今日、グリーンピース・フランスは、フランス南部のトリカスタン(Tricastin)原子力発電所が危険な原発であることを指摘するために敷地内に入り、オランド大統領に対して、「原発事故、代償を払う準備はありますか?」とのメッセージを掲げました。
ご存知のように、仏オランド大統領は選挙において2025年までにフランスの原発比率を75%から50%に下げると約束して当選した大統領です。
ところが、その約束に前向きな姿勢を見せず、自然エネルギーの導入も進まないフランス。
そこでグリーンピース・フランスが行動を起こしたというわけです。
トリカスタン原発はストレステスト不合格
フランスの原発はテロ対策もしっかりしていると訴えてきた仏政府ですが、30名近くのグリーンピースのスタッフは簡単に原発に入ることができたとのこと。
安全性のストレステストに不合格だったというわけです。
今回グリーンピースが原発に平和的に入ったのは、この安全性の盲点を実際に指摘するためでした。
しかもグリーンピースの調査では、このトリカスタン原発は、もっとも危険な原発のひとつ。
トリカスタン原発は、運転開始から30年を超す古い原発で、1号機には20カ所にひび割れが発見されています。また、洪水と地震のリスクがある他、フランスの中でも核・化学工場が集中する場所に立地しているのです。
脱原発を早々と決めたドイツが、原発の安全テストの中で飛行機の墜落事故やテロを検討し、その結果、テロなどから原発を守るのは事実上不可能だという結果に達したことがありました。
これは、ドイツが脱原発の方針を決める重要な要素のひとつとなりました。
フランスの安全テストには、航空機墜落事故やテロなどの想定がされていません。フランスは、原発のテロ対策は十分だという立場なのです。地震を「想定外」として対策を怠った日本に似ていますね。
ニュースはフランスの原発安全管理と、オランド大統領の原発政策の話に
日本であれば、どんなに平和的に行動したからと言って「なにをバカなことをしているんだ」とグリーンピースへの批判がワイドショーを独占するかもしれません。
もちろんそういう意見もありますが、むしろ、ニュースは、「簡単に原発に入ることができた」という事実を重く受け止め、仏原発の安全性への疑問を報道し、国に対して安全性の不備を問います。
グリーンピースの行動への批判よりも、政府の原発安全管理への批判こそが社会的に重要な要素であること、そして市民の立場で行動するNGOの役割の重要性について報道も理解しているのでしょう。
仏国内や海外ニュースでは、オランド大統領のエネルギー政策についても議論が及んでいます。
このようなニュースが日本に届くときには断片的なニュースしか届かないこともあります。たとえば、下のようにロイターのニュースの日本語と英語を比べてみてください。
ロイター 英語
ロイター 日本語
同じ報道のニュースでも、日本語では追加情報も掲載されず、読み手の受け取る印象もずいぶんと違うことが良くわかります。ぜひ海外のニュースも含めていろいろと読み比べてみてください。