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福島県飯舘村は、一部帰還困難区域をのぞいて、20173月に避難指示が解除されています。

グリーンピースは事故発生直後から放射線調査を継続してきましたが、2015年、2016年、2017年は飯舘村の民家について、詳細な調査を行ってきました。2016年は7軒、2017年はそのうちの1軒が解体されたため、残りの6軒のお宅にご協力いただき、放射線量の経年変化を比較しました。 政府は、飯舘村の除染は完了したとして、避難者の帰還を推進しています。完了したという除染の効果を検証するのが今回のグリーンピース調査の目的です。

除染で下がった場所もある

2017年の9月と10月に、飯舘村の住民の方にご協力いただき、7軒の計20,762地点で調査を行いました。

飯舘村中心部のAさんのお宅のケースを見てください。

 

放射線のレベルが規則的に下がっています。飛び抜けて下がっているのは、除染の効果。数字はウソをつきません。 

それでも、73%の場所で、一般人の被ばく限度である年間1ミリシーベルトには届いていません(注1)。 

除染しても下がらない場所もある 

次に、飯舘村南部の安齋さんのお宅の調査結果を見てください。

 

飛び抜けて下がっているのは、除染をしたところ。だけど、その除染をしたところも、2016年と2017年を比較するとほぼ同じか、逆に増えているところもあります。 

とくに放射線レベルが増えているのが水田。除染し、上に汚染されていない土を被せたところです。この1年の間に放射線レベルが上昇したのは、上に被せた土が雨風で流されたり飛ばされたりして、汚染が残る下の土がでてきたものと思われます。

また、温室があった場所も、放射線レベルが上昇しています。家のすぐ後ろに迫る森林からくる放射性物質の影響の可能性があります。森林は、家から20メートルのところまでしか除染されません。飯舘村の70%以上は、こうした汚染が残る森林で覆われています。

 

再汚染はどのように起こるのかについては、今後も継続した調査が必要です。

でも、再汚染が起こっている可能性は否定できません。

「帰りたいかと言われれば、それは帰りたいに決まってる。でも、これでは帰れない」と安齋さんは言います。

安斎さんのご自宅を含め、2017年に調査した6軒の民家のうち4軒で、平均放射線レベルが政府の基準の3倍高いことが確認されています。 

こうした場所に戻って暮らすことは、毎週レントゲンを受けるのを同じくらいの被ばく量にさらされるリスクを背負うことになります。

グリーンピースの分析では、飯舘村で、国際基準である年間1ミリシーベルトまで放射線レベルが下がるには、21世紀半ばまでかかるだろうと予想しています。 

帰りたいけど帰れない人にも支援の継続を 

帰りたいけど帰れない安齋さんの仮設住宅供与の期限は20193月まで。

支援が打ち切りになれば、経済的な理由から、戻ることを選択せざるを得ない人も出てきます。

グリーンピースは、帰る、帰らない、移住する、の選択が、経済的な理由から止むを得ず行われるのではなく、住民自らの意思で決めることができるよう、支援の継続を政府に求めています。

国連人権理事会の加盟国からも、原発事故被害者への支援を継続することを含めて、人権状況を改善するように、日本政府に勧告がでています。

1 年間1ミリシーベルトを、日本政府が毎時の場合に使用している0.23マイクロシーベルトとした場合

最新レポート『原発事故の写像 浪江町と飯舘村における放射線調査』2018年3月 グリーンピース

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