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こんにちは。エネルギーチームの広報担当、城野です。

 

関西電力の経営陣に直接声を届けるため、関西電力株主総会にきています(注1)。

グリーンピースは、関西電力(以下、関電)とその株主に対して「提案」をするために、関電の株式を最小単位で購入しています。グリーンピースの持ち株だけでは株主提案ができないため、長年にわたって関電に脱原発提案をしている「脱原発へ!関電株主行動の会」の一員として、株主提案しています。

(写真:会場の外で脱原発をアピールする人々)

 

8000億円の追加投資、回収できるか

株主総会で、関電は、再稼働をめざし、電気料金を下げるなとど説明しました。

しかし、それが実現するかは不透明です。

高浜1号機は今年で運転開始から42年、2号機は41年、美浜3号機は40年です。

それらの改修費用や追加対策工事が完了するのは、2020年以降。総額3650億円かかると報道されています。関電のその他の原発合わせると8000億円だそうです。

海外に目を向ければ、世界最古の原発は運転期間が48年になるスイスのベツナウ1号機ですが、原子炉圧力容器に入った原因不明のひび割れのために2年も停止しており、再稼働の目処は立っていません。

アメリカでは、40年を経た原発が寿命延長認可を得ても、わずか数年で結局閉鎖したり、交換機械の不備や経済的になり立たないことから、延長しないケースが起こっています。

高浜12、美浜3号機は、20年間の運転期間延長が認可されていますが、工事完了以降だと、稼働可能期間は156年ほどで、日本の老朽原発も、延長期間まるまる動かせる保証はどこにもありません。

また、高浜原発、大飯原発には、裁判所からの差止命令がでたこともあります。今後も、住民による裁判は続くでしょう。

株主総会でグリーンピースは「それほどまでお金をかけても、延長期間20年をまるまる運転できる可能性は、非常に小さいと思われます。世界中で、閉鎖された原発の平均運転期間は約25年です。

日本でも、再稼働のための巨額の投資をすることに経済的正当性があるのか、よく検討すべきです」と主張しました。

 

老朽化で高まるリスク

そして、そもそも高浜12号機、美浜3号機の設計は旧式であり、追加対策をほどこすことはできても設計まで変えることはできないこと、また、中性子を浴び続けた原子炉内の金属は劣化し脆くなっていくこと、さらに、再稼働が予定されている2020年の時点では、9年もの長きに渡って停止した原発を再稼働することになり、これほど長期間停止した原発を再稼働させるリスクはわかっていないことを訴え,「老朽化で事故を起こすリスクは高まっている、再稼働の前にしっかり安全性の検証を」と提案しました(会場からは拍手をいただきました!)。

原発の中には、取り替えできない機械、点検できない(人が入れない、中を見られないなど)機械もたくさんあります。

国の運転期間延長審査に合格していると言っても、実は、その規制がゆるく、安全性は確認されているとは言い難いのです(くわしくはこちら)。

 

脱原発株主提案はすべて否決

しかし、グリーンピースからの提案含め、今回の総会に提出された脱原発関連の提案は、すべて否決されました。

株主からの質問、発言はほとんどすべて、「脱原発を進め、自然エネルギーを推進してほしい」という趣旨でしたが、経営陣は「原発の安心、安全な稼働に努め、安価な電気を供給する」という「3安」、「原発は国の重要なベースロード電源」という主張を繰り返すばかり。まったく質疑応答がかみあっていませんでした。

2016年の高浜4号機の緊急停止事故、冷却水漏れ、そして今年の高浜2号機のクレーン倒壊事故....最近のトラブルやその対応から考えても、関電を信用することはできません。そのほか、関電内部のパワハラや職員の過労死の問題も指摘されていました。

関電の原発は、琵琶湖に近く、事故時に琵琶湖が汚染され、飲料不適となれば、関西の1450万人の飲料水が失われます。

グリーンピースは、高浜12号機の廃炉を求める裁判など、今後も関西の住民のみなさんと連携して、関電の原発の再稼働を止めるために行動を続けます。

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注1 株主総会は、株主として会社に対する提案や意見をしたり、経営陣に直接質問ができる機会です。グリーンピース・ジャパンのエネルギーチームは、脱原発と自然エネルギーの飛躍的導入を求め、株主総会への参加・議決権行使などのために、2012年から東京電力に加え、関西電力、および日立製作所の株式を最小単位で購入しています。 東京電力株主総会出席報告はこちら

グリーンピースの持ち株だけでは株主提案はできないため、東京電力については「脱原発・東電株主運動」、関西電力については「脱原発へ!関電株主行動の会」のご協力のもと、行なっています。

ご参考:グリーンピース ブリーフィングペーパー 「関西電力 再稼働のリスク --老朽化・地震・費用の膨張」 


 

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