2013年12月、ヨーロッパで3種類のネオニコチノイド系農薬(クロチアニジン、イミダクロプリド、チアメトキサム)の使用・販売が一時禁止されました。

続いて、2013年12月17日、欧州食品安全機関(EFSA)が、このネオニコチノイド系農薬(アセタミプリド、イミダクロプリド)に人間の脳や神経の発達に悪影響を及ぼす恐れがあるとの見解を出しました。


[1] 世界はどう伝えているのか
この欧州食品安全機関の見解について、世界のメディアはどのように伝えているのでしょうか? アメリカのニューヨーク・タイムズ紙、ウォール・ストリート・ジャーナルをはじめ、フランスのル・モンド紙、イギリスのガーディアンなどが一斉に伝えています。(下記<3>に各紙の報道へのリンクがあります)
日本でも、共同通信が記事を配信して、日本経済新聞が大きく取り上げていました。

 [2] アメリカとフランスの報道より
今回のヨーロッパでの科学的意見には、日本の研究がベースになっていますのをご存知でしたか? ネオニコチノイド系農薬が人間の神経系、特に脳の発達を阻害する可能性に関する日本の木村[黒田]氏による2012年に発表された研究報告などを踏まえたもの、ということです。この日本の研究がきっかけになり、見直しが行われたとル・モンド紙やニューヨーク・タイムズ紙などは触れています。

また、アセタミプリドは日本企業の「日本曹達」が販売している事もウォール・ストリート・ジャーナルやル・モンドなどが伝えています。

海外各紙の報道の中から以下、ニューヨーク・タイムズと、ル・モンドの概要を紹介します。


■ ニューヨーク・タイムズ紙 2013年12月18日
“欧州の規制当局の動きはネオニコチノイド系農薬の部門全体に影響を与える可能性がある。審査を行ったEFSAの広報担当者であるジェームズ•ラムゼイは、発達神経毒性に関連する研究の提出をEUにおける承認プロセスの一環として必須条件にすることを提言していると述べた。”

“すべてのネオニコチノイド系の物質は、上記二種類の物質と似たような毒性を持つことを前提として、この試験戦略の一環として審査されるべきだと提言している。米国環境保護庁(EPA)の研究結果も、ミツバチに対する農薬の影響についての懸念を生じさせたが、当機関が行動を起こすのに十分な証拠とはならない。E.P.A.から即時の反応はなかった。”

“バイエル社の株価は火曜日(12月18日)の欧州取引でわずかに下落した。バイエルは競合会社であるシンジェンタやBASF社と共に、欧州の裁判所でネオニコチノイドの部分的な使用の禁止に関して反論をはじめている。”

“バイエル社は、大量死の原因がミツバチヘギイタダニに起因するしている。”

“しかし10月に、米国科学アカデミー紀要ジャーナルに掲載されている研究が、バイエル社によって作られたネオニコチノイドがどのように昆虫の免疫応答に悪影響を与えているかや、潜在感染を持っているミツバチのウイルス病原体の複製を促進するかを分析した。”



■ ル・モンド 2013年12月17日
“欧州連合の専門機関は「それは神経系や、学習や記憶などの機能をつかさどる脳の発達に悪影響を及ぼす可能性がある」としている。”

“EFSAは、新たな補足的研究が必要だとしながらも、「ネオニコチノイドの散布量一日許容摂取量の基準を新たな水準まで引き下げることを推奨する」ことを提案した。EFSAはまたその潜在的な毒性に鑑み、「農薬の許認可の過程で科学的検討を義務づけ強制的になされるよう欧州連合レベルで基準が定められるべき」だとしている。”

“ネオニコチノイドを生産するスイスのシンジェンタとドイツのバイエルは欧州司法裁判所に、同じくネオニコチノイド系農薬でミツバチの大量死に関係があるとされているクロチアニジン、チアメトキサムの使用の件も含め、上記の決定の取り消しを求め提訴している。”

 このような動きが世界で進んでいる・報道されているにもかかわらず、日本では何の対策も取られていません。それどころが、食品への残留農薬基準の緩和が進んでいます。

この厚生労働省の規制緩和に反対する署名行っています。まだ署名されていない方はぜひ、ご参加下さい。
「残留農薬の規制緩和に反対します 署名はこちら>>




[3] 海外各紙のリンク
・ニューヨーク・タイムズ 2013年12月18日
European Agency Warns of Risk to Humans in Pesticides Tied to Bee Deaths
(欧州当局、ハチの失踪と関連のある農薬がヒトにもリスクと警告)

・ウォール・ストリート・ジャーナル 2013年12月17日
EU Warns of Potential Insecticide Health Risk
(EUが殺虫剤に健康リスクがある可能性を警告)

・ル・モンド 2013年12月17日
L'Europe épingle deux insecticides soupçonnés d'être neurotoxiques
(欧州連合、神経毒性が疑われる2種の農薬を議題に)

2013年12月20日
Pesticides ou bisphénol A : deux poids, deux mesures
(農薬かビスフェノールA: ダブルスタンダード)

・ガーディアン 2013年12月17日
Bee pesticides may 'harm developing brains of unborn babies'
(ハチに影響のある農薬が“胎児の脳の発達にも有害”)

・日本経済新聞 2014年1月2日
ミツバチに毒性懸念の農薬、人間の脳にも影響か


<過去のブログ・資料>
「日本で規制緩和が進むネオニコチノイド系農薬。米オレゴン州では規制へ」2014年1月21日

「EUでネオニコチノイド系農薬の規制スタート!」(2013年12月6日)

EUブリーフィングペーパー:EUで開始されたネオニコチノイド系農薬の規制に関して

「日本は農薬大国!?  農薬を使う理由は?」 (2013年11月22日)

「残留農薬が現在の2000倍に?! パブコメ」(2013年11月1日)

「ヨーロッパのハチに朗報!「ハチ大量死」農薬の追加規制が決まる」(2013年7月17日)

「ハチ大量死の原因はネオニコチノイド系農薬―住友化学は否定するけれど…」 (2013年6月19日)