こんにちは、福井アクションセンター駐在中の高田です。
4月4日、福井県の原子力安全専門委員会を傍聴してきました。

◆ 福井県の原子力委員たちが電力会社に質問したこと

この日の委員会では、関西電力(株)、日本原子力発電(株)、(独)日本原子力開発機構が、それぞれが福井県内にもっている原子力施設(原発やもんじゅ)について、福島第一原発事故をふまえた安全性向上対策実行計画の実施状況について発表し、委員の質問を受けました。

委員からは、原発の安全対策について、質問が相次ぎました。
下の表は、この日に出席した委員から出された質問の例です。

● 山本委員 「非常用ディーゼル発電機使えない時、他のポンプは使えるのか」 
→関西電力回答 「使える時もあれば使えない時もある。使える時は使う」

● 田島委員 「防災訓練は想定内のことを行う。外部電源切れたらどうするか、福島の例を考え、わからないときにどうするか、不安な時にどうするかもぜひ考えてほしい、そういう訓練もしてほしい」
→関西電力回答 「まだ実施していない。これから検討していきたい」

関西電力をはじめ電力各社は、「福島第一原発事故は、決して起こしてはならない事故として重く受け止めております」としています。

でも、説明を聞く限り、「あぁ、これなら万が一の時でも大丈夫では」という気持ちには、とてもなれませんでした。

◆ 出席8名のうち、5名が電力関連の団体から寄付を授受

この日出席したのは、12人の委員のうち8名でした。
その8名のうち、5名の委員は、関西電力の関連団体などから寄付を受けていたことが指摘されている委員です。

該当の委員は、3月25日付の朝日新聞の記事のなかで、寄付によって専門委員会の議論が影響を受けることはないとしていますが、多くの人の命と暮らしにかかわることを扱う委員として、利害関係者からお金を受け取ることは問題ないと言えるのでしょうか。

◆ 福井県で原発事故が起きた時の責任は、誰がとるのか

委員会終了後、中川委員長は、「専門委員会は再稼働について判断する場ではない」とし、専門委員会をあくまでも原発の安全性についてのみ検討する場と発言しました。

県議会は、再稼働の判断は知事やおおい町長が行うという認識を示しています。
知事は、「国から何も来ていないので」との発言を3月の県議会期中ずっと繰り返していました。

一方、国は、再稼働について「地元の同意・理解」が必要としています。

天災によって起こった人災が福島第一原発の事故でした。
過去25年間で、地球上で起こった最悪の原発事故により、15万人以上が避難生活を続け、福島県民は今も言葉に尽くせない悲しみと怒りと不安とともに暮らしています。

福井県では、3.11後これまで、原発について県民の意見を直接聞く機会は、ただの一度も持たれていません。

万が一の時、どこにどう逃げるかの避難計画も整っておらず、大飯原発については住民の避難訓練も3.11後、一度も開かれていません。

もし、福井県で原発事故が起きた時の責任は、誰がとるのでしょうか?
こんな状態での原発再稼働は、いくら何でも拙速ではないでしょうか。

再稼働を進めようとしている野田首相に、「ちょっとまって再稼働」の声を一緒に届けませんか。
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<参考>
*「福井県原子力委員に1490万円 電力側、5人に寄付」(2012年3月25日付 朝日新聞記事)