こんにちは、海洋生態系の花岡和佳男です。

年の始まりから、太平洋クロマグロに関する、動きのあるニュースです。

太平洋クロマグロが危ない!


日本食の代表である寿司の主役とされ、築地市場での初セリの様子も広く報道された太平洋クロマグロ。総漁獲量の約95%が一度も海で卵を生んだことのない未成魚で、産卵直前のマグロも一部の企業により無規制なまま一網打尽にされているのですから、海にクロマグロが残らず、既に未開発時の4%以下にまで減少したとされていることも当然です。

一部の企業によるその乱暴な取り方により被害を被っているのが、約16,000隻のマグロ漁船の漁業者。そしてこのままではすぐに、私たち消費者も、クロマグロを食べられなくなってしまいます。

水産庁が資源管理に向け一歩前進

その太平洋クロマグロに関して、水産庁が少しずつですが保護の働きを行っています。今回は、全国のマグロ漁業者に対して漁獲の抑制を検討するよう求めていくとのこと。具体的には、クロマグロの産卵期には操業をしない「自主」規制ルールの導入や、未成魚のマグロを漁獲した場合に海に戻すなどの対応策の「検討」。小さいなりにも一歩ではありますが、言うまでもなく持続可能性の確保には程遠いものです。

いま必要なのはマーケットからの働きかけ

行政や漁業者が資源管理に向け動く中、そこに今大きく欠けているのが、マーケットからの働きかけ。大手スーパーマーケット、居酒屋、回転寿司チェーン等の多くは、資源状態が危機的なクロマグロを今でも普通に販売しています。小売りや外食企業は、美味しい豊かな海の恵みを消費者に提供し続けるために、行政や漁業者に任せるだけでなく、積極的に、乱獲された魚を取扱わず資源管理された魚を積極的に取り扱う「持続可能な魚介類の調達方針」を策定することが求められています。まずは未成魚と産卵期のクロマグロを取り扱わない方針を急いで作るべきです。

グリーンピースの調査によると、今のところ、メジマグロ(クロマグロの幼魚)を取り扱わない方針を持っている大手スーパーはイオンとダイエー。産卵期の魚においては方針がある大手スーパーはありません。

マーケットを動かすのが「消費者の声」


この、いま必要なマーケット側からの働きかけを後押しするのが、「消費者の声」。消費者は、水産庁や漁業者を応援することはもちろん、普段マグロに直に接する大手スーパーマーケット、居酒屋、回転寿司チェーン等に対しても、「未成魚や産卵期のクロマグロの販売は直ぐに中止してほしい」と、「消費者の声」を届けましょう。

難しいことではありません。普段のお買い物や外食に行く際に、店舗に置いてある「ご意見箱」を見つけて、備え付けられてある用紙にリクエストを書いて投函すればいいのです。多くの需要が集まればスーパーも回転寿司もそれに従って動きます。消費者からの働きかけでマーケットが動けば、サプライチェーンを経由して、資源管理へ向けた動きに大きな加速をつけることができるのです。

また、グリーンピースは「未来に魚を残すため、放射能汚染、乱獲、違法漁業の魚を売らないで」という声を大手スーパーマーケットに届けるオンライン署名を展開しています。ぜひ参加してください。

オンライン署名はこちらから

クロマグロを守ることは、食卓を守ること

もちろん、問題はクロマグロだけではありません。スーパーや回転寿司などに並ぶ魚のほとんどは、十分な資源管理がされていないまま販売されています。子供達にも美味しい魚を残していけるように、まずは既にギリギリのところにあるクロマグロから、いまこそ消費者の力で、持続可能性追求の流れを作りましょう。