こんにちは。核・エネルギー担当の鈴木かずえです。
全国で原発に再稼働に反対されている方々のチカラで、今、日本の原発のすべてがとまっています。原発なしのお正月を迎えることができるって、とっても、おめでたいですね!
ところで、12月17日、原子力規制委員会は、関西電力高浜原発3,4号機の再稼働適合審査書案を公表しました。再稼働に向けて、の最初のステップです。
この案に対するパブリックコメントが始まっています。
ぜひ、あなたに、パブリックコメントを送ることをよびかけます。
<グリーンピースも出しました。2015年1月7日追記>
<参考サイトを追加しました。2015年1月7日追記>
パブコメ送っても反映されないからなぁ..
とおなげきの方もいらっしゃると思いますが、でも、パブコメには以下のような効果もあります。
- 基本的にすべて公開されるので、国民の意見のみえる化と共有ができる
- たくさん集まれば、とりまとめに時間がかかるので、その間に再稼働の問題点をより明らかにできる
- 報道や国会で取り上げられれば、社会問題化、世論づくりにもなる
そして、九州電力川内原発のパブコメについての会議の中で、大島原子力規制委員は、パブコメの中にはとりあげられるべき意見があるとして、
「形式的なものに終わってはならない」「フォローアップをしていくことが必要」
と意見を述べています。
応募要項には 「科学的・技術的なご意見」とありますが、
原子力規制委員会では専門家も交えたワーキングチームや会合が開かれています。
わざわざパブリックコメントを募集するのは、国民の意見を聞くためです。
パブリックコメントは、あなたの考えを自由に書いて送ればOKです。
締め切りは2015年1月16日(金)です!
出し方は4通りあります
ネットから
電子政府の総合窓口のサイトの「意見提出フォームへ」のボタンを押して、フォームから
FAXで
「意見提出様式」をダウンロードして記入、03-5114-2179へ
郵送で
「意見提出様式」をダウンロードして記入、以下へ郵送
〒106-8450 東京都港区六本木1-9-9 六本木ファーストビル
原子力規制庁 原子力規制部 安全規制管理官(PWR担当)宛
(ワープロなど使用の場合は「意見提出様式」の記入要項に即して記入)
さて、なにを書こう
審査書案には、地震や津波の想定や、事故対策についての審査結果が書かれています。
むずかしく考えず、テレビのニュースや新聞/インターネット記事などを読んで、ふだん考えていることを書けばいいと思います。
応募要項に「御意見の対象を該当箇所がわかるように、ページ番号を明記(例:13ページ)して」とあります。
審査の位置づけや方針に関しては審査書の1ページに書かれてあるので、審査の在り方や、規制の姿勢、しくみ、再稼働の是非そのものなどについての意見は「1ページ」が対象となるでしょう。
グリーンピースでは以下の3本を提出しました。(パブリックコメントは、何回でも出せます)。
該当箇所ページ番号P1(審査書の位置づけ)
意見
1) 東電福島原発事故の収束を優先してください。
本審査書案では、その位置づけについて、原子炉等規制法の規定に適合しているかどうかを審査した結果のとりまとめだとしています。そして審査書は、事実上、立地自治体などにとって、再稼働合意への重要な手続きの一つとなっています。
しかし、「ある程度の原因究明はできている」と田中俊一原子力規制委員長が記者会見で述べているにも関わらず、地震が原因である可能性の追求は行われていません。
原子力規制委員会は、事故原因の調査と何よりも事故の収束こそ、最優先で取り組むべきです。
2) パブリックコメントを反映させるしくみを作ってください。
原子力規制委員会の大島委員は、九州電力川内原発の再稼働適合審査書案へのパブリックコメントについての会議上、「形式的なものに終わってはならない」「フォローアップが必要だ」と発言しています。
次のパブリックコメントを始める前に、この意見を具体化すべきだったと考えます。
今回のパブリックコメントについても、とりまとめをして流してしまうのではなく、重要な案件については別途、パブリックコメント執筆者の推薦による専門家による意見聴取を行うなど、具体的に反映させるしくみを作ってください。
3)避難計画についても再稼働審査の中できちんと審査してください。
田中原子力規制委員長は「避難と基準は車の両輪」と言いながら、避難計画については審査の対象外になっています。
避難計画の了承機関である内閣府では「審査」は行っていません。避難計画についても、再稼働審査の中できちんと公開で審査をしてください。
4)審査書案について、公聴会を全国で開催してください。
九州電力川内原発においては、審査書が了承された後に「住民説明会」が立地県の主催によって開催されました。
本来、審査書の了承前に、パブリックコメントと並行して住民の意見を聞く「公聴会」を原子力規制委員会または国の主催で行われるべきです。さらに住民主催の公聴会や討論会への参加要請には答えるべきです。
該当箇所ページ番号P11-20 基準地震動
意見
2014年5月21日に出された大飯原発運転差止請求事件判決要旨は基準地震動の信頼性について以下のように述べています。
「エ 基準地震動の信頼性について
被告は、大飯原発の周辺の活断層の調査結果に基づき活断層の状況等を勘案した場合の地震学の理論上導かれるガル数の最大数値が700であり、そもそも、700ガルを超える地震が到来することはまず考えられないと主張する。しかし、この理論上の数値計算の正当性、正確性について論じるより、現に、全国で20箇所にも満たない原発のうち4つの原発に5回にわたり想定した地震動を超える地震が平成17年以後10年足らずの問に到来しているという事実を重視すべきは当然である。地震の想定に関しこのような誤りが重ねられてしまった理由については、今後学術的に解決すべきものであって、当裁判所が立ち入って判断する必要のない事柄である。これらの事例はいずれも地震という自然の前における人間の能力の限界を示すものというしかない。本件原発の地震想定が基本的には上記4つの原発におけるのと同様、過去における地震の記録と周辺の活断層の調査分析という手法に基づきなされたにもかかわらず、被告の本件原発の地震想定だけが信頼に値するという根拠は見い出せない」
ここから導き出されるのは、同じように高浜原発の地震想定も信頼に値するとは言えないだろうということです。
また、上記判決要旨では、基準地震動に満たない地震でも重大な事故に至るおそれについて言及しており、原子力規制委員会の審査において、検討されるべきものと考えます。
さらに、基準地震動の項目に限らず、上記判決要旨につきまして、原子力規制委員会で精査・検討することを提案します。
該当箇所ページ番号119ページ~「重大事故等対処施設および重大事故等対処に係る技術的能力
意見
プルトニウムMOX燃料の危険性について
高浜原発では、ウラン燃料以外に、プルトニウムMOX燃料が使用されることとなっています。
プルトニウムがあらかじめ入っているMOX燃料では、ウラン燃料だけを使用した場合と比べて事故のリスクは増大し、規模は拡大するとされています。
米国の核管理研究所(NCI)科学部長(当時)のエドウィン・ライマン博士の計算によれば、炉心の4分の1だけをMOX燃料にした場合でも、事故時の潜在ガン死は42~122%、急性死は10~98%ほど高くなるということです。(「日本の原子力発電所で重大事故が起きる可能性にMOX燃料の使用が与える影響」http://kakujoho.net/mox/mox99Lyman.html)
また、MOX燃料使用により、事故の進み方がより早くなる点も指摘されています。
しかし、本審査書案によれば、関西電力に対し、MOX燃料使用によるリスク増大についての対策がほとんど求められていません。
さらに、使用済みとなったMOX燃料については、六ヶ所村再処理工場での保管ができないため、高浜原発のサイト内での保管となります。しかし、本審査書案では、使用済み核燃料プールでの事故についても、ウラン燃料の保管を前提としています。
もちろん、行き場がない廃棄物を生み出すこと自体、非倫理的です。
上記の理由から、MOX燃料を使用すべきではないと考えます。
参考サイト(参考になる記事のリンクやサイトを追記していきます)
「大飯原発3、4号機運転差止請求事件判決要旨」
(一般社団法人 News for the People in Japanのサイトより)
大飯原発3,4号機について、地震のリスク、使用済み核燃料の保管状況や危険性について述べ、差止を命じています。趣旨は高浜原発にもあてはまります。
福井から原発を止める裁判の会
福井地裁に、大飯原発3,4号機、高浜原発3,4号機の再稼働差し止め仮処分を訴えています。申立書には、地震のリスク、プルトニウムMOX燃料のリスクについての概要があり、参考になります。裁判所に提出した準備書面にはさらに詳しい記述となります。
美浜・大飯・高浜原発に反対する大阪の会(美浜の会)
美浜の会は、1990年代より福井県の原発問題に取り組んでいます。地震やMOX燃料のリスクに加え、避難問題では、「避難計画を案ずる関西連絡会」として実地調査や自治体アンケート調査を行い、報告書がアップされています。
高浜3・4号パブコメ参考資料
原子力規制を監視する市民の会
原子力規制委員会の会合を傍聴し、その報告や分析をアップしています。パブリックコメント実施の際には、参考情報を掲載したり、実際にパブリックコメントをその場でかく「ワークショップ」も開催しています。
「高浜原発審査書案パブコメのたね」
「日本の原子力発電所で重大事故が起きる可能性にMOX燃料の使用が与える影響」
米国の核管理研究所(NCI)科学部長(1999年当時)エドウィン・S・ライマン博士による論文。
高浜原発ではプルトニウム入りの燃料(MOX)使用が予定されています。
ここでは、MOX燃料使用のリスクについて述べています。
記事リンク集
高浜3,4号機 審査書案了承 原発集中、リスク不問(東京新聞)2014年12月18日
社説:高浜原発合格証 京都、滋賀の声 尊重を(毎日新聞)2014年12月18日
高浜原発:再稼働へ一歩前進…速やかに避難に、なお疑問(毎日新聞)2014年12月17日
ぜひ、とめよう再稼働オンライン署名にご協力ください。
また、フェイスブックグループ 「YES! 脱原発」に参加して、いっしょに再稼働をとめましょう。