こんにちは、エネルギー担当の高田です。

12月8日(日)に鹿児島市で「ポスト原発の雇用とゆたかな地域経済~ドイツからの報告」を開催しました。



日曜の午前にもかかわらず会場は立ち見も出るほどの満員となり、鹿児島県内や熊本から約70名が、
脱原発を決め自然エネルギーを推進するドイツの事例を聞いてくださいました。

開催にご協力いただいた鹿児島県の「みんなのでんき」と「反原発かごしまネット」のみなさま、
そして当日ご参加いただいたみなさま、どうもありがとうございました。


以下、講演内容のハイライトをいくつかご紹介します。
くわしくは、ぜひこのページ下の講演資料をご覧ください。

 

■1兆3900億円の節約

ドイツでは、2012年に全国の電力の23.5%が自然エネルギーによって供給されています。
太陽光や風は、無料で無限の国産資源。
つまり自然エネルギーの利用が進むと、その分、石油や天然ガスなどの化石燃料を輸入せずに済みます。
このためドイツは、1兆3900億円(100億ユーロ、2012年)を節約できました。

 

■自然エネルギーの雇用、37万人

ドイツで現在、自然エネルギー産業で働いている人は37万7800人。
2004年以降で22万人の新規雇用が生まれています。
一方ドイツ全国の原発で働いている人は、約3万8000人です。

 

■廃炉中も雇用は続く

ドイツの場合、廃炉作業には最低10年かかります。
たとえば、2003年に閉鎖され、2004年から廃炉作業が始まったシュターデ原発。
発電所での雇用数は、運転中の2002年に約300人だったのに対し、廃炉作業中の2008年は450人、
2010年は345人でした。
また、1997年に閉鎖され、1997年から廃炉作業が続くビュルガッセン原発では、
1997年に約500人だった雇用数は、14年後の2011年でも474人とほとんど変わらないことが、
電力会社への聞き取りによってわかりました。

 

■40%が個人所有、市民が支えるドイツの自然エネルギー

ドイツで導入されている自然エネルギーをだれが所有しているかを示したのが以下の円グラフ。
ご覧のように、圧倒的多数でドイツの自然エネルギーを支えているのは個人オーナーたちです。
ドイツ全国には、約600の市民共同組合形式の発電所もあり、こちらも「個人」に分類されています。
また、農家による自然エネルギー所有も11%ある一方で、
4大電力会社(日本でいう東京電力や関西電力など10電力)の所有はわずか6.5%。
市民の手で、市民のために、自然エネルギーの導入が支えられています。

 

■ドイツ人口の4分の1、2000万人が「100%自然エネルギー」へ

ドイツでは、130の自治体が「100%自然エネルギー」を目指すことを宣言し、実現に取り組んでいます。
130自治体の人口の合計は2000万人。ドイツ全人口の4分の1に匹敵します。
また、こうした宣言はしていませんが、北部ドイツなどではどんどん自然エネルギーの導入が進んでいる地域もあり、実質的に「100%自然エネルギー」を目指す人々はもっと多いそうです。

 

■ドイツは原発電気をフランスから輸入している?

イベント参加者からのアンケートに、「ドイツは原発電気をフランスから輸入していると聞くが本当なのか」との質問が寄せられました。
この質問への答えはイエス。ドイツは電力の大半を原発に頼っている隣国フランスから電気を「輸入」しています。でも、同時にドイツも電気をフランスをはじめヨーロッパの各国へ「輸出」していることも事実です。
そして、2011年以降、ドイツは輸入した量よりも多くの電気を輸出しており、差し引きは輸出量の方が多くなります。
このことは、私も直接、ドイツ政府の方に伺って確認しました。


 

■太陽光パネルを使うより、石油を直接使った方がエコ?

イベント参加者からのアンケートに、「太陽光パネルは製造時などに多くの石油を使うから、
太陽光パネルを使うより、石油を直接使った方が環境にやさしいと聞いたが本当か」とのご質問も寄せられました。
こちらの質問への答えはノー。太陽光パネルを始め、自然エネルギー技術は急速に進化を続けており、
1年前のデータはすでに古くなっています。
(ちょうど、スマートフォンなどと似ています。1年前の機種は最新のものと比べると性能に差がありますよね)
最新の太陽光パネルでは、製造などに投入された石油などを「回収」する期間は数年程度と言われています
(太陽光パネルの耐用年数は約20年)。

 

●動画: 「ポスト原発の雇用とゆたかな地域経済~ドイツからの報告~」(前半)


Video streaming by Ustream 


●動画: 「ポスト原発の雇用とゆたかな地域経済~ドイツからの報告~」(後半)


Video streaming by Ustream 

・ トーマス・ブリュアー講演資料(PDF) >>

・ 鹿児島県の「みんなのでんき」及川さん講演資料(PDF) >>

 

 

■とめよう再稼働 —あなたの声を届けます

いま、日本で発電中の原発はゼロ!
鹿児島県知事をはじめ、再稼働が考えられている原発の地元知事に、あなたの「ひとことメッセージ」をお届けします。

ぜひ、ご参加ください↓ (以下の画像をクリック)