こんにちは、食と農業問題担当の関根です。

農林水産省が6月23日、ミツバチの大量死などの被害について調査した結果を発表しました(注1)。

調査は3年計画で今年は2年めにあたりますが、昨年と同じく、ネオニコチノイドを始めとする農薬散布とミツバチ被害との関連があらためて確認されました。

もう、対策を先延ばしにしているときではありません。

調査結果を見てみると...

【ポイント1】農薬を撒く時期とミツバチの被害がほぼ一致:
稲の花が咲くときに汁を吸いにくる“害虫”カメムシを殺すため、農薬(殺虫剤)を撒く7月から9月に、ミツバチ被害が多数でていることが今年も報告されました。

【ポイント2】ネオニコチノイド系が最多:
死んだミツバチを分析した結果、ネオニコチノイド系、ピレスロイド系などの農薬が検出されています。検出件数が最も多かったのはネオニコチノイド系農薬(なかでもクロチアニジンが最多)です。

【ポイント3】農林水産省の対策は効果なし:
ミツバチ被害を減らすために、昨年農林水産省がとった対策---農薬を散布する前に養蜂家にお知らせして巣箱を移動させてもらう--という対策では効果が上がっていないかったことも明らかになりました。理由として、巣箱を避難させる先がない、など養蜂への負荷が大きいことが挙げられています。

>農薬からミツバチと子どもをまもる署名

 

「プランBee」でいこう!グリーンピースの新レポート発表

農林水産省のような対症療法的な対策では、農業の大事なパートナーであるミツバチを守ることはできません。

さらに、野生のハチをはじめとした花粉を媒介している昆虫への影響を防ぐことも全くできません。実りを支える授粉の重要性を全く認識していない対策といえるでしょう。

グリーンピースは本日、ミツバチを守り、化学農薬に頼らない方法を提言したレポート「Plan Bee-生態系農業への移行」(注2)を発表しました。

 

 自然の力に逆らって、殺虫剤や除草剤でむりにコントロールしようとするのではなく、輪作や混植、圃場やその周辺の生物多様性を豊かにすること--自然の力を利用する技術を駆使することによって、化学農薬にたよらない健全な食料生産が可能であることはすでに多くの研究や国内外の実践によって確認されています。

グリーンピースの「Plan Bee」レポートは、こうした知見をまとめ、生態系農業を推進するよう提言したレポートです。日本語要約版をぜひご覧ください。

問題を悪化させている農水省

ところで、みなさん覚えていますか?

今年の5月、ネオニコチノイド系農薬(特にクロチアニジン)の食品への残留基準が大幅に上げられたこと(注3)。このとき同時に、クロチアニジンの使用範囲や使用できる量も一気に拡大されました。これは、メーカーの住友化学が申請した使用拡大を農林水産省がOKしてしまったから。

農林水産省はミツバチを守るどころか、むしろ問題を悪化させてきたのです。

ミツバチと子どものために

そもそも、水田のカメムシ対策としてネオニコなどの農薬をまく必要性は、生産者からも大きく疑問視されています。

消費者から、必要のない農薬散布をやめるよう求める声が強くなってきていると同時に、米どころの秋田県議会や岩手県議会からも、水田で稲の花が咲く時期の農薬散布をせざるを得なくするような国の制度(米の検査規格)の見直しを求める意見書が出されています(注4)。

ミツバチや子ども健康に優しい農業は、生産者そして安全な食を求める消費者のニーズにもかなっているのです。

 

農業の大切なパートナーであるミツバチや人の健康をまもるためにミツバチに有害な殺虫剤の即時禁止と、唯一の根本的な対策として生態系農業へのシフトを、一緒に目指しませんか?

ミツバチや子どもに有害性の強い農薬の禁止と、生態系農業の推進のため、下のバナーをクリックして“子ども・ミツバチ保護法を求める署名”にぜひ参加してください。

▼このバナーをクリック、20秒でできます。

 

(注1)農林水産省「平成 26 年度蜜蜂被害事例調査結果」2015年6月23日

(注2)グリーンピースレポート “Plan Bee-無農薬の生活:生態系農業への移行” 日本語要約版

(注3)2015年5月19日グリーンピース声明: ネオニコチノイド系農薬クロチアニジンおよびアセタミプリドの食品残留基準の大幅緩和を受けて

(注4)参考: 朝日新聞2015年5月2日(私の視点)コメの検査規格 消費者に有用な制度に米の検査規格の見直しを求める会ウェブサイトなど