こんにちは。海洋生態系担当の花岡和佳男です。

スーパーで売られる魚から放射性物質

震災からもうすぐ2年。グリーンピースは継続的に国内大手スーパーマーケットで魚介類商品を購入し放射能検査を行っていますが、いまだに複数の商品から放射性物質が検出されています。

私達はこれまで各社に放射能汚染問題への対策の強化を求め、また消費者に「お客様の声」をスーパーに届けるよう働きかけてきました。以来、業界最大手のイオンが2011年11月に「放射能ゼロ目標」を宣言したり、複数のスーパーが商品情報表示を強化するなど、業界全外の運営スタイルが行政よりも消費者の方向を向いたものに、少しずつシフトしてきています。

魚の問題は放射能汚染だけじゃない

しかし私たちの日々の食卓に並ぶ魚介類を取り巻く問題は、放射能汚染だけではありません。例え放射能汚染の問題がなくても、魚は「獲りすぎ」により海から次々と姿を消していて、このままでは子ども達に今のような魚料理を残すことができなくなるかもしれない状態なのです。お寿司もお刺身も焼き魚も煮魚もおせちもおでんもタコ焼きもだしを使う日本料理も、口に入れることができなくなってしまうかもしれません

家庭消費の魚の約70%がスーパーマーケットで売られている

なぜ、世界の海で様々な魚の「獲りすぎ」が後を絶たないのでしょうか。そのカギは流通にあります。世界有数の魚介類消費国である日本では、家庭で消費される魚介類の約70%もがスーパーマーケットを経由していますが、各地にあるスーパーの店舗では一年を通して同じ種類の魚が同じ値段で毎日販売されています。持続性を無視したスーパーのこの調達スタイルにより、世界中の海から魚がかき集められているのです。さらに店頭では、どの魚が「獲りすぎ」な状態でどの魚がいま食べても大丈夫なものなのか、消費者が選択購入できる情報がほとんどまったく公開されないまま販売されています。

お魚スーパーマーケットランキング

豊かな海洋環境と漁業と魚料理を次の世代に残すため、グリーンピースは日本の大手スーパーマーケットに対して、「持続可能な魚介類の調達方針の策定」と「トレーサビリティーの確立」を求めています。その一環として、業界への影響力の高い国内最大手5社に魚介類の調達方針などについてアンケート調査を行い、その結果を今日、「お魚スーパーマーケットランキング vol.2」にして発表しました。お魚の安全性や持続性や消費者への情報公開を重視しているのはどのスーパーでしょうか?

消費者の声でスーパーは動く

また多くの「消費者の声」をスーパーに届けるため、本日オンライン署名を開始しました。みなさんもぜひ参加して、「持続可能な魚だけを売ってほしい」「獲りすぎの魚は売らないでほしい」「十分な商品情報を提供してほしい」などの要望を届けてください。どのような商品やサービスが売れるかをスーパーに情報提供しましょう。クレームではなくあくまでも「応援する」スタンスで行うことがポイントです。

前述のイオンは「放射能ゼロ目標」を宣言した際に、6000件の消費者の声に応えたと発表しています。激しい競争の中にあるスーパーは、消費者が作り出すニーズを敏感に察知しそれにあった商品を調達します。みなさん、豊かな海洋環境と漁業と魚料理を次の世代に残すため、ぜひご一緒に、「お客様の声」を届けていきましょう。