こんにちは。エネルギー担当の高田です。

140人で、原子力規制庁、資源エネルギー庁(エネ庁)、外務省に会いました

8月8日(木)、参議院議員会館で、東電汚染水問題で緊急集会と政府との質疑応答を、FoE Japanと福島老朽原発を考える会をはじめとするNGO10団体共催で行いました。会場は満員でした。平日昼間にも関わらず、ご都合をつけて足を運んでくださったみなさま、ありがとうございました。

■主催団体: 原子力規制を監視する市民の会/福島老朽原発を考える会/プルトニウムなんていらないよ!東京/ハイロアクション福島/脱原発福島ネットワーク/グリーン・アクション/美浜・大飯・高浜原発に反対する大阪の会(美浜の会)/ FoE Japan /グリーンピース・ジャパン


 

【規制庁、エネ庁、外務省と市民の質疑応答】(8月21日追記)

わたしたちの問題意識は、「汚染水を海に流すべきではない」「再稼働のための審査より、汚染水対策に全力で取り組むべきでは」というものです。

政府の応えは主に以下のようなものでした(注)

市民「汚染水漏れの責任者は、国としては誰なのか?」

エネ庁「責任の定義はない。(市民側の質問に対する)明確な答えはない」


市民「東電資料*によると、2012年12月から今年の5月まで地下水のモニタリングがなされていない期間が約5か月間ある。なぜ計測していなかったことを、東電に確認したか?」(* 2013年8月8日付の東電資料「タービン建屋東側の地下水汚染の現状」 16、17ページ


規制庁「なぜその間、東電が測っていなかったのか、東電に確認はしていない」


市民「汚染水の放出はロンドン条約精神に違反している」
ロンドン条約について詳細はこちら


外務省「船舶からの投棄でないので、(条約の)対象外と考えている。今年の10月のロンドン条約締約国会議で情報を提供したい」


市民「規制庁において、再稼働審査と比べ、汚染水対策への人的・時間的配分があまりにも少ない。大飯原発が新基準に適合しているかの評価会合だけでも、会合とヒアリング合わせて100回以上行われている。対して汚染水については3~6回だ。再稼働審査は中止し、汚染水対策に全力を尽くしてほしい」

規制庁「再稼働の審査は、予定通り進めていく」


市民「事故が起きた時、地下水の動向が非常に重要になってくる。ところが、(7月にできた原発再稼働について審査する)新規制基準には、地下水についての項目は含まれていない。これでは事故の教訓が生かされない。それぞれの原発の地下水の状況についても、審査項目に加えるべきではないか」

規制庁「必要であれば、バックフィット制度もある。(地下水について追加することを)今は検討していない」

【追記終わり】


 

その場しのぎの東電と東電まかせの政府ーー木野龍逸さん


東電の会見を追ってきたフリージャーナリストの木野龍逸さんが、汚染水の海への流出は事故直後から問題視されてきたのに、東電は漏れてないと言い続けてきたこと、溶けた核燃料の問題などに比べ優先度が低かったこと、政府はその東電に「おまかせ」状態であったことを報告してくれました。

 

汚染水流出ルートの特定に染料マーカーを使えーー高木章次さん

「プルトニウムなんていらないよ!東京」の高木章次さんは複雑な汚染水問題を自らのイラストで解説、汚染水流出がどこからきているかわからないのなら、染料マーカーを使って調査したらどうかと提案。他の業界ではやっていること。

このままでは漁業・流通は壊滅--相馬でスーパーを営む中島さん

相馬市でスーパーを営む中島さんは、電話インタビューで、これまで、放射線量を計測して販売してきたが、汚染水流出の報道で売れなくなった。このままでは漁業・流通は壊滅すると危機感を募らせていました。

 

北海道や鹿児島で売られていた魚も汚染されているーこれ以上、海を汚染してはならない 高田久代

わたしからは、グリーンピースが継続している海産物の調査で、政府の放射能基準値以下ではあるものの、放射能に汚染されている海産物が日本全国に広く流通している可能性を紹介しました。

また、調査に協力してくれる漁師さんや、流通業者さんは、「これ以上、汚染水だろうが地下水だろうが海を汚してほしくない」「いいかんげんにしてほしい」と訴えています。

 

放射能汚染水は国際条約の精神に違反

国連海洋法条約は、海洋汚染の防止のためすべての必要措置をとることを求めています。また、ロンドン条約では、放射性物質も含め、海洋への投棄を規制しています。汚染水の問題が国内問題にとどまらず、国際問題であることをお話ししました。 

プレゼンテーション資料はこちら

 

 

「政府は汚染水を止めることに集中を」署名、48時間で6,406筆、214団体

政府との交渉に先立ち、8月6日から緊急に呼びかけた「政府は汚染水を止めることに集中を」署名を規制庁に提出しました。48時間で6,406筆、214団体の賛同をいただきました。

本当に心強かったです。ここにいる140人だけじゃないのだ、と。

ありがとうございました。

グリーンピースでは安部首相、東電あての「これ以上、わたしたちの海を放射能で汚さないで」オンライン署名を継続中です。→ こちらから、ぜひご参加ください。

 


規制庁、エネ庁、外務省と質疑応答

15:00からは規制庁、エネ庁、外務省との交渉(質疑応答)をしました(注)。

わたしたちの問題意識は、「汚染水を海に流すべきではない」「再稼働のための審査より、汚染水対策に全力で取り組むべきでは」というものでした。

政府の応えは主に以下のようなものでした

  • 田中俊一規制委員長は汚染水を安易に流してよいというものではなく、汚染水は流さないのが原則
  • 今回の汚染水がロンドン条約違反とは考えていない
  • 再稼働の審査も汚染対策も現状の人的配置(審査80人体制、汚染水対策40人体制)で行う

また、汚染水に対して最終的な責任がどこの省庁が担っているかについて、明確な回答がありませんでした。

 

市民の考えを、政府に、国会議員に伝えていこう

政府との質疑では、納得のいかない応答ばかりでしたが、この会がなければ、市民が疑問に思っていること、こうあるべきと思っていることを伝えることができませんでした。

今回、納得のいかない部分(すべてですが)について、さらに文書による回答を求めています。また、引き続き、政府との会合を持っていきたいと思います。

報道への投書、取材のお願い、政府や国会議員へのはたらきかけなどできる分野のできる範囲でやってきましょう。

 

 

 

 

(注)政府側出席者

原子力規制庁 PWR型担当 布田洋史氏

資源エネルギー庁原子力発電所事故収束対策室補佐 柴田寛文氏

原子力規制庁 監視情報課 課長補佐 塚部暢之氏
原子力規制庁 安全規制管理官付(BWR担当) 管理官補佐 村田真一氏
外務省 国際協力局 地球環境課長 博士 杉中淳氏
外務省 国際法局 海洋室 首席事務官 古郡徹氏
外務省 軍縮不拡散・科学部 国際原子力協力室 首席事務官 田口一穂氏

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