グーテンターグ!エネルギー担当の柏木です。
スペインから飛んで、今回はドイツからお届けします。

ドイツは、2022年までの脱原発、そして2050年に自然エネルギー80%を目標にしている自然エネルギー先進国。

2014年には、電力の26.2%が自然エネルギーから発電されました。

 

グリーンピースのキャンペーンからうまれた電力会社

実は、ドイツにはグリーンピースのキャンペーンからうまれた電力会社があります。その名も、「グリーンピースエナジー」。

2011年に、エネレボリーダーの高田も訪れています。(そのときのレポートはこちら

グリーンピースエナジー社が入る建物の屋上には、風力発電の風車が!(グリーンピースエナジー社資料より)

ドイツでは、1998年に電力市場が自由化され、一般家庭でも電力会社が選べるようになりました。

「自然エネルギー100%の電力会社を選びたい!」と、グリーンピースが当時の電力会社を調べたものの、市民の求める電力会社は存在しませんでした。そこで、立ち上げられたのが同社。

今では、11万世帯に自然エネルギー100%の電気を供給しています。

「自然エネルギー100%」の内訳は、水力発電90%・風力発電10%。

風力発電の電気(下グラフの緑色の部分)を最大限活用し、足りない分を水力発電の電気(水色の部分)を用いて調整しているそうです。

2014年2月の電源構成(グリーンピースエナジー社資料より)

水力発電は、自然エネルギーのひとつではありますが、規模や形態によって自然環境に与える影響が異なります。だからこそ、どの水力発電設備から電気を調達するか?が重要になってきます。

例えば、グリーンピースエナジーでは、オーストリアから水力発電の電気を購入していますが、水力発電設備が新しいかどうか(※)、そして魚の通れる道の設置など環境影響の少ない水力発電であるかを確認して、安く売られているノルウェーの水力発電よりも10倍程度高い金額で購入しています。

※水力発電のなかには、30年以上前に建設された古いものもあります。古い水力発電は過去の発電設備で、減価償却も終わっています。ノルウェーの水力発電は、そのような理由で安く販売されています。少しでも新しくて環境への負荷が低い水力発電の電気を購入することで、新たな自然エネルギー設備の設置・投資を促すことにつながります。

 

自然エネルギー発電会社、Planet Energy

グリーンピースエナジーは、発電を専門とするプラネットエナジー社を子会社に持っています。2001年に設立され、これまで、1.2億ユーロを投資、全体で4万2000世帯に供給できる65メガワットの発電所を保有しています。(風力発電11カ所、ソーラー発電所3カ所)

 

自然エネルギーは高くない!

グリーンピースエナジー社に、自然エネルギーってどれくらい高いのか、聞いてみたら、まずは電力市場について解説してくれました。

電力会社の顧客は、大きく分けると3パタン。

市場の内訳

1)契約を変えていない人:2000万世帯 
2)安い電気を選ぶ人:1200万世帯
3)グリーンエネルギーを購入する人:800万世帯

それぞれの顧客が支払う電気代は下記のようになるそうです。

1)契約を変えていない人:2000万世帯 → 30セント/kWh
2)安い電気を選ぶ人:1200万世帯 → 25セント/kWh
3)グリーンエネルギーを購入する人:800万世帯 → 25−28セント/kWh

ドイツでは、グリーンエネルギーは高くないんです。グリーンエネルギーを供給する会社は数多くあり、価格競争の原理が働いているというのも、理由の一つのようです。

 

風力発電はためられる?

グリーンピースエナジー社の資料より

ドイツでは、多くの顧客がガスを暖房に使っています。グリーンピースエナジーは、電気だけではなく、ガスの供給も行っており、1万人の契約者がいます。実は、ガス供給に風力発電の電気が有効活用されているんです。だから、商品の名前は「ウィンドガス」

風力発電が盛んなのはドイツの北部。一方で、電気の消費地は南ドイツや西ドイツです。現在、電線網の整備が追いつかず、北ドイツで発電された風力の電気を、南ドイツに送ることはできません。需要と供給のバランスが崩れると停電などのトラブルを招いてしまうため、その時の需要を上回る風力発電をときどき止める必要があります。

でも、せっかく燃料費ゼロの風力で発電ができるのに、止めてしまうのはもったいない。他に有効活用できないかと考え、水の電気分解に使うことにしました。

水は、電気によって水素と酸素に分解することができます。その水素を一定量、天然ガスに混ぜて、顧客に供給しています。

風力の電気は、電気の形だと貯めておくのは難しいですが、ガスの形になれば、蓄積の技術はあります。ドイツ国内で張り巡らされているガスの配管を、まるで電池のように利用しているのです。

 

ライトオン、原発オフ!

グリーンピースエナジー社は、共同組合で、誰でも会員になることができます。「ライトオン、原発オフ」をキャッチフレーズに、電力供給だけではなく、積極的に自然エネルギーを増やすための政策提言や研究活動を行っています。

顧客との意見交換では、政治的な議論になることもあるとのこと。電力会社は顧客の意見を参考により事業・サービスを改善できますし、顧客の声を受けて自分たちのような電力会社をもっと増やそうと政治に働きかけることができます。その姿は、来年4月から電力自由化が始まる日本のお手本。

これまで、電力会社は一般家庭の顧客を失う恐れがありませんでした。これまで、消費者の視点が欠けたまま、電気事業が行われてきたように思えてなりません。これから、自由な選択肢をもつ私たち。どんどん「こんな電気が欲しい!」と声をあげていきませんか?

そうすることで、必ず自然エネルギー100%の日本が実現するはずです。

ドイツだけではなく、日本でも起こしましょう。

ライトオン、原発オフ!

 

ご一緒した皆さんとの集合写真。グリーンピースとグリーンピースエナジー社は別の組織ですが、同じ建物の別の階に入っています。(写真:大塚さんより)

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【ヨーロッパ自然エネルギー現地レポート1】40%を自然エネルギーでまかなうための”制御”の仕組みを学べ!スペイン・REE社

【ヨーロッパ自然エネルギー現地レポート2】自然エネルギーの普及を妨げる、”政治の問題”を乗り越えろ!@スペイン・自然エネルギー財団