こんにちは。海洋生態系担当の花岡和佳男です。

古くから暑い時期を乗り切る栄養をつけるためにウナギを食べる習慣のある、夏の土用の丑の日。今年は7月22日に「一の丑」、8月3日に「二の丑」と、2回その日が訪れます。美味しいウナギをたくさん食べて日本独自の習慣を次世代に繋げていきたいですね……と言いたいですが、獲り過ぎなどの理由でウナギが自然界から激減しており、とてもそうはいかない現状にあります。

ウナギはいつ食べられなくなる? 私たち消費者にできることは?今回より3回にわたりウナギの漁業と消費について考えるブログシリーズを展開していきます。第1回目の今回は、日本のウナギ需要と、その需要を満たすための乱獲について。

皆さんご存知でしたか? 世界人口の2%弱が生活する日本で消費されるウナギの量は、世界のウナギ生産量の実に70%以上。私たちがいつでもどこでも当たり前のようにウナギを買うことができる状態を作るために、全国展開するスーパーマーケット、コンビニエンスストア、飲食店などはこれまで、世界規模の超大量調達を行ってきたのです。

資源状態の悪化からウナギの価格はここ数年で急激に高騰し、老舗のウナギ専門店の閉店が話題となる一方で、大手スーパーなどは今年も、ウナギ蒲焼商品の予約を受け付けたり値下げを発表したりして、薄利多売を続けています。

もちろん、自然界で生まれるウナギは成長して次の世代を生み命を連鎖させるので、このサイクルのペースを超えない限り、私たちは持続的にウナギを獲り食べていくことができます。

しかし持続可能性を無視した世界規模の超大量調達により集めたウナギを薄利多売する現行のビジネスモデルでは、大量のウナギが赤ちゃん(仔魚・シラスウナギ)の時に自然界から獲られ生簀で育てられて出荷されるため、ウナギは自然界に次の世代を生むことができないのです。日本で消費されるウナギのほぼ全てはこのような方法で自然界から獲られており、紛らわしいことに「養殖」と表示され流通されています(表示に関して詳しくはブログシリーズ第3弾で)。

また、日本で消費されるウナギのほぼ全てを占めるニホンウナギとヨーロッパウナギという2種類のウナギは、獲り過ぎなどにより極めて悪い資源状態にあり、それぞれ環境省及び国際自然保護連合(IUCN)に、絶滅危惧種に指定されています(資源状態について詳しくはブログシリーズ第2弾で)。

古くから晴れの日を彩ってきたウナギを食べ尽くしてしまい、もう食べられなくなる日が現実に来る。私たちはそういう危機に直面しています。また更に恐ろしいことに、それはウナギに限った話ではなく、私たちが好んで食べている魚の多くが、どんどん数を減らしています。たとえば、ふかひれスープとして利用されることの多いサメ類は全種の30%が絶滅危機種あるいは準絶滅危惧種ですし、お寿司で大人気の太平洋クロマグロは、漁獲しなかった場合の水準の3.6%しか海にいないとされています。

皆さん、ぜひオンライン署名「一週間、魚食べずに過ごせる?」に参加して、スーパーマーケットに「乱獲や、過剰に獲られた魚の薄利多売は止めてほしい。持続可能に獲られた魚を買いたい」という消費者の声を届けてください。

オンライン署名はこちら

ブログシリーズ、次回はウナギの資源状態に関してです。