写真:母校の高校のグラウンド(北京市内、2013年4月撮影)。
青空が広がる日もあります。後ろには高層マンションがそびえます。


皆さんこんにちは、私は中国からの留学生、ヨウ・ショウキンです。
去年9月からグリーンピースでインターンシップを始めました。
北京で生まれ育った私は、全世界でも注目している北京の大気汚染問題に大変関心を持ち、テレビで放送されているニュースや記事を毎日チェックしています。


写真: インターンの高橋君(左)と私(右)




「中国の家族は無事ですか?」

グリーンピース・ジャパンの事務所でインターンをしていると、皆からよく「北京は大丈夫ですか? ご家族は無事ですか?」と聞かれます。
私は、大丈夫だと答えていましたが、実はすごく心配していました。

グリーンピースの中国オフィスと北京大学が共同発表したレポートによると、一年にPM2.5で死亡した人は8千人をくだりません。
グリーンピースの中国オフィスは、ボランティアを応募して、一日に吸い込むPM2.5の量を検査する実験を行いましたが、PM2.5を採取したフィルターは白色から深い灰色になってしまい、その写真を見て本当にびっくりしました。


「北京の青空が一年に何日あるか」 北京の都市化と環境汚染

日本に来たのは2011年の秋でした。来る前、北京で人気がある活動がありました。その名前は「北京の青空が一年に何日あるか」です。
私の記憶の中に残っていた北京の青空は、成長するにつれてどんどん灰色になりました。
地元の人たちはこの町に特別な気持ちを持っています。私たち若者は町のいたるところで起きた変化を感じながら、北京の都市化とともに成長しました。
都市化とともに生じる問題のひとつが環境汚染問題です。

2012年末から、北京の大気汚染問題に全世界の関心が集まっていました。
インターネットで完全に灰色の空が映っている写真集を見て、私はとてもショックを受けました。ある人が同じ場所(ビルと空が見える)で、一日一枚の写真を撮っていましたが、突然ある日、何も見えなくなりました。
その写真を見るまで、「北京は大気汚染がある、体に良くない」と思っていましたが、それが「危険だ」という思いは全然していませんでした。

写真を見て、慌てて家に電話して、家族は無事だと確認したうえ、「あまり外出しないで、外に出るときは必ずマスクを付けて」と念を押しました。

安全に息をするのと経済成長、どっちが大事?

しかし、マスクを付けるのは一時的な対策です。それに、高齢者や呼吸器系が元々弱い人がマスクを付けると、逆に呼吸がしづらくなって危険かもしれません。
私のように海外にいる人は、自分の家族が安心して呼吸しているかなんて、心配したくありません。私たちだけではなく、中国にいる人々、ひいては世界の誰しもが、「息をする」という人間にとって当然なことを心配するのはおかしいです。
今の中国は、大都会に憧れて、経済成長ばかり発展させた結果、自分たちの健康をあきらめねばならない本末転倒なことになってしまいました。


中国政府は一刻も早い対策を

大気汚染の問題を解決するには、政府は相当な決意と行動を起こさなければなりません。
以前にも政府から問題を解決するには二十年かかるという発表もありましたが、今から何かしないと、問題がもっと長びくかもしれません。
それに、去年12月のグリーンピースの調査で8千人以上の死者も出ているというデータもあるように、これからもっと多くの死者が出るかもしれません。
一刻も早く対策を取ろうという声が、人々から高まっています。私も日本から、引き続き注目していきます。

【参考】
>>事務局長 佐藤潤一ブログ「北京の大気汚染、石炭火力発電所の規制を」