こんにちは、気候変動・エネルギー担当の高田です。東京電力は福島第一原発で、井戸を掘ってくみ上げた地下水の海への放出を、今朝10時から始めると発表しました。


地下水を海へ放出
東電福島第一原発では、原子炉の建屋に地下水が流れ込み、それが放射性物質に汚染されて汚染水が増え続けています。その量は1日約400トン。政府と東京電力は汚染水の増加を防ぐため、新たに井戸を掘り、建屋に流れ込む前に地下水をくみ上げて海に放出する「地下水バイパス」を計画してきました。

汚染水と地下水
福島第一原発周辺は、もともと地下水が豊かな場所です。事故発生直後から、原発敷地を通る地下水が放射性物質に汚染され、その水が汚染水となって海に流れ続けていると考えられています。冷却水として投入された水も汚染水として大量に敷地に溜まっています。

今回放出された水は、建屋に到達する前に汲み上げられた地下水で、建屋に溜まった高濃度汚染水ではありませんが、トリチウムなども検出されており全く汚染されていないわけではありません。福島の漁師さんたちは、汚染水の増加を抑えるための苦渋の決断を迫られ、今回の地下水放出を認めました。

東電は、漁師さんや原発事故の被害者、そして市民が信頼できる方法で放出する地下水の検査を続け、その結果をわかりやすく公表するべきです。また、今回の地下水放出が、今後の汚染水の海洋放出に繋がるようなことがあってはなりません。


再稼働ではなく、事故収束を

発生から3年以上となりますが、東電福島第一原発は収束とは程遠い状況です。核燃料がどこにどのような状態であるのか、増え続ける汚染水をどうするのか、わからないことばかりです。非常に過酷な環境のなか、日々、収束作業に取り組まれる現場作業員の方々に感謝の気持ちでいっぱいです。

私たちは、いつまた大きな地震や津波が原発を襲うかわからない国・日本に住んでいます。福島第一原発事故の収束には、人材と資金が引き続き大量に必要です。そんななか、もし別の原発で事故が起きれば、短期間にたくさんの人材と資金が必要となります。
その時、両方に対応することができるでしょうか。住民を被ばくさせることなく守れるでしょうか。

原発が停止中であれば、少なくとも稼動中よりは過酷事故のリスクを減らすことができます。

政府と電力会社の経営を心配して原発の再稼働を進めるのではなく、住民の健康と安全を心配すべきです。再稼働ではなく、可能な限りすべての人材と資源をつかって、福島第一原発の事故収束と被害者救済を行うべきではないでしょうか。

とめよう再稼働
再稼働申請が出されている全国の原発について、グリーンピースでは署名を実施中。再稼働審査の最優先とされている鹿児島県の川内原発について、重点的に地元の方のサポートをしています。ぜひ、ご協力ください。(鹿児島に来てくださる方、熱烈歓迎です。詳しくはこちら。地元の方の活動の様子紹介もあり