みなさん、こんにちは。食と農業担当の関根です。
遺伝子組み換え(以下GM)作物にまつわる神話の一つは、「GM作物は経済的だ」というもの。価格が手頃でコストがかからない、と宣伝されてきました。でも本当は…正反対。
【A】GM作物の種の値段はどうなってるの?
【Q】GM種子の値段は非GMの種子よりかなり高く、しかもどんどん高騰しています。
たとえば、GMダイズが2000年にアメリカの市場を支配し始めてから、GMダイズ種子は200%以上も値上がりしています。GMトウモロコシ種子も2012時点で150%以上も値上がりしました。
そして、さらに問題なのは、「GM種子には特許がある」ということ。するとどういうことが起きるのでしょうか。モンサントなどGM作物を開発した企業は「特許侵害だ」として農家が種をとることを許しません。
作物が秋に実ったら種をとって次の春にまく…農業が何千年もの間、当たり前に行ってきたことが、GM種子では許されないのです。
このため、GM作物を作る農家は毎年、高価なGM種子を毎年買い続けなければならず、大きな負担となってしまいます。
とても理不尽な話です。
最近では、非GM農家も特許と無関係ではいられなくなってきました。GM農家に隣接する非GM農家の畑に、GM種子が風に乗ってこぼれ、自然に成長したことに対し、GM作物の開発企業が非GM農家を「特許侵害」だとして訴えるケースもでてきているのです。
【Q】GM作物は安いコストで育てられるの?
【A】いいえ。もし最初うまくいっても、やがて農薬代の負担が重くのしかかります。
除草剤の効かないスーパー雑草が現れたら、除草剤をまく量や回数を増やさなければなりません。殺虫作用をもつGM作物でも平気なスーパー害虫が現れたら、「必要ない」はずだった殺虫剤を買ってまかざるを得なくなります。
そして、忘れてはならないのが潜在的なコスト。
キャノーラ油の製造のために輸入されているGMナタネなどがこぼれて自生することが日本でも続いています。汚染が国内に広がらないよう、調査して引き抜く作業といった社会的コストも今後大きくなります。また、輸入されたGMナタネが実を結んだり、国内で栽培される非GMナタネと交配したりして、今後国内のナタネを汚染する潜在的なコストも見過ごせません。
(写真:カナダから輸入されたGMナタネがこぼれて自生したもの。GM汚染を防ぐために引き抜く作業。千葉港周辺 (ⅽ)Makiko Irisawa/Greenpeace)
【Q】GM作物が貧困の解決になるって本当?
【A】経済的な安定や生活の観点から見ると、途上国でGM作物の栽培をする農家の状況はほとんどの場合悪化しています。
GMワタと有機栽培のワタの農家を比較したグリーンピースの調査(注)では、有機栽培の方がGMワタよりも気候条件につよく、安定した収穫と、少ないコスト、高い収益を上げ、農家の暮らしをより安定させることができていました。
また、GM作物を栽培すると、種子や農薬にコストがかかるために、逆に借金に苦しむという深刻なケースも多く報告されています。
借金をしてGM作物を栽培しても、思うような収量が上がらなければ、負債はかさむばかり。
貧困の解決どころか、農家が出口のない負債の悪循環に陥るような事態を生んでいます。
(写真:有機栽培でワタを生産するインドの農家。4年をかけて無農薬で害虫を防ぐ技術を確立。実ったワタはヨーロッパのアパレルブランドが直接買い付けてくれるようになり、収入も安定してきた。)
グリーンピースは、遺伝子操作や大量の化学農薬に頼る工業型農業から、自然の力を活かしたより環境に優しい生態系農業をみなさんと選びとる社会を目指しています。
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(注)グリーンピース・エクセター研究所「Picking Cotton: The choice between organic and genetically-engineered cotton for farmers in South India」(英文)
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