みなさんこんにちは。
食と農業問題「bee my friend」を担当しています関根です。

ネオニコチノイド系農薬の一種で、EUでは使用規制が始まっているクロチアニジン。日本では食品中における大幅な残留農薬の基準緩和が進められようとしています。再審議となったあと、またパブコメ募集が始まっています。締切は7月31日17時。募集詳細はこちら。

実はこのクロチアニジン、去年から大幅な基準緩和が提案されていました。2000倍の緩和!?という驚きを覚えている方もいらっしゃると思います。

規制緩和に反対した消費者が、1600を超す反対のパブコメを送り、さらにグリーンピースで呼びかけた署名では、ひと月で13000筆もの声の力もあって、今年3月、厚生労働省は異例の「再審議」をすることを決めました。

今、その毒性を食品安全委員会というところで再審議した結果をまとめた「農薬評価書」が出され、パブコメが募集されているところです。この結果を見ると、もしかしたら残留基準は高いままの案で変わらないかもしれない、という内容になっています。ネオニコはもうやめてほしい、というみなさんの声がまた必要です。募集詳細はこちら

ブログ目次
1.残留基準、また規制緩和か?
2.パブコメを出そう&送り方
3.パブコメのポイント
4.グリーンピースではこんなことを書きました

1.残留基準、また規制緩和か? 【締切は7月31日17時必着!募集詳細はこちら

今回は、個別の農薬の毒性について、農薬メーカー(住友化学)が農林水産省に提出した実験結果や、その他の論文などにもとづいて、農薬専門の委員がまとめ「農薬評価書へに対するものです。

今回のパブコメの対象になった「農薬評価書」では、次の3つの点が新しく検討されました。

① 最近の研究結果を考慮すると、生涯にわたって毎日体に取り入れて大丈夫なクロチアニジンの量(ADI)はどれくらいといえるか?
② 同じく、一度に食べて大丈夫な量(急性参照用量)は最大どれくらいか?
③ それぞれの食材について、一回で最大どれくらい食べるだろうと推定できるか?


2.パブコメを出そう&送り方 【締切は7月31日17時必着!募集詳細はこちら

この報告書に対して、「科学的な内容に関する意見・情報を募集いたします」と書いてあります。でも、科学的なものしか出してはいけない、と考える必要はありません。なぜなら、パブリックコメントの目的は「広く一般から意見を募り、その意見を考慮することにより、行政運営の公正さの確保と透明性の向上を図り、国民の権利利益の保護に役立てること」(総務省法務ページより)だからです。

提出先は
宛先内閣府食品安全委員会事務局評価第一課内
「クロチアニジンの食品健康影響評価」意見募集担当 宛

提出方法
電子メール、ファックス、郵便で送ることができます。
メールとファックスの場合、表題を「クロチアニジンの食品健康影響評価についての意見・情報の募集」と書き
郵送の場合は、封筒表面に赤で書いてくださいとのことです。

提出先
○ 電子メールで:食品安全委員会ホームページの下記URLから提出できます。
https://form.cao.go.jp/shokuhin/opinion-0628.html
★注意 500文字以内となっているので、超える場合は、分割して出さないとなりません。

○ファックスで:03-3584-7391

○ 郵送で: 〒107-6122 東京都港区赤坂5-2-20 赤坂パークビル22階



3. パブコメのポイント 【締切は7月31日17時必着!募集詳細はこちら
この報告書は、80ページもあって難しそうなことが書いてありますが、ポイントは「再審議」した結果、何が変わったか、ということです。どういう審議をしたのかということです。

・【新しいデータを反映していません】再審議の結果、生涯にわたって毎日体に取り入れて大丈夫な量(一日耐容摂取量:ADI)は、再審議でも変わりませんでした(1日体重1㎏あたり0.097mg)。今回新たに検討された最新の論文は、この農薬の毒性がこれまでの認識よりも高いことを示すものだったのに、参考程度にしか扱われなかったのはおかしいと思います。

・【一度にEUの6倍摂取してしまうような結論です】一度に食べて大丈夫な最大量(急性参照用量)が初めて設定されました。体重1㎏あたり0.6mg。これはEUで決めている値の6倍。つまり、EUより6倍ゆるい数字です。
この二つの数字がもとになって残留基準が検討されていくわけですが、これだと去年の案と同じように高い残留基準さえ認められてしまいかねません。

・【どうしてこの結論になったのか、透明性がありません】これら数字が最初に出されたのは、食品安全委員会の「幹事会」という非公開の会議。しかも議事録は公開されていません。すべての人の健康にかかわることなのですから、議論のプロセスをすべて公開するべきです。

・【予防原則の重要性を明記すべきです】毒性は主に動物実験のデータを使って、調べたい物質(今回は、クロチアニジン)について検討します。でも、普段食べ物などを通して他の農薬をはじめいろんな化学物質を複合的に摂取してしまっている人間の場合、複合的な影響がどうなのか、とか、特に過敏な人や子どもについてどうなのか、などは十分に検討できていません。そういう「わからないことがたくさんあるのです。ですから、人間への影響について「わからないこともたくさんあるんです」ということ明記するべきです。「わからない」ことを「ない」こととするのではなく、予防原則が大切です。

このほか、もっとわかりやすい説明もつけてほしいとか、どうしてEUの6倍なのかとか、あなたが疑問に思うことも、この機会に伝えましょう。なんといっても、みんなの食べ物の問題なのですから。


4.グリーンピースはこんなことを書きました。

イラストをクリックするとグリーンピースが提出したパブコメにリンクします。



みなさんもぜひ声を届けてください!募集詳細はこちら

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