(写真:© Christian Åslund / Greenpeace)

こんにちは、気候変動・エネルギー担当の高田です。

政府の原子力災害対策本部は19日、福島県内の学校の安全基準について、大気中の放射線量が年間20ミリシーベルトを下回るとみられる場合は、通常通りの校舎や校庭の利用を認める暫定方針を決定したと発表しました。

年20ミリシーベルト未満は通常通り=福島の13校、屋外活動制限-学校の安全基準(4月20日、時事)

この基準は、原子力発電所などで働く大人が年間に許容されている被ばく量と同じです。

一般の人の線量限度は本来年1ミリシーベルトですが、ICRP(国際放射線防護委員会)は原発事故などの緊急時には年20~100ミリシーベルト、事故収束後は1~20ミリシーベルトとしています。

しかしこれは大人を基準とした値です。
しかも、今回の政府の決定は食べ物や、校庭で吸い込む可能性のあるダストなどから受ける内部ひばくの影響を考慮していません。

放射性物質は、子どもにより深刻な影響をあたえます。
大人と比べて体が小さく、成長期であるためです。

今回設定された年20ミリシーベルトという基準は、子どもに設定する基準として明らかに常軌を逸しています。

グリーンピースは、こうした事態を大変憂慮し、日本政府に子どもたちの健康を第一に考えた措置の見直しを求めます。

また国際環境NGOとして、ドイツ、タイ、フィリピン、インドネシア、カナダ、ギリシャ、インド、フランス、イタリアなどで、それぞれの国の政府に手紙を送付し、日本政府に方針の転換を求める訴えも始めています。