• 3月14日東京電力福島原発事故被災者ヒアリング報告

    投稿日 - 2013-03-15 15:05

    こんにちは。核・エネルギー担当の鈴木かずえです。

    届け!被災者の声

    3月14日、参議院議員会館で被災者ヒアリング「東京電力福島第一原発事故から2年~今、被災者ニーズの的確な把握のために」が子ども・被災者支援議員連盟と原発事故子ども・被災者支援法ネットワークの共催で開かれました。(以下、速記録よりまとめました)

     

    早尾貴紀さん(宮城から山梨へ)311受入全国協議会共同代表

    公的支援の無い中、市民の受け入れ活動が重要に

    山梨県甲府市から来ました。避難者をこえて移住者として山梨県で根を張って活動しています。2年前の3月14日の朝、宮城から大阪へ緊急避難しました。当時7歳の息子の健康を心配しての避難でした。ランドセルの中に着替えと手放しくたくないおもちゃをいれろと言って。山形空港からは東京と大阪行しかなく、大阪に。その後関西の知人とともに避難者の受け入れを始めました。

    4月になり東京大学に着任しましたが子どもと東京へ住む決断がつかず、京都の里親に子どもを託しました。宮城県の土壌汚染500から2000ベクレル/キロ、東京についても同じような汚染状況。息子は野球少年。全身泥だらけになることを考慮し東京にも住まない決意をしました。10ベクレル/キロ以下である甲府市に住むことにしました。

    2011年10月下旬、山梨県の土壌汚染マップを作りました。息子には山梨に定住するまで半年にわたる疎開生活をさせました。山梨県には東北からだけでなく首都圏から続々と移住しています。福島や宮城、栃木の受け入れ相談活動をベースとして「311受入全国協議会」を昨年発足させました。公的支援が無い中で、市民の受け入れネットワークは重要です。だが被災者・市民団体の側の負担も限界に来ています。公的支援がやはり必要です。

     

    村上岳史さん(福島から新潟へ)全国広域避難当事者ネットワーク代表世話人

    避難の動機は放射能の恐怖よりも国への不信。不信の払拭が支援策のスタート

    福島市から新潟市へ避難しています。また、11都道府県の避難者のネットワークをつくっています。福島大学講師でもあります。避難者と支援者と研究者という3つの立場を持っています。

    自主避難者の動機を調査したところ、放射能については怖いが、それ以上に国や福島県、マスコミ、有識者の発言に不信感をもったことが、住み慣れた土地を離れたきっかけとなったという結果となりました。線量がいくらになったから帰れます、というのはナンセンスです。まずこの2年間植えつけられた不信感の払拭こそが支援策のスタートになると考えます。

    この2年間さまざまな施策が行われ廃止されたが、当事者の声が反映されていなくトップダウンという構造ができあがっています。子ども・被災者支援法第14条にある被災者の「意見の反映」に基づいて、国と当事者が、例えば懇談会などを通して決めていくことが必要です。復興庁の福島県も自主避難者の実態を把握していません。実態が把握されていないのに施策を考えるのはおろかです。早急に実態調査を行うべきです。定量的なものより定性的なものが重要です。NPOが一端を担うのが適切だと思います。

    国会の中で安全な線量に関しての議論があったが、データをだして危険か否かの判断に関しては個人にゆだねてはどうか。

     

    古山智子さん(宮城県白石市在住)こすごう子供を守る会代表

    通学路0.56マイクロシーベルト。モニタリングポストは0.14

    福島県と宮城県の県境のこすごうから来ました。県境と言っても過言ではない白石市では線量調査を行政が実施していません。一昨日大学に線量計を借りて自宅を測りました。物干しざお0.450マイクロシーベルト/時。植木の上 0.44マイクロシーベルト/時。畑0.548マイクロシーベルト/時。通学路0.56マイクロシーべルト/時。行政のモニタリングポストは0.14。 この差を認識して聞いてほしいです。

    ちょうど1年たつ今頃地元のマスコミで活動をとりあげてもらったものの、今年はまったくどこも声をかけてくれません。風化がすすんでも、線量は変わっていない。国会議員も足を運んでくれません。公明党の先生方、こすごうで地域住民の思いを聞いてくれ、予算委員会で発言してくれました。大事なことは、一日でも早く元通りの線量に戻すことです。宮城県は線量が低いと思われているが、以前の10倍の線量の中生きています。この空間線量のところに住んでいることを忘れないでほしい。

    「さすけね」という方言、大丈夫だという意味です。数百メートル先に福島との県境があります。私の家だと線量調査もない、健康調査もない。子どもたち、「さすけねん」でしょうか?住んでるところこそ白石市だが、日中は福島で仕事をしています。線量を元にした対応を考えてほしい。

    古山智子さんの資料

     

    増田薫さん(千葉県松戸市在住)放射能から子供を守ろう関東ネット代表

    3・15の吸入、3・21の雨。金町浄水場の水。

    松戸の被ばくは3つあります。事故直後15日の吸入。21日の雨。金町浄水場の飲料水の汚染。3月15日は稲毛でも高濃度のヨウ素を計測しました。関東ネットは茨城から千葉北西部、埼玉がつながっています。母親が初期に知らずに子どもを汚染してしまったという反省からうまれました。空間でも0.7-8がでていた、そんな中で夫の理解を得られず子どもを毎週サッカーへ送り出して泣いているお母さんがいました。

    東葛は放射性管理区域に入っていることは間違いありません。そういうところで生活しています。松戸市も公的なところは除染が進んできました。庭は全面的に除染しなければいけないといわれました。自主的に検査している人もいます。

    去年10月から復興庁と交渉して4回目、当初、支援対象地域は福島だけという対応でしたが、茨城も対象地域に入れてもいいかなという感じに少しかわってきています。取手市や流山市といった自治体からも声が出始めています。私たちは署名活動中です。2年ぐらいでは影響の結論はでない。長い目でみないとわからないので、健康調査をぜひしてほしいです。

     

     

    澤上幸子さん(双葉町から愛媛へ避難中)NPO法人えひめ311事務局長

    感じるのは自主避難者の苦悩

    松山市からきました。震災前は4世代9人家族。双葉町の兼業農家で休日には家族で田植えをしていました。震災当日は、原発が爆発した音を聞きました。空から黄色いぼたん雪のようなものが降ってきました。日本は終わり、私は死ぬのかな、と思いました。スクリーニング検査では針が振り切れるほどでした。衣類はすべて捨てなさいと言われました。

    受け入れ組織を避難者とともに立ち上げました。国が定めた区域に関わらず、避難は尊重されるべきですが、個人の尊厳が守られていないと感じます。警戒区域では補償があるが、自主避難者の補償は認められていないのが現実。避難したことも認められていません。みんな悩んでいます。果てしない自問自答。避難の権利を国が認めてくれたら、やっていけるのではと思います。交通支援、就業支援、住宅確保は重要です。

     

    槇裕康さん(福島在住)福島県弁護士会

    福島に残っているからと言って、汚染を甘受しているのではない

    福島市は震災当時20マイクロシーベルト/時。その中で3歳と6歳の子どもを育ててきました。娘の花摘みも息子との釣りもできない。幼稚園では七夕飾りの半分が『放射能が消えますように』と書いたほど子どもの心は傷ついています。

    残ることを決断したけれど、汚染を甘受しているわけではない。なるべく被ばくを少なくして、やっていきたいという考えです。週末は線量の低い会津地方にスキーにいくなど週末避難をしています。お金がかかります。2年間やってきて、賠償の限界を感じています。賠償では救えないが、この支援法なら救われるかもという一縷の望みをかけています。

    福島県弁護士会では賠償と子ども・被災者支援法は両輪だと思っています。福島県弁護士会の意見書があります。残ったからといって被ばくしたくないための対策。対象区域に戻るための対策。健康管理は、結果の知らせ方が不親切。素人からするとわからないですし。1回だけでなく、その後の経過も見ていくべきです。肉体だけでなく精神的なところも。子どもの要望を聞く窓口も要求したいです。

     

    手塚真子さん(那須塩原)那須塩原放射能から子供を守る会代表

    子どもの無事を確認したい

    那須塩原に、当時から今まで住んでいます。いつ避難しようかと思いつつ、息子が小学校1年に上がるとき、学校が何も対策をしていなかったので、自分で活動を始めました。

    那須塩原には広い平野が広がり、ほとんどが地上1メートルが0.3マイクロシーベルト。吹き溜まりでは2ケタも。家の中では0.5-6という家庭もあります。将来の不安と、除染するには費用と時間がかかるので引っ越す家庭もあります。子どもを線量の低いところへ連れて行ったり、健康を見守るしかありません。

    庭のしいたけが数百ベクレルといったところもあります。家庭菜園はあきらめ野菜は購入しています。病院でホールボディ調査をしました。自治体の補助があり、50名の枠に申込みが殺到しました。甲状腺のモニタリングしをたいという人がいるのに、曜日が限られています。家族全員は負担多くなります。

    農家さんに気を遣い放射能の話題ができません。牛乳、農産物。子どもを守るための活動をしていますが、放射能の話題をいうと怒りを示す方もいます。その中で、子ども・被災者支援法が成立したことは、長い光がさしたような思いです。被災者に寄り添う形、精神的経済的支援を求めます。

     

    宍戸慈さん(郡山から札幌へ避難中)任意団体peach heart共同代表

    国に自分を守ってもらえなかった喪失感がある

    任意団体peach heartは、まだお母さんになっていない女の子の団体です。3月12日に結婚しました。子どもが生まれて細胞分裂1個の細胞が40兆個、成人は60兆個。お腹にいるときが本当に大事。心臓をつくる期間は4週目。その間にどう子どもを守るか。準備のために保養できる環境を作っていかなければと思っています。

    福島では今、「あいまいな喪失感」というのがキーワードとなっています。わたしは、国に自分を守ってもらえなかった喪失感があります。個々の喪失感と向き合ってほしいです。

     

    武田徹さん(福島から米沢へ避難中)福島原発避難者の会in米沢代表

    避難者は二重生活で月約10万の出費増

    生まれは郡山です。3月12日に、米沢へ避難してきました。夫婦と子ども4人家族で福島から米沢にきた場合の出費増を出してみました。通信費15000円増、水道4000円増、ガス1万円増、電気5000円増、一番はガソリン代35000円増。子どもの幼稚園と延長保育25000円増。米沢は豪雪なので冬だけの必要経費35000円。約10万の出費増となっています。

    住み替えを認めろと言っています。6畳間に4人、10畳間に2人という不合理。私の住んでいるところは80世帯はいれるが33世帯しかはいっていない。子供が夜泣きをするから他へ移りたいといっても、一度出たら福島へ帰ったものとみなすからだめといわれます。

    集会場の使用、政権がかわったとたん350円値上げになった。子供をあつめて週3回勉強会やっています。悩みごとを相談したり、ストレス解消にいい場所なのに、お金をとるとはどういうことかと思います。

    健康被害、チェルノブイリは3-5年後以降に出たというので、それ以前に出たものは放射能によるものではないと言われています。

    なんら健康上問題ない、というが、科学と医学について、断定できますか?秘密会議で擦り合わせて、尿検査は必要ない、などとやっている福島の現状。

    福島の子どもたち、特に女の子は「結婚しない」、「子ども産めない」、と不安になっている。これに答えるのが日本政府ではないか。

    2月に国と東電と話しました。放射能は他県にいかないですか?と聞いたが、答えられませんでした。らちが明かないので、800人で福島を元に戻せ、という訴訟を起こしました。1万人まで伸ばしていきたい。支援法を後ろから支えるものになると思います。

    憲法で裁判を受ける権利は保障されているので各地で訴訟を起こすべきだと思います。

     


     

    19日にも議員連盟でヒアリング

    子ども・被災者支援議員連盟では、引き続き19日に、被災者向け「よりそいホットライン」事業などを行っている前宮古市長熊坂義裕さんにお話しを聞き、また復興庁による被災者支援施策メニューについて討議するとのことです。当日は一般傍聴も可能とのことです。大事な取り組みを続ける子ども・被災者支援議員連盟への参加を、ぜひ、地元の国会議員に呼びかけていきましょう。

     



    お詫び:計画では、増子理香さんにご登壇いただきたいと考えておりましたが、登壇依頼を受け持っていた原発事故子ども・被災者支援法市民会議がご本人に登壇依頼をせず、ご本人の了承を得ぬまま名前を記載したチラシを配布してしまいました。ご本人は仕事を急遽休む事もできず、最終的にこの日の登壇がかないませんでした。増子さん、また、配布先のみなさまに、お詫びいたします。

     


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    • 「地元議員への電話かけ」初めての方へ

      地元議員にとって、あなたは大切な「自分の選挙区の有権者」です。

      ほとんどの議員事務所が選挙区の有権者であることを名のれば、丁寧に応対してくれます。

      以下のポイントを参考にしてください。

      • 伝えたいことを紙に書いておく。または書いてある紙を手元に置いておく。
      • 相手が出たら、まず、「○○市の○○です」と名のる(もし、自分が投票した議員なら、それも伝える)
      • 議員に伝えてほしいことがあり電話した旨を丁寧に伝える
      • 伝えたいことを、話す
      • 聞いてくれたことに対して、礼を述べる

      最後に、議員に伝えた結果を聞きたいので、また電話する旨伝えて、フォローアップの電話をすることをお勧めします。

      きっと、あなた一人じゃないはず。電話かけの報告は@gpjTweetまで。