〜院内学習会「守ろう子どもとミツバチ、食の安全」—ミツバチ編(下)〜 

 

みなさん、こんにちは。食と農業担当の関根です。

前回につづき、院内学習会の後半をご報告します。

今日は、長野県で50年養蜂に携わってきたベテランの養蜂家、依田清二さん(長野県養蜂協会会長)のお話です。

散布される農薬がネオニコチノイドになって、現場の養蜂家さんは、どのような影響を経験、観察してきたのでしょうか。

 

 

 

 <いま、養蜂になにがおきているのでしょうか?>

「ネオニコチノイドは、従来の農薬とは比較できないほど影響が強い。ミツバチの大量死は大きな問題です」

と依田さんは言い、養蜂の現場で何が起きているのか、話してくださいました。

 2008年にご自身も被害を受けました。

その様子は、まるで巣箱の前にばらまいたようにハチが死んでいて、はっきりとした被害だったといいます。

このとき近くの水田で、クロチアニジン(ネオニコ系)が主成分の農薬(商品名『ダントツ』)の粉剤をまいていたことが後になって確認されたそうです。

2011年ころまでには日本でもミツバチ不足が顕在化し、売買価格の高騰が起きています。

          [写真:この盛り上がったところで女王バチが育つ]

被害は2013年にもありました。今度は農協の販売するジノテフラン(ネオニコ系)が主成分の農薬だったそうです。

粉剤の被害は早朝の無風状態のときにはそれほど拡散しないものの、午前中の上昇気流が起きてからまくと標高の高いほうへ広がっていきながら落ちていくそうです。その範囲は何キロにもわたり広がっていくので、その下にいるミツバチには大きな被害が出てしまうといいます。

 ミツバチだけでなく、小動物、昆虫をふくめ全てに影響があるのではないか−−−−。目の前に広がる田んぼに、かつては空一面にきていたアキアカネが、ネオニコチノイド農薬の使用と時期を同じくして激減するのをみて、依田さんは、養蜂だけでなく自然環境のことも心配するようになりました。

 

 

ミツバチの減少の原因については、寄生するウイルスやダニの可能性もよく研究されています。が、実際に養蜂している経験上感じているのはこの(ネオニコチノイド)農薬の影響が圧倒的で一番だ、と依田さんは言います。

そして農薬で弱っているミツバチが、ウイルスやダニにやられていくのだろう、と。

農薬によるミツバチ被害は、当初岩手県で大量死の大発生が報告され、そこに止まらずに東北、北海道へ広がっていき、西も九州まで到達しました。

それでもネオニコの使用はいっこうに減りません…国の施策も、なかなか使用を控えるという方向にいっていません…と依田さんは悩ましい表情でお話を続けます。

  

<養蜂家さんにとって”被害調査”とは?>

農林水産省は3年間の計画で、ミツバチの被害の状態を調査しています。

養蜂をする側にとって、この調査にはどんな問題があるのでしょうか。

お話によると、養蜂家が実際の被害を受けたら報告するように言われているそうです。

そのためには、検査に必要な試料(たとえば死骸)や写真を集めたり、地図におとしたり、被害金額を計算したり…とたくさんの煩雑な手続きをしなくてはなりません。ハチがいなくなってしまった場合は、死骸も手にはいりません。被害の状況を提出すること自体が容易ではない、というのが養蜂家さんの現実なのだそうです。

だから、被害があるわりには国に出す証拠資料が出るのが少なくなっている。そのため、被害が過小評価されていて、国が方針を変えるところまでいっていないのではないか、と依田さんは指摘します。

前回の山田先生(金沢大学名誉教授)の報告でも「調査方法」に問題があって被害が過小評価されていると指摘されていましたが、加えて、現場で被害状況を報告することの難しさがあるとすれば、実際の被害は、政府が把握している規模よりもかなり大きいと考えるべきではないでしょうか。

 

 

<農水省の対策は効果があるのでしょうか?>

現在農水省が、ミツバチ大量死の対策として指導している、農薬散布時期に「巣箱を動かす」という方法は、養蜂家さんにとってはどうなのでしょうか。

養蜂の規模が大きくなるほど、移動は難しくなります。小規模な場合には移動も可能かもしれませんが、それでも避難した先で被害を受けるかもしれません。

依田さん自身も100を超える巣箱を置いていて、「農薬散布しますよ」、という連絡を受けるたびに移動する、というのは容易なことではありません。

このため、次善の策として、被害が出ないような散布方法を地元農協に要望しているそうです。それはたとえば、粉剤を使うのであれば無風状態のときにしてもらう、とか、粉剤から粒剤に変えてもらう、など…。

でもこれは根本的な解決とは程遠いものです。粒剤は確かに拡散しにくいけれども、水に溶けてしまいそれを飲みに来たミツバチがやられてしまうし、水田やその周辺の生き物なども影響をうけるので生態系の問題も解決しません、と依田さんはいいます。

「これは、ミツバチだけの問題ではなくて、日本の生態系の問題でもあるのです」

お話の結びに依田さんはこう強調し、環境や生態系を守れる農業のために、より多くの人に関心をもってほしい、グリーンピースもこうした運動も続けてほしい、というメッセージがありました。

グリーンピースも、ミツバチや子ども、有機農業や、無農薬の給食にとりくむ幼稚園など、各地のみなさんとつながりながら、食と農の安全をまもれる生態系農業が広まるよう、一層活動していきます。

 

 「なんとかしなきゃ」と思ったら今すぐ、20秒であなたにできること

このメッセージが国会議員そして一人でも多くの人に広がるよう、あなたの声を署名を通じてぜひ国会に届けませんか?

日本でも一日も早くネオニコ系農薬の禁止を実現し、農薬に変わる唯一の解決策として、有機、無農薬などの生態系農業をもっと身近にすることが必要です。

このため、ただいま“子ども・ミツバチ保護法を求める署名”を実施中。8月には、農林水産委員長(衆・参)、有機農業推進議員連盟会長に第一次集約分を提出しました。まだまだ募集中です、ぜひぜひご参加ください。

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