサイエンス社が開発した殺虫剤。同社自身による研究でも「ハチに対して毒性が非常に高い」と認めています。
このプロセスが通って食品への残留基準が決まってしまうと、
・ この農薬が日本でも使われるようになってしまいます
・ この農薬を先に使っていたアメリカの基準に合わせて、広範囲でかつ高い残留基準が決められてしまいます
グリーンピースは、次のような理由で、このネオニコチノイド系農薬「スルホキサフロル」の使用(農薬登録)を認めるべきではないと考えています:

グリーンピースが新たなネオニコチノイド系農薬農薬の使用(登録)に反対する5つの理由
1. 主に輸入のために始められた基準づくりです
現在はまだ、この農薬は日本では使えませんし、この農薬の残留した農産物の輸入もできません。今回の基準設定は、この農薬を使った農産物をアメリカから日本へ輸出するための申請が2013年の6月6日に出されたことが発端です。申請されている残留基準値のほとんどは、国際基準(コーデックス基準)よりも高いアメリカの基準に合わせられています。
2.みつばちに毒性の高い農薬です
この農薬を使った農産物の輸入を目的とした申請が出された直後、日本国内での使用許可(登録)を求める申請も出されています。しかしスルホキサフロルは、開発メーカーのダウ・アグロサイエンス社(アメリカ)自身も、ミツバチへの毒性が強いことを認めている農薬です。
近年、日本でもミツバチ不足により、受粉のためのミツバチのレンタル料金が値上がりしたり、ミツバチの盗難がおきたりしています。ミツバチなど受粉を支える生物へのリスクを高める農薬をつぎつぎに解禁するやり方はもう終わりにすべきです。

(写真左:ハチが支える豊かな農産物。写真右:ハチがいないと...)
3.アメリカでは裁判になり、最近、使用許可は無効という判決が出て、使用許可が取り消された農薬です
実は今年(2015年)9月、当のアメリカでも、養蜂家や環境NGOが起こした裁判で「ハチへのリスクが十分検討されていないまま使用を許可したアメリカ環境保護庁(EPA)の判断は無効」、という趣旨の判決が出ました。これを受けて同年11月にはアメリカ環境保護庁も使用許可を取り消しています。輸出元のアメリカで使用許可が取り消された時点で、日本でも審査の必要性や内容が問われるべきなのに、なぜ拙速に審査を進めるのでしょうか。
4. 消費者が守られていません
今の農薬登録の仕組みの中では、消費者の意見と農薬メーカーの意見が対等に扱われませんし、情報も十分開示されません。たとえば、アメリカでは使用許可が取り消されたことは、残留基準の案を承認する食品衛生審議会では一切説明や審議がなく、今回のパブコメの資料にも書かれていません。
一方、消費者を守る立場であるはずの消費者庁は、「事故がおきたらその情報を厚生労働省に提供するのが仕事です」との認識(注1)しかなく、消費者の保護はおろそかになっています。

(図:農薬のリスクがもっとも高いのは乳幼児)
5.農家さんの期待に応えるものではありません
農林水産省の調査では、農家さんの環境保全型の農業への関心は高く、普通の農家さんの半分以上が、条件がととのえば有機農業にしたいと答えています。が、国レベルでの有機農業の支援制度は一向にすすんでいない一方、農薬の規制緩和ばかりどんどん進んでいます。今回の基準設定はアメリカのメーカーからの要請で新たなネオニコ農薬を解禁するもので、環境保全と農業を両立する流れに逆行したものです。
(写真:有機農家さんと提携している保育園。グリーンピースの調査では約70%の幼稚園が有機の給食を提供したいと答えている)
ACTION 1: ミツバチと食の安全を守るためにあなたもパブコメを出してください!
ぜひ、これ以上ネオニコチノイドの使用を増やさないために、新ネオニコチノイドにもNo!の声を政府に届けてください。一人でも多くの声を届けるため、お知り合いにもぜひ呼びかけてください。(去年ネオニコ農薬クロチアニジンの規制緩和に反対するパブコメが1600件以上も集まったことで、審議が一時中断となり規制緩和を遅らせることにつながりました。今回はそれを上回る意見を送り、新たなネオニコを止めましょう!)
【資料のあるサイト】
今回のパブコメ資料は、電子政府のパブコメのサイトからダウンロードできます
【パブコメの送り方】
(1)オンラインの意見提出フォームを使って出す場合
「パブリックコメント:意見募集中案件詳細」画面の下にある意見提出フォームへのボタンをクリックし、「パブリックコメント:意見提出フォーム」から提出します。
(2)郵送の場合 (1/2必着です)
〒100-8916 東京都千代田区霞が関1-2-2
厚生労働省医薬・生活衛生局生活衛生・食品安全部基準審査課残留農薬係宛て
* 封筒の表に「スルホキサフロルの残留基準設定について」と赤で書いてください。
(3)FAXの場合
FAX:03-3501-4868
厚生労働省医薬・生活衛生局生活衛生・食品安全部基準審査課残留農薬係宛て
* 表題に「スルホキサフロルの残留基準設定について」と明記してください。
ACTION 2: 今すぐできる「子ども・ミツバチ保護法を求める署名」に参加してください。
パブコメは時間をかけてじっくり書こうと思う方は、まず先に簡単にすぐできる署名にぜひご参加ください。
ネオニコチノイドの規制法と、その代替策として有機農業の支援強化を求める署名です。
下のバナーをクリックして、20秒でできます!もう署名してくださった方は、ぜひお友達にシェアをおねがいします(Twitterでリツイート/Facebookでシェア)。

注1 2014年5月12日のグリーンピースやダイオキシン・環境ホルモン対策国民会議、ネオニコチノイドネットが消費者庁と交渉をした際の回答