こんにちは、森林について担当している高田です。
大きなニュースがインドネシアの同僚から飛び込んできました!

2月9日、インドネシアのパーム油会社GAR社が、森林破壊をこれ以上行わない新しい方針を打ち出したというのです! 

首都ジャカルタでの記者会見でGAR社は、炭素固定量の豊かな森林('High Carbon Storage' forest)を切り開かないことを約束。地元住民の暮らしや動物たちにとって重要である保護価値の高い森林(High Conservation Value forest)と泥炭地についても切り開かないとした方針を確認しました。
こうした森林保護方針の発表は、インドネシアのパーム油会社として初めてのもので、画期的です。

GAR社は、インドネシア最大のパーム油および製紙会社であるシナール・マス社のパーム油部門を担当しています。

パーム油は食品から化粧品まで、私たちの暮らしのいたるところで使われています。グリーンピースは、森林破壊の常習犯として不名誉な注目を集めてきたシナール・マス社に対して、森林や泥炭地を破壊しない方法で事業を行うよう2007年から継続して働きかけてきました。

その結果、まず洗剤・ヘアケア用品のユニリーバ社、食品・飲料会社のクラフト社がシナール・マス社との契約見直しを発表。

続いて2010年、世界最大の食品・飲料会社のネスレグループに対して、世界中から30万通を越える消費者からのメッセージが同社の経営陣に届き、同社はわずか2カ月ほどで、森林破壊をして作られた原料を使用することをやめ持続可能な原料に切り替えるとの画期的な調達ポリシーを発表。

たくさんの方がネスレ本社にメッセージを送ったり、ツイッターでツイートしたり、お知り合いに広めてくださったりしたおかげで、熱帯雨林の保護が大きく一歩前進しました。

さらにこの後、大手ハンバーガーチェーンのバーガーキングもシナール・マス社との契約見直しを実施。シナール・マス社への注目とプレッシャーが高まっていました。

パーム油生産などのために熱帯雨林や泥炭地(植物の残骸が積もり有機質の土のようになった土地)が次々と切り開かれてきたインドネシア。世界でもっとも速いスピードで森林破壊が進行しているばかりか、世界ワースト3位の二酸化炭素排出国でもあります(※)。

GAR社の今回の約束がきちんと実行されれば、深刻な気候変動を避けることに貢献するばかりでなく、オランウータンなどがくらす広大な熱帯雨林が保護されることにもつながります。パーム油業界内から、GAR社のような大手会社が森林保護を約束する方針転換を決断したことは、業界全体の方針をより持続可能なものに変えるきっかけとなるはずです。

グリーンピースはGAR社とシナール・マス社が打ち立てた方針がきちんと守られるよう、引き続きインドネシアの熱帯雨林を見守っていきます。

当初は、その操業規模の大きさや利害関係の複雑さから「不可能だ」と言われたGAR社の方針転換。この画期的な方針転換を可能にしたのも、サポーターをはじめとするみなさん一人ひとりが動いてくれたからです。


これからも、グリーンピースは、環境保護のためみなさんと一緒に考え、そして行動していきます。 今後も私たちの活動を支えてください。どうぞよろしくお願いします。

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※国際湿地連合の報告より(2006年)